無所属・所属不明の騎士
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:16 UTC 版)
「断章のグリム」の記事における「無所属・所属不明の騎士」の解説
瀧 修司(たき しゅうじ) 常に喪服を着ている、寡黙な大男。〈泡禍〉による被害者の異常な死体の後始末を任されている。神狩屋いわく、「彼ほど有能な死体処理係は存在しない」らしい。ただし、長期間に渡って自分の〈断章〉と付き合い過ぎたため、人間としての正気を保ってはいるものの精神は普通の人間からは逸脱しており、蒼衣曰く「長大な葬列を一人に押し固めたような」異質な気配と雰囲気を全身に纏っている。可南子と常に二人組で行動している。 以前はある陶芸家に師事し、その後独立するも、生来の寡黙さ故に作品の売り込みなどができず、兄弟子たちからの援助でなんとか食いつないでいた。そんな最中、瀧の作品を見た可南子が工房へ足を運び、そのまま彼女と同居するようになる。だがある日可南子は倒れ、可南子が不治の病であることを知るが、可南子が病院にかかることを拒否し、自分が死んだら瀧の工房の窯で焼いてほしいと頼まれる。可南子を焼いた後、自らも死のうと考えていたが、何が発端か切り刻んだ可南子は蘇り、その後発狂。彼女が落ち着くまで数年を要し、その間〈異形〉であった可南子を匿っていたということで〈騎士団〉に知られることとなる。この時担当した〈ロッジ〉の〈騎士〉を一人殺してしまっている。 保持する〈断章〉の名は〈葬儀屋〉。彼の手によって切り刻まれた死体は血の一滴、髪の一筋、肉の一欠片も残さずに全てが心臓のある部分に集合し、生命活動が再開される(ただし心臓が失われていると効果を発揮しない)。血痕反応に至るまで消滅させることができるため、彼が死体処理係として名を馳せているのは、ひとえにこの〈効果〉に所以する。この〈断章〉を使えば一度死んだ人間を生き返らせることも可能だが、生き返った人物は切り刻まれている間の記憶も残ってしまうために発狂に陥り『人』ではなくなる。普段は山間に在する実家で陶芸業を営んでおり、〈効果〉によって生き返った死体はそこの窯で焼かれる。灰になるまで焼き続けることで、完全に消滅させているらしい。また、〈効果〉によって生き返った死体の全身部分が揃っていない場合、彼が手を触れていない部分も生命活動を再開し、全身の部位は一つになろうとして暴れるため、その反応を基に死体の未発見部分を探すこともできる。 神狩屋と仲が良く、神狩屋以外の人間とは(助手の可南子であっても)滅多に口を利かない。 「しあわせな王子」を収束しようとした蒼衣の〈断章〉の暴発に巻き込まれて消滅してしまった。『しあわせな王子』の〈泡渦〉での配役は、明確に記されていないが恐らく「王子」。 戸塚 可南子(とつか かなこ) 瀧の助手。年齢は蒼衣たちよりも少し年上くらい。文字通りに瀧のサポート役であり、瀧の〈断章〉によって生き返った死体の運搬・始末が主な役目(瀧の〈断章〉によって生き返った死体はそのままにしておくと暴れ出すため、それを防ぐために生き返るそばから再び殺さなければならない)。コミュニケーション能力皆無の瀧に代わって、状況を説明する役割も担っている。また、瀧と同じく常に喪服を着ている。 〈断章保持者〉かどうかは明らかになっていないが、瑞姫の〈食害〉を無害と発言している。 『いばら姫』で一度死ぬが、瀧の断章で蘇っている(ただし神狩屋曰く「最初からそうなんだよ」)。 以前は芸大生であったが、自分の芸術活動に限界を感じていた時期に不治の病であると診断され生きる気力を失っていたが、展覧会で瀧の作品と出会い、瀧の工房へ足を運び、瀧を出会う。そのまま瀧の工房に住み込んで彼の身の回りの世話などをこなしていたが、ある日倒れてしまう。だが病院にはかからず、瀧の作品の一部になることを望み、死んだあとは瀧の工房の窯で焼いてほしいと遺言を残し息を引き取る。その後瀧に体を切り刻まれるが、最初の蘇りで発狂。落ち着くまで数年を要し、現在も数か月に一度はフラッシュバックが起こる。 「しあわせな王子」を収束しようとした蒼衣の〈断章〉の暴発に巻き込まれて消滅してしまった。『いばら姫』の〈泡渦〉での配役は、蒼衣の言葉によると「王子たち」。 『しあわせな王子』の〈泡渦〉での配役は、明確に記されていないが恐らく「ツバメ」。生前の可南子の行動と瀧の〈断章〉が〈泡禍〉と結びつき、その結果『異端』の暴発を生んでしまった。 〈名無し〉(アノニマス) 〈断章保持者〉の女性。特定の〈ロッジ〉には所属していないと思われる。 保持する〈断章〉の名は〈名無し〉(アノニマス)。あらゆる事物の名前を喰うことで、名前を喰われた事物は完全に消滅し、誰にも認識できなくなる。そのため、公の事件にするわけにはいかない被害者の記憶自体を万人から奪うことで、究極の揉み消しをすることができる。颯姫の〈食害〉と同じくらいに〈騎士団〉の活動に不可欠である〈断章〉のため、常に日本中を飛び回っている。また、彼女自身は既に名前を喰われているため、〈断章〉の〈効果〉に対する精神的耐性を持つ〈断章保持者〉以外の人間は、彼女を見ることも、声を聞くこともできず、触れられたとしても何も感じない。彼女の戸籍などの記録は形としては残っているが、それを目にしたとしても誰もその文字を意味のある言葉として認識できなくなっている。蒼衣の断章の脆さと危うさを最初に指摘した人物。
※この「無所属・所属不明の騎士」の解説は、「断章のグリム」の解説の一部です。
「無所属・所属不明の騎士」を含む「断章のグリム」の記事については、「断章のグリム」の概要を参照ください。
- 無所属所属不明の騎士のページへのリンク