狭鼻下目と広鼻下目の分岐とは? わかりやすく解説

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狭鼻下目と広鼻下目の分岐

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 20:57 UTC 版)

人類の進化」の記事における「狭鼻下目と広鼻下目の分岐」の解説

真猿下目狭鼻下目旧世界サル)と広鼻下目新世界サル)に分岐したのは、3000-4000万年と言われている。脊椎動物色覚は、網膜中にどのタイプ錐体細胞を持つかによって決まる。魚類両生類爬虫類鳥類には4タイプ錐体細胞4色型色覚)を持つものが多い。よってこれらの生物長波長域から短波長域である近紫外線までを認識できるものと考えられている。一方ほとんどの哺乳類錐体細胞を2タイプ2色型色覚)しか持たない哺乳類祖先である爬虫類4タイプ全ての錐体細胞持っていたが、2億2500万年前には、最初哺乳類と言われるアデロバシレウス生息し始め初期哺乳類は主に夜行性であったため、色覚生存必須ではなかった。結果4タイプのうち2タイプ錐体細胞失い、青を中心に感知するS錐体と赤を中心に感知するL錐体の2錐体のみを保有する至った。これは赤と緑を十分に区別できないいわゆる赤緑色盲」の状態である。この色覚哺乳類の子孫に遺伝的に受け継がれることとなったヒトを含む旧世界霊長類狭鼻下目)の祖先は、約3000万年前性染色体であるX染色体L錐体から変異した緑を中心に感知する新たなタイプ錐体M錐体視物質遺伝子出現しヘテロ接合体の2本のX染色体を持つメスのみが3色型色覚有するようになり、さらにヘテロ接合体メスにおいて相同組換えによる遺伝子重複変異起こして同一X染色体上に2タイプ錐体視物質遺伝子保持されることとなりX染色体を1本しか持たないオス3色型色覚有するようになった。これによって、狭鼻下目第3錐体細胞「再生」された。3色型色覚ビタミンC多く含む色鮮やかな果実等の発見生存維持有利だった考えられる霊長類3色型色覚適応的意義については結論出ていないのが現状である(上記果実説」のほか,「若葉説」や「皮膚色説」も存在する。)。 なお、時代下ってヒト色覚鑑みるに、ヒト属す狭鼻下目マカクザル色盲ヒトよりも非常に少ないことを考慮すると、ヒト祖先狩猟生活をするようになり3色型色覚優位性低くなり、2色型色覚淘汰圧下がった考えられる色盲出現頻度狭鼻下目カニクイザルで0.4%、チンパンジーで1.7%であり、現生アフリカ系男性2-4%、日本人男性で約5%、フランス北欧系の男性で約10%である。広鼻下目ヨザル属英語版)は1色型色覚であり、ホエザル属英語版)は狭鼻下目同様に3色型色覚を再獲得しているとされている。他方ホエザル一様な3色型色覚ではなく、高度な色覚多型であるとの指摘もある。これらのヨザルホエザル除き残り新世界ザル広鼻下目)はヘテロ接合体X染色体を2本持つメスのみが3色型色覚有しオス全て色盲である。これは狭鼻下目のようなX染色体上で相同組換えによる遺伝子重複変異を起こさなかったためである。ヒト上記のような初期哺乳類霊長目狭鼻下目祖先X染色体遺伝子変異受け継いでいるため、L錐体のみを保持したX染色体関連する赤緑色盲伴性劣性遺伝をする。男性ではX染色体赤緑色盲の遺伝子を受け継いでいると色盲発現し女性では2本のX染色体とも赤緑色盲の遺伝子を受け継いでいる場合赤緑色盲発現する。なお、日本人では男性の5%、女性0.2%が先天赤緑色覚異常であるとされる3000万年前漸新世初期現在の気候が始まると最初南極の氷形成されアフリカ南アジア以外霊長類絶滅向かった当時霊長類一つ曲鼻猿亜目キツネザル科に近いノタルクタスである。 生き残った熱帯集団は(それらはカイロ南西ファイユーム低地後期始新世初期漸新世化石層でよく見られる現生全霊長類を、すなわち曲鼻猿亜目属すマダガスカルキツネザル東南アジアロリスアフリカガラゴ、そして直鼻猿亜目属す広鼻猿類新世界ザル)と狭鼻猿類属す旧世界ザル大型類人猿人類生み出した新世界である南米広鼻猿類広鼻下目)は3000万年前から化石記録現れるが、北アフリカ化石種で彼らの祖先近縁なものは特定されていない。もしかすると西アフリカ異な形態生きていたのかも知れない西アフリカからは、まだ解明されていない手段南アメリカ大陸まで、霊長類齧歯類ボアシクリッド渡っている。洪水などで流されて大西洋経由漂着したなどの可能性考えられるも、決定的な説を見いだせていない。これに対して広鼻下目新世界サル)の祖先テンジクネズミ上科祖先アフリカでできた浮島乗って大西洋流されて新世界南アメリカ大陸到着したという説も紹介されている。 既知のもっとも初期狭鼻猿類は北ケニア地溝帯のEragaleitから見つかっているカモヤピテクス (Kamoyapithecus) で、2400万年前頃生きていたと見られている。その祖先は恐らく、エジプトピテクスかプロピリオピテクス (Propliopithecus) かパラピテクス (parapithecus) の近縁種見られ、それらは3500万年前のファイユーム地層から見つかっている。その間1100万年を繋ぐ化石は見つかっていない。

※この「狭鼻下目と広鼻下目の分岐」の解説は、「人類の進化」の解説の一部です。
「狭鼻下目と広鼻下目の分岐」を含む「人類の進化」の記事については、「人類の進化」の概要を参照ください。

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