歴史におけるモラリストとは? わかりやすく解説

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歴史におけるモラリスト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 03:16 UTC 版)

モラリスト」の記事における「歴史におけるモラリスト」の解説

19世紀批評家とその継承者たちはモラリスト流れを、第1に戦乱世俗宗教における無秩序もたらした唯物論道徳的宗教的関心といったものへの反動であるとして、第2にはその前の世紀の粗野さ対する「洗練された社会」の発達であるとして、17世紀フランス精神の最も際立った性質であると見做している。しかし、こうしたアプローチモラリスト道徳家概念危険な形で重ね合わせているが、モラリスト正確に決し道徳家ではなかった。そのうえ、モラリスト記述形式について考察するだけでも、その意味するところには両義性があると分かる切り離され断片がまさに関連付けられるところの発話者がいないので、断片はほぼ引用のように機能しラ・ロシュフコーの「箴言のようなテクストアウグスティヌス的、リベルタン的な解釈余地がある。「信仰」的な反動仮定することはほとんど意味がなく、主題だけに限ってうならばラ・フォンテーヌモンテーニュのようなモラリスト護教論的な関心よりもむしろ快楽主義近くすらある。 大使たちフランス王国廷臣たちで最も重要な人物たちの特徴描写することに専念したというヴェネツィアの Relazioni によって刺激されたものであるという主張さえもある。これはいわゆる「鍵」仮説、特にラ・ブリュイエールの『カラクテール(Caractères)』に当て嵌まる仮説で、性格描写肖像)のそれぞれに同時代実在人物隠されているというものであるラ・ブリュイエール自身が、テクスト歴史的な楽しい読み物といったものに還元してしまう作品そのような読み方拒絶している。 こうしたモラリスト仮定的な起源」を当てにせず正確であろうとするなら、モラリスト範疇を、厳密にフロンドの乱英雄空想時代の後の17世紀後半歴史的に限定することが重要である。ルイ14世治世もたらした英雄とその神話の「破壊」(ポール・ベニシュー(フランス語版))をモラリストたちは報告し、またそれに加わったのであるこのような因果関係によって、ある種悲観主義や、価値や意味を疑問付すことを特徴としたモラリスト的な記述出現説明可能にする要素見出されるのであるモラリスト文体の特性説明する一番良い方法はそれがモラリストでないものとどう違うか比較することである。表面的にモラリスト文学に非常に近い、アマチュアプロの、値打ちさまざまな作家たちは数多く挙げることができる。ニコラ・コエフトー(フランス語版)、マラン・キュロー・ド・ラ・シャンブル(フランス語版)、ジャン=フランソワ・スノー(フランス語版)、マドレーヌ・ド・スキュデリ(フランス語版)、さらには古くペトラルカスペインバルタサル・グラシアンなどの外国モラリスト翻訳挙げられる厳密に言えばこうした作家たちは、主題似ているという点を除いてモラリストではない。その論述思考様式根本的に異っており、全く違った読み方引き起こす実際、これらの著述家たちは、持続的論証的な論法を選ぶことで、自身確信している「真実」断定的決定的な形で述べている。一方で、マルク・エスコラが示したように、モラリストの定義的な特徴である断片的な形式読者参加させ、断片間に連続性作り出すさまざまなつながり再構築するように強い、読者自身に意味の道筋決めさせる。これが、モラリストにとって、もはや流動的で不安定変わりすいものとなった真実や、身振り振舞い新し両義性正確に表すことのできる方法となっている。こうしたテクスト構造モンテーニュ表現借りるなら「受け皿がもはや安定していない」(『エセー』III-2)現実等価であり、読者にこの不安定さ感じさせるこうした作品総体モンテーニュとまさに結び付けられるのはモラリスト姿勢というものがモンテーニュにあって初め生み出されたからでもあり、また『エセー』が17世紀枕頭の書となり、特にここで検討している作家たちに読まれていたからでもある。 パスカルの『パンセ』がモラリスト文学結び付けられるのは、歴史的な偶然による。パンセ』はキリスト教擁護草稿断片的な形式残ったものである。パスカル死により未完成終わったというためだけにモラリストジャンル結び付いているのであり、当初草稿は、護教論であり、よって秩序立った論証的な形式備えていたが、モラリスト以外の何者でもない姿勢から発してたようだ18世紀には、ラ・ロシュフコーラ・ブリュイエールラ・フォンテーヌによって作り出され、というよりはむしろ文学的な威厳与えられた諸ジャンル一連の模倣者継承者たちによって大々的引き継がれた。質の高かった作家少数だけ挙げるなら、ヴォーヴナルグ、シャンフォール(フランス語版)、アントワーヌ・リヴァロル(フランス語版)などである。

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