発病期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 20:21 UTC 版)
「後天性免疫不全症候群」の記事における「発病期」の解説
血液中のCD4陽性T細胞がある程度まで減少していくと、身体的に免疫力低下症状を呈するようになる。 多くの場合、最初は全身倦怠感、体重の急激な減少、慢性的な下痢、極度の過労、帯状疱疹、過呼吸、めまい、発疹、口内炎、発熱、喉炎症、咳など、風邪によく似た症状のエイズ関連症状を呈する。また、顔面から全身にかけての脂漏性皮膚炎などもこの時期に見られる。大抵これらの症状によって医療機関を訪れ、検査結果からHIV感染が判明してくる。 その後、免疫担当細胞であるCD4陽性T細胞の減少と同時に、普通の人間生活ではかからないような多くの日和見感染を生じ、ニューモシスチス肺炎やカポジ肉腫、悪性リンパ腫、皮膚がんなどの悪性腫瘍、サイトメガロウイルスによる身体の異常など、生命に危険が及ぶ症状を呈してくる。また、HIV感染細胞が中枢神経系組織へ浸潤し、脳の神経細胞が冒されるとHIV脳症と呼ばれ、精神障害や認知症、記憶喪失を引き起こすこともある。 通常、感染したと認められてから長期間経過したあとに、以下の23の疾患(AIDS指標疾患という)のいずれかを発症した場合にAIDS発症と判断される。 A.真菌症1.カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)2.クリプトコッカス症(肺以外)3.コクシジオイデス症(1)全身に播種したもの(2)肺、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの4.ヒストプラズマ症(1)全身に播種したもの(2)肺、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの5.ニューモシスティス肺炎(P. jiroveci) B.原虫症6.トキソプラズマ脳症(生後1か月以後)7.クリプトスポリジウム症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)8.イソスポラ症(1か月以上続く下痢を伴ったもの) C.細菌感染症9.化膿性細菌感染症(13歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により以下のいずれかが2年以内に、2つ以上多発あるいは繰り返して起こったもの)(1)敗血症(2)肺炎(3)髄膜炎(4)骨関節炎(5)中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の膿瘍10.サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)11.活動性結核(肺結核又は肺外結核)(※)12.非結核性抗酸菌症(1)全身に播種したもの(2)肺、皮膚、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの D.ウイルス感染症13.サイトメガロウイルス感染症(生後1か月以後で、肝、脾、リンパ節以外)14.単純ヘルペスウイルス感染症(1)1か月以上持続する粘膜、皮膚の潰瘍を呈するもの(2)生後1か月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を併発するもの15.進行性多巣性白質脳症 E.腫瘍16.カポジ肉腫17.原発性脳リンパ腫18.非ホジキンリンパ腫19.浸潤性子宮頚癌(※) F.その他20.反復性肺炎21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13歳未満)22.HIV脳症(認知症又は亜急性脳炎)23.HIV消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病) (※);HIVによる免疫不全を示唆する所見がみられる者に限る。 —厚生労働省,感染症法に基づく医師の届出のお願い
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