日韓の比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 15:30 UTC 版)
「日本における外国人参政権」の記事における「日韓の比較」の解説
詳細は「韓国における外国人参政権」を参照 韓国が外国人参政権を付与したのは、日本での在日韓国人地方参政権獲得運動の進展が見られないため、その支援として参政権付与が検討されてきたとされる。また、韓国における付与対象外国人有権者数は内国人有権者の0.05%であり、選挙結果に何も影響しないとの思惑もあった。 韓国の金大中大統領は1999年以降に、韓国の日本人も含む外国人参政権との「相互主義」を掲げて日本政府に実現を迫ったが、当時韓国では永住資格制度もまだ整っておらず(2002年から)時期尚早であり、また、日帝残滓である在日問題と国内問題を同一線上で捉えることへの反発など国民世論も収斂しておらず韓国国内で廃案となった。しかし2005年6月に盧武鉉政権下で「永住外国人に対する外国人地方参政権付与法案」が可決された。主な当事者である在韓華僑からの要求が表面化しない中で付与が決定されたが、在日韓国人支援の名分がなければ成立したかは疑問とされる。現在、韓国政府は「相互主義」を掲げて在日韓国人に対する外国人地方参政権付与を再度日本政府に迫っている。 日韓の憲法上の差 日韓両国とも憲法第1条で国民主権をうたっているが、大韓民国憲法では第41条で国会議員を、第67条で大統領をそれぞれ秘密選挙により選出するとしているのみで、地方参政権は第118条において法律で定めると規定しているため柔軟な対応が可能であり、また憲法上は地方選挙については秘密投票を保障していない。憲法自体の改正も韓国ではこれまで9回行われている。一方、日本国憲法では国民主権を実現する上で第15条において公務員の選出・罷免権を幅広い範囲にわたって国民固有の権利と明記し、地方参政権も第93条でその地方公共団体の住民(国民)が直接これを選挙すると規定している。また、日本国憲法第15条では秘密投票権も明記されており、外国人有権者の影響の検証はより困難になっている。 永住者数の格差 在日韓国人の永住資格保有者は2021年12月末時点で約34万人(特別永住者26万7070人・一般永住者7万3037)。 在韓日本人(長期滞在者含む)は2020年時点で40,500人。このうち、永住資格保有者は13,192人。 韓国では外国人有権者は投票結果に影響をしないと考えられているが、日本では大阪市生野区のように外国人比率が高い地域もある。 永住資格付与条件の格差 韓国では外国人参政権を極めて厳格な条件を満たしたものに限って、付与をみとめている。他方、日本の政党法案では、所得条件やキャリア条件などは一切付されていない。「相互主義」をとる場合、韓国と日本では制度差が生じる。どちらかの国が歩み寄る必要があり、もし日本が韓国と同様の要件を課した場合、当然のことながら高額所得者以外は永住権も参政権も付与されなくなる。 韓国における外国人参政権付与の基本要件は、永住資格(F-5)取得後3年以上の経過であるが、この永住資格取得には、高い収入条件(一般韓国国民の4倍)や博士号取得者などの複合要件を満たすことが必要である。また、要件を満たしていても、当該外国人の思想信条が韓国の国益に合致しない場合は、法務部長官の許可を根拠に、永住資格が付与されないこともある。 要件には、200万米ドル以上の投資、先端技術分野の博士学位所持者かつ収入条件(韓国国民GNIの4倍)を満たしたもの、世界トップ500企業での経営幹部としてのキャリアを所持するもの、オリンピックで銅メダル以上の受賞者などがある。収入条件は2005年時点で年収63,320米ドル(633万円)以上であった。また、居住(F-2)査証で5年滞留の場合、本人ないし同居家族に韓国の1人当たりのGNI以上の年収があり、韓国語能力試験5級以上に合格していることが要件である。 その他の韓国における制限として、政党に加入することはできない、政治資金の寄付禁止、投票行為以外の選挙運動の禁止などがある。 諸外国との比較 詳細は「外国人参政権」を参照 ヨーロッパでは外国人参政権の相互主義が認められているが、これはEU加盟国間に限っている。イギリスにおいても、イギリス連邦加盟国に限定されている。 北朝鮮、台湾、中国、ブラジル、フィリピンについては、いずれも外国人参政権を与えていない。このことから「相互主義」は成立しない。そもそもいずれの国も日本に対して外国人参政権を求めておらず、相互主義を主張して外国人参政権を要求している国は韓国のみである。韓国の行動は、内政不干渉の原則に違反するという批判もある。
※この「日韓の比較」の解説は、「日本における外国人参政権」の解説の一部です。
「日韓の比較」を含む「日本における外国人参政権」の記事については、「日本における外国人参政権」の概要を参照ください。
- 日韓の比較のページへのリンク