神遊機とは? わかりやすく解説

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iQue Player

(神遊機 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/28 19:19 UTC 版)

iQue Player
メーカー 任天堂
神游科技
種別 据置型ゲーム機
世代 第5世代
発売日 2003年11月17日
CPU R-4300i 64Bit CPU @ 140.625 MHz
GPU SGI Reality Control Processor 62.5 MHz 64-bit RCP
対応メディア フラッシュメモリカード
コントローラ入力 内蔵
外部接続 18PIN拡張コネクタ
ミニUSB
オンラインサービス (ソフトダウンロードサービス)
最高売上ソフト Dr. Mario 64(バンドルされたメモリカードにプリインストール)
互換ハードウェア NINTENDO 64
前世代ハードウェア スーパーファミコン
次世代ハードウェア ニンテンドー ゲームキューブ
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iQue Player(アイキュー・プレイヤー[1])は、任天堂2003年中国で発売したゲーム機。2003年に上海広州成都など一部都市を皮切りに、2004年春に全国展開された[2]

概要

コントローラ型のゲーム機であり、直接テレビに接続してゲームをプレイする[2]

任天堂と中国系アメリカ人の科学者である顔維群が出資する現地法人「神游科技」によって発売された。別名神遊機神游机、Shényóujī、シェンヨウジー、しんゆうき)。

性能はNINTENDO 64をベースとしている[2]。iQue Playerがコントローラー型を採用したのは、中国では「青少年に悪影響を与える」という理由で2000年6月から据え置きゲーム機(本体とコントローラが別個になっており、テレビやモニターに接続するタイプのゲーム機)の発売禁止令が施行されていたため、携帯式[注 1]にすることでそれをかわしたためである[3][注 2]

iQue Playerでは、ゲームソフトを販売するという方式ではなく、ゲーム販売店に設置されている機械で、メモリーカードに直接ゲームを有料でダウンロードするという方式がとられている。これは、コンピューターゲームソフトウェア海賊版が横行している中国の現状を考えての他、カートリッジなどの生産・販売コストを少なくするためという理由もある[4][5]

発売された当初は、『スーパーマリオ64』、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』、『スターフォックス64』、『ウエーブレース64』など、NINTENDO64向けゲームの翻訳版が本体と同時に発売された[2]。なお、1989年6月4日に発生した天安門事件を想起させることから、ハード名やゲームタイトルから「64」が外されている[5]

また、2004年には、販売店でのダウンロード方式に加えて、USBケーブルとインターネットを用いてソフトをダウンロードすることも可能になった[2]

どちらのダウンロード方法でも、販売店で「神遊票」という専用のプリペイドカードの購入が必要であった[2][5]

本体と同時販売された4タイトル以外は中国国外のコレクターには入手難易度が高く、メモリーカードが複数必要となるソフトのコンプリートに要する労力は並大抵のものではない[2]

歴史

開発

中国ではビデオゲームのブラックマーケットが広く流通し、多くの消費者が海賊版カートリッジを購入したり、コンソールエミュレータでゲームファイルをダウンロードして遊んでいた。そのため任天堂は、正式かつ安全で手ごろな価格の公式代替手段を提供することを目指した[6]。iQue Playerは、2000年に文化部によって施行された家庭用ゲーム機販売禁止令を回避するため、手軽なプラグアンドプレイ型ハードとして設計された[7]

任天堂は2002年12月、台湾系アメリカ人エンジニアであり、過去にも任天堂のプロジェクトに関わってきたウェイ・イェンと合弁でiQueを設立した。イェンは1990年代初頭、シリコングラフィックスで上級副社長を務め、プロジェクト・リアリティ(後のNINTENDO 64)の開発で主要な役割を担った人物である。彼の会社BroadOnは、iQue Playerに採用された暗号化によるセキュリティシステムを開発し、海賊版対策を行った。

開発初期の計画ではファミリーコンピュータ(NES)、スーパーファミコン(SNES)、NINTENDO 64のタイトルにも対応する案があったが、最終的な製品はNINTENDO 64専用となった。

iQue Playerは2003年9月の東京ゲームショウで正式発表され、10月中旬に上海広州成都など大都市での発売、2004年には全国展開が予定された[8][9]

家庭用ゲーム機の全国的な禁止を撤回させ、認可を得るために、任天堂はゲームの教育的・発達的なメリットを押し出すマーケティング戦略を採用した。本体にはリアルタイムクロックが搭載され、保護者がプレイ可能時間を設定できるほか、ゲーム起動時には長時間プレイを避け、休憩を取るよう促すメッセージが表示された。

発売はやや遅れ、2003年11月18日に限定的な形で5本のローンチタイトルと同時にリリースされた[10][11]。iQue Playerの販売台数は控えめで、推定8,000台から12,000台とされる[12]

同機で最後にローカライズされたゲームは2006年発売の『どうぶつの森』であった[13]。2016年10月31日、iQueはiQue@Homeサービスをその年末で終了すると発表[14]。サーバーは段階的に停止され、2018年までに全てのデジタル配信サービスが終了した。

ハードウェア

仕様

周辺機器

ソフトウェア

脚注

注釈

  1. ^ ただし、本機には画面がないのでテレビに接続する必要がある。
  2. ^ 中国での据え置きゲーム機規制は2014年に緩和されており、2019年にはNintendo Switchが発売されている。

出典

  1. ^ “【TGS】任天堂が中国向けに新ハード「神遊」を発売。ソフトはダウンロード方式!”. 電撃オンライン. (2003年9月26日). https://dengekionline.com/data/news/2003/9/26/bee3b1516c04c038daa23f9f1f7cdfca.html 2022年1月19日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g 徳間書店『Nintendo DREAM』2016年11月号 p.83
  3. ^ サチ・コクスン; Ashcraft, Brian (2010年7月22日). “コラム:中国の据え置き型ゲーム機禁止令とその事情”. コタク・ジャパン. オリジナルの2016年4月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160404222055/http://www.kotaku.jp/2010/07/china_consoleban.html 2021年7月13日閲覧。 
  4. ^ ●iQue Player 神遊機[出典無効]
  5. ^ a b c 山谷剛史 (2020年8月28日). “中国版もあるのに……中国人が日本でニンテンドースイッチを爆買いしている理由”. 文春オンライン. 文藝春秋. p. 2. 2022年1月19日閲覧。
  6. ^ IQue Hardware - Nintendo iQue Player Guide”. IGN (2014年8月30日). 2025年3月31日閲覧。
  7. ^ Nintendo iQue Player: A Beginner's Guide – RetroGaming with Racketboy”. racketboy.com. 2025年3月31日閲覧。
  8. ^ Calvert, Justin (2003年9月25日). “New Nintendo console for China”. GameSpot. 2003年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月15日閲覧。
  9. ^ iQue”. IGN (2003年11月25日). 2023年3月15日閲覧。
  10. ^ Calvert, Justin (2003年11月13日). “Nintendo iQue Player spotted”. GameSpot. 2023年3月15日閲覧。
  11. ^ iQue PLAYER优惠套装上海试卖,五款精品游戏同步发售!” [iQue Player Discount Set Trial Sale in Shanghai, Five High-quality Games Released Simultaneously!] (Chinese). iQue. 2005年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月15日閲覧。
  12. ^ 《记录》第17期:神游中国(上) - 触乐” (英語). www.chuapp.com. 2017年3月1日閲覧。
  13. ^ iQue”. 2007年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年10月28日閲覧。
  14. ^ 神游机服务终止通知” [Notice of Discontinuation] (中国語). iQue (2016年10月31日). 2018年2月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月1日閲覧。

関連項目

外部リンク




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