日本国内の歴史
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日本では日本電信電話公社を民営化するため1985年4月に電気通信事業法が制定され、民間企業としての日本電信電話(NTT)が誕生した。この法令の施行により、それまで省庁が個別に許認可制し、特別の事情だけに許可されていた「日本国内での通信事業」が、広く一般民間企業に開放された。これと同時に「端末の自由化」も行われ、技術基準適合認定を受けた通信機器であれば自由に利用できるようになった。 この端末機器自由化は、アナログ信号の音声通話機器の自由化に加えて、デジタル信号を伝送するデータ通信も自由化された。それまでのデジタル通信は日本電信電話公社が1964年の東京オリンピック目前の1963年末の12月に、国鉄の「みどりの窓口」と日本航空の座席予約システムコンピューターネットワーク接続のために開始したデータ伝送サービスだった。その後、全国銀行データ通信システムでの銀行間における為替業務通信に広がった。 企業間のデータ通信は時代の当然の流れで機器の低価格化に伴い次第に個人レベルでのアーリーアダプターに広がり草の根のパソコン通信では音響カプラによる300bps使用、企業が乗り出してくるころには1200bpsのデータ通信への置き換え、パソコン通信のアクセスポイントへのダイヤルアップ接続、FAX通信をする手段となった。これによりパーソナルコンピュータに接続する電話回線用モデムが普及した。1994年の日本でのインターネット商用化を受けてこれがさらに加速し、当初は外付けだったモデムはパソコンの低価格と相まって、次第に内蔵が主流となった。 モデムはもともとはデジタル信号をアナログ信号に変換し、アナログ通信回線を通じて相手に送り、受信側はそのアナログ信号をモデムでデジタル信号に変換するものである。 しかし、デジタル信号をデジタル回線にそのまま載せるシステムとして1995年には世界に先駆けて日本でデジタル通信のためのISDN回線がサービス開始された。ISDNでは(「モデム」は本来アナログ回線を使うものであったので)それとはっきり区別するために「ターミナルアダプタ(TA)」と呼ばれた。1997年からの常時接続サービスにより一般使用も徐々に広がり、高速通信として使用された。データ通信は64kbps/128kbpsとなった。しかしアナログ加入回線が主流で、モデムのほうも広く一般に使用されつづけ、アナログ回線用モデムとデジタル回線用ターミナルアダプタが共存する時代となった。 2000年頃からADSL・CATVなどのブロードバンド回線が普及しはじめた。ADSLは(一般音声のための)アナログ回線を利用してのデジタル通信であり、ADSL仕様のモデムを利用する。これをADSLモデムという。ADSLは低価格化大容量化し一般に広く普及し、ADSLモデムも広く普及した。(一方、光ファイバー網のデジタル回線も普及し、デジタル回線を利用したデジタル通信が主流となってきた。) 公衆無線LAN接続・モバイルデータ通信定額制・インターネットFAXサービスなどの拡充によりモデムを使う用途は激減し、2000年代後半には、モデムはノートパソコンでも内臓されないことが一般化した。モデムを利用する人だけカード型モデムを増設して利用するようになった。モデムの代わりにWifiを標準搭載するノートPCが一般化していった。ノートパソコンにカードスロットもなくなり、モデム使用にはUSB接続モデムが使われるようになってきた。 デジタル回線やADSL使用不可の地域(一部の離島など)では、今でも従来型のモデムが使用されている。
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