突撃砲の開発とは? わかりやすく解説

突撃砲の開発

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 15:54 UTC 版)

突撃砲」の記事における「突撃砲の開発」の解説

ドイツ帝国陸軍は、西部戦線での最後の攻勢である1918年春季攻勢で、敵戦線突破し64kmも進出した。この時ドイツ軍初め自国開発戦車であるA7V使用したが、突進する歩兵部隊追随して火力支援あたったのは、重装甲重武装だが鈍足A7Vよりも、砲兵部隊により馬や人力牽引されていた7.7cm FK 96 nA7.7cm FK 16などの軽野であった敗戦後ヴァイマル共和政ドイツはこうした経験から1927年突撃砲原点呼べ自走砲を創りだす。これは1918年春季攻勢活躍した27口径7.7cm野砲(7.7cm FK 96 nA)を、ハノマーグ社製の民生用装軌式トラクターWD Z 50WD 50 とも)にオープントップ式に搭載したのである。この車両は“WD シュレッパー”(WD Schlepper)と通称された。 WD シュレッパートラクター単純に砲を搭載しただけのもので、簡単な防盾はあったものの、砲兵を守る装甲板には囲まれておらず、銃砲弾飛び交う前線で扱うのに適しているとは言い難かった。そのため、実用試験の過程次第に防盾が大型化され、更に側面天面装甲追加されついには完全な密閉戦闘室を持つ設計とされる至った。これがドイツにおいて開発された“突撃砲”の祖である。このような開発経緯から、運用兵科戦車部隊ではなく砲兵部隊となっている。 1936年ドイツ参謀本部突撃砲概念決定する戦車とは異な突撃砲という兵器概念には、参謀本部作戦課長であったエーリッヒ・フォン・マンシュタイン大佐当時)が頭の中に描いていた考えを基に固められていた。 戦車部隊戦果歩兵部隊戦力強化により拡大され、それには後方展開する重砲群とは異なる、従来歩兵随伴砲を発展させた兵器求められている。 歩兵装備では攻撃に困難を伴う、敵の陣地戦車など危険で強固な障害物迅速に排除して歩兵攻撃前進させる歩兵求め次元戦闘するには装甲化されていなければならない。 敵砲兵目標になる前に迅速に退避できる機動力が必要である。 戦車のように移動中に火砲照準変えつつ状況に応じて射撃しながら敵戦線突破するという役割期待されていなかったため、大口径砲搭載制約を受ける回転砲塔採用必要なかった。そして同年出され開発命令によりIII号戦車ベースとした無砲塔構造車両に短砲身75mm砲(7.5cm StuK37 L/24)を用いた歩兵支援用の自走砲開発された。 無砲塔構造は、ベースIII号戦車より大口径砲搭載可能になった事以外に、車両高が低くなったので敵から発見されにくく、かつ攻撃されても被弾しにくくなった。その技術的細目直接指導したのは参謀本部技術課にいたヴァルター・モーデル大佐当時)だった。これが突撃砲III号突撃砲)として採用された。 なお1930年代後半ドイツ以外列強では、このような歩兵支援目的では回転砲塔構造歩兵戦車開発していた。 日本九七式中戦車ソビエト連邦T-26は、薄い装甲により機動力確保し当時戦車としては比較大口径の搭載砲で火力重視したイギリスマチルダI歩兵戦車は、防御力重視して厚い装甲施したため、機動力犠牲になっており、武装重機関銃のみだった。 フランスルノー R35は、機動力火力防御力中庸取った機動力火力防御力いずれかに重点を置くかは各国用兵思想により違っていたが、砲塔廃した自走砲形式ではない、という点では共通している。

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