留守
『瓜姫物語』(御伽草子) 翁・媼に育てられた瓜姫は美しく成長し、国の守護代に嫁入りすることが決まる。ある日、翁・媼が外出し、瓜姫が留守番をする。媼は「誰が来ても戸を開けるな」と言い置くが、あまのさぐめが来て「美しい花の枝を差し上げよう」と言うので、瓜姫は戸を開ける。あまのさぐめは瓜姫をつかまえて遠方の木に縛りつける。そして瓜姫の着物を着て、自分が守護代の嫁になろうとたくらむ。
『白雪姫』(グリム)KHM53 継母(妃)に命をねらわれている白雪姫は、森の7人の小人たちの家に住み、昼間は1人で留守番をし、小人たちのために掃除や炊事をする。「継母に気をつけて、誰も家へ入れるな」と小人は注意するが、白雪姫は、百姓女に変装して訪れた継母にだまされ、毒りんごを食べる。
『狼と七匹の子山羊』(グリム)KHM5 母山羊が森へ食べ物を取りに行く時、留守番をする7匹の子山羊たちに、狼に気をつけるよう言い置く。狼はチョークを食べて声を変え、白い粉を足につけて子山羊たちをだまし、戸を開けさせる。
『ホーム・アローン』(コロンバス) クリスマスのシカゴ。8歳の男児ケビンが1人で留守番する家を、2人組の泥棒がねらう。ケビンは、おもちゃの銃で泥棒たちの股間や額を撃つ・玄関へ上がる階段と地下室へ下りる階段に水を流して凍らせる・ドアノブに電気を通す・尖ったおもちゃを床にばらまく、などのことをして、泥棒たちを痛い目にあわせる。隣家のマーリー老人が除雪用のシャベルで2人組を打ち、ケビンを助ける。警察が来て、2人組は逮捕される。
★4.夫の留守を守る妻。
『鸚鵡七十話』序話 マダナセーナが商用で旅に出る。留守を守る妻プラバーヴァティーを、王子ヴィナヤカンダルパが見初めて求愛する。夕方になって、プラバーヴァティーは王子に逢いに行こうとする。家に飼われている鸚鵡が、「不義が露見しそうになるが、知恵を働かせて窮地を脱する物語」を語り、「このような策略を用いることができるなら、お出かけなさい」と言う。プラバーヴァティーは物語を聞いて、外出を思いとどまる。鸚鵡は70夜にわたって、知恵で難問を解決する種々の物語を語り聞かせる。
『饗応夫人』(太宰治) 奥さまのご主人は本郷の大学の先生だったが、南方へ召集されたきり、終戦後も消息不明である。留守を守る奥さまの家へ、ご主人の同僚だった笹島先生がしばしばやって来る。何人もの仲間と一緒のこともある。奥さまはいやな顔一つせず、女中の「私」にまで気をつかって、必死に接待する。無理がたたって奥さまは血を吐き、実家へ帰る準備をする。そこへまた笹島先生がやって来る。奥さまは汽車の切符をそっと引き裂き、もてなしの用意をする。
*夫の留守を守る人妻が、他の男や鬼などから求婚されるが、これを退ける→〔うちまき〕2aの『節分』(狂言)・〔繰り返し〕1の『オデュッセイア』第2巻。
*家族が留守の間の妻の情事→〔人妻〕4の『マディソン郡の橋』(イーストウッド)。
『赤毛連盟』(ドイル) 燃えるような赤い髪の質屋ウィルスンは、店員スポールディング(その正体は、著名な犯罪者ジョン・クレー)の勧めで、赤毛連盟の一員になった(*→〔髪〕8c)。ウィルスンは毎日連盟事務所へ出かけて、午前10時から午後2時まで仕事をする。これは質屋を留守にさせるための策略で、その間にジョン・クレーと彼の仲間が、質屋の床から銀行の地下金庫まで、トンネルを掘っていた〔*金庫室にはホームズや警官たちがいて、ジョン・クレーを逮捕する〕。
『三人のガリデブ氏』(ドイル) 贋金使いの男が、部屋の床下に精巧な紙幣印刷機を隠していたが、彼は殺されてしまった。老ガリデブ氏が何も知らぬまま、その部屋の新しい住人となる。悪人が老ガリデブ氏に「アメリカ人富豪の遺産が得られる」と嘘を教え(*→〔名前〕9)、手続きのためと称して、老ガリデブ氏を汽車で遠方に行かせる。留守の間に悪人は部屋へ侵入し、印刷機を取り出そうとする〔*ホームズとワトソンが、それを阻止する〕。
『尾行』(星新一『エヌ氏の遊園地』) 黒眼鏡の男が私立探偵エヌ氏の事務所を訪れ、「ある女を1週間尾行してくれ」と依頼し、調査費を渡す。その女も黒眼鏡の男から、「1週間旅行しなさい」と言われ、旅費をもらっていた。エヌ氏が尾行を終え1週間ぶりに事務所に戻ると、室内が荒らされ、金庫がからになっていた。
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