知行国制とは? わかりやすく解説

知行国制

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 07:00 UTC 版)

知行国」の記事における「知行国制」の解説

11世紀末から12世紀初めにかけて政治権力背景として、有力貴族らが縁者係累特定の国の受領任命することが徐々に慣例化し、現地赴任した受領の俸料・得分を自らの経済的収益とした。これが知行国制の始まりである。 院宮分国制と知行国制とは元来異な制度である。院宮分国制国家公認制度であり、院宮分国からの上官物院宮家収入とすることができた。それに対し、知行国制は国家公認したものでなく、知行国からの上官物国家納付しなければならず、知行国主獲得しえたのは(本来、受領収入となるべき)受領の俸料・得分のみであった。ゆえに、一つの国がある院宮家分国であると同時に、ある貴族寺社知行国であるという状況も十分あり得たのであり、実際そうした事例もあったと考えられている。この場合、国の上官物院宮家納入され受領の俸料・得分知行国主納入されることとなる。 知行国においても通常同様に国司任期4年重任8年)が原則であり、任命手続も形の上では通常の手続同一であった知行国主国司推薦を持つとされているものの、実際にその権利行使しえたのは院や摂関家などの朝廷決定左右できる限られた家に限られその他の公家寺社には備わっていなかったと考えられている。なお、11世紀以後公卿候補者である摂関家の子弟が受領任じられることがほとんどなくなったため、摂関家知行国はその家司受領任じられていた。 院宮分国知行国は、ともに院政期11世紀後葉以降)に急激に増加したその背景として封戸などの院や公卿が持つ給与制度機能しなくなる一方で受領が持つ経済的収益がその家の家産みなされてそこから生み出される多額収益注目されところによる。また、院近臣から公卿仲間入りした受領層の中にも引き続き子弟受領地位留めて、経済的収益維持しようとしたのである。そして、摂政関白同時に2 - 3か国を知行国とすることが珍しくなくなったまた、家司院司などの院近臣代わりにその子弟が任じられる場合もあった。とは言え実際国務収益父兄である家司院近臣握っており、中には20歳にも満たない子弟名目だけの受領任じられる少年受領登場するうになる例えば、藤原家成息子で後に鹿ケ谷の陰謀でも知られるうになる藤原成親7歳越後守任じられ9歳讃岐守、18歳再度越後守任じられているが、父の没後に父以来成功によって得た再度越後守除いてはいずれ鳥羽法皇寵臣として知られ父親知行国であった(なお、成親の父も祖父少年受領経験者である)。 当初、有力貴族層中心としていた知行国制だったが、12世紀後半から寺社知行国武家知行国が行われるようになった平安末期平氏政権期には、30数か国が平氏一門知行国になったとされている。12世紀終わり鎌倉幕府政権樹立すると、関東の9か国が鎌倉殿知行国 = 関東御分国となった大仏殿再建名目として東大寺造営料国となった周防国も、実質的に東大寺知行国であり、大仏殿再建後東大寺知行下にあり続けたこのように知行国増加一途をたどり、1215年建保3年)には知行国50か国にのぼったとする記録残されている。 鎌倉時代には、知行国制が次第公的な認知得ていくとともに知行国主特定の知行国代々継承していく知行国固定化見られるうになる上記関東御分国東大寺知行国周防などは知行国固定化典型例だが、この他一条家土佐国西園寺家伊予国などの例がある。また本来、官物収得院宮家のみに認められていたが、知行国制が公的認知されるに伴って知行国主官物収得獲得する例も見られるようになった室町時代になると、守護の権限積極的に拡大されていき、刈田狼藉取締使節遵行権半済給付闕所処分段銭徴収などを得た守護は、国内領域的な支配及ぼしていく。そうした過程の中で、知行国支配拠点であった国衙守護支配下置かれると、知行国消滅した

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