純水の製造法とは? わかりやすく解説

純水の製造法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 04:28 UTC 版)

純水」の記事における「純水の製造法」の解説

上述通りは良溶媒であるが、高純度得ようとする時にはこの性質妨げとなる。実際純水では使用目的にとって障害とならない程度不純物残留することを容認し設備費運営費低く信頼性の高い方法(または複数方式組み合わせて)が選択される純水造るには錬金術時代から長らく複式蒸留唯一の手段だったが、イオン交換樹脂逆浸透膜普及により、安価に大量純水得られるようになった例え実験室でよく使われる純水製造装置では、 フィルター - 活性炭 - イオン交換樹脂 - 石英ガラス蒸留器蒸留器中段に置くものもある) のフロー主流であったが、最近ではイオン交換樹脂蒸留器代わりにEDI電気再生式イオン交換装置イオン交換膜イオン交換樹脂組み合わせて外から電位差与えイオン濃縮させて分離する方式)や逆浸透膜普及してきている。 各構成要素特徴を以下にまとめる。 蒸留器用いて蒸留する方法は、最も古くから存在する製造法であり、性能良い。しかし沸騰させるには多大なエネルギーが必要で、さらに連続運転難しいために製造コストが高い。また供給した水の一部不純物濃縮され排水として捨て必要がある。現在では、医療用研究施設小規模装置採用されるに過ぎないイオン交換樹脂用いてイオン交換する方法は、供給した水のほぼ全量純水として採できる。平均イオン除去率99%程度。多段化することで、いわゆる理論的に可能な除去率純水製造装置作ることができる。しかしイオン交換樹脂いつまで使用し続けられるわけではなく塩酸水酸化ナトリウムといった薬品使ってイオン交換樹脂再生(イオン置換)することが必要であり、またイオン以外の不純物取り除く能力が低い。浮遊物質有機物残留塩素存在すると、総合的な性能低下著しくなるので、後述する前処理が必要となる場合がある。 EDI電気再生式イオン交換装置)用いた方法は、薬品不要であり、長時間連続運転容易なので運転コストが最も安い。しかし常に直流電源を必要とする上に、イオン濃縮され排水が出るし、イオン以外の不純物取り除く能力が低い。イオン交換法同様、十分な前処理が必要である。 逆浸透膜用いた方法は、イオンだけでなく、不溶微粒子有機物除去できる。しかし、一部イオン(特にホウ素などイオン半径小さいもの)の除去が苦手で、50%前後除去率である。また、溶存ガス除去も困難である。更に、これらの物質事前に活性炭処理イオン交換処理、脱気理などを行うことで処理することができる。水温に関しては、水の粘度影響で、1K低下で2~3%処理水量減少するので、水温変化大き原水場合加熱装置が必要となる。したがって多く逆浸透膜システムでは他の処理と組み合わせて利用されている。逆浸透膜法は、膜界面イオン溶解度超え析出してくるため、一般に全量処理が困難である。したがって、膜界面濃縮一部排水するクロスフローを取る。濃縮をどこまで減少させられるかの指標は、一般的にはシリカである。シリカ原水含有量少なければ濃縮少なくできるが、シリカが多い場合界面シリカスケール生成させ、膜が目詰まりする危険がある。必要に応じてリン酸シリカ分散剤により回避できる場合もある。逆浸透膜単段では、平均イオン除去率9095%(電気伝導率規準)であり、ボイラー給水半導体製造用水では、更にイオン除去する必要があるため、イオン交換法EDI法を後段理に設けることが一般的であるが、逆浸透膜装置を多段化することで、イオン交換法同等レベル性能を持つ装置採用例もある。膜への供給圧力下げてイオン除去率維持できる膜の研究進んでおり、各メーカーコンパクト装置発売されており、純水製造主たる位置占めつつある。 活性炭用いた方法は、不溶微粒子有機物残留塩素除去が可能で、供給した水のほぼ全量を採できる。しかし、イオンは殆ど除去できず、浮遊物質活性炭表面微細な穴(マイクロポアー)を閉塞してしまうと有機物残留塩素除去できなくなるため、頻繁な活性炭交換もしくは前処理が必要である。前述したイオン交換法逆浸透膜法の前処理として採用されるフィルター用いた方法は、不溶粒子安価にフィルターに通すだけで)除去できる。しかし、その他のものは殆ど除去できず、またフィルター頻繁な交換が必要である。前述したイオン交換法逆浸透膜法の前処理として採用されるまた、半導体製造医薬用製造向けでは、限外ろ過(UF)を最終的な微粒子や大分子有機物除去使用されることが多い。 次に工業用純水製造装置として代表的なフローの例を以下に示す。 水道水 - フィルター - 活性炭 - イオン交換樹脂。特に大規模な装置場合は、空気中の炭酸ガスによるイオン交換最小限とするため、イオン交換樹脂複数分け、間に脱炭酸ガス装置或いは脱気装置入れ場合が多い。 水道水 - フィルター - 活性炭 - 逆浸透膜脱炭酸ガス装置EDI 1.は、2.に比べて設備費安価で、供給した水の殆どを純水として取り出せるが、イオン交換樹脂について時々採止めて薬品使って再生を行うか、交換することが必要である(純水器の項を参照)。一方2.は、設備費高く不純物濃縮され排水が出続けるが、再生などで装置止めることなく連続で採でき、薬品不要メンテナンス少なくて済むメリットがある。

※この「純水の製造法」の解説は、「純水」の解説の一部です。
「純水の製造法」を含む「純水」の記事については、「純水」の概要を参照ください。

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