日本国内の水中翼船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 08:21 UTC 版)
日本では1960年代に商業用半没型水中翼船が相次いで登場している。新明和工業の小型船(約15人乗)、三菱造船下関の小型・中型船(80人乗)、日立造船神奈川の小型~大型船(130人乗)がそれである。 とりわけ、シュプラマル社のライセンス契約により水中翼船を建造していた日立造船神奈川は、型式PT20(70人乗)やPT50(130人乗)を中心に50隻ほどの水中翼船を生産し、これらは瀬戸内海を中心に運航された。代表的な運航会社として、瀬戸内海汽船、石崎汽船、阪急汽船、名鉄海上観光船等がある。また東海汽船による東京湾横断航路でも使われていたため首都圏でも見ることができた。 しかし、低燃費で高速航行が可能な反面、波の影響を受け乗り心地が悪い上に維持コストが高く、水中翼の接触を防ぐ専用の接岸施設のない港に入港することができない等の欠点があり、次第に他の高速船やジェットフォイルにシェアを奪われていった。 1999年5月9日、石崎汽船の松山~尾道航路の最終運航を以って、半没型水中翼船は国内定期航路から姿を消した。この航路で1997年12月まで活躍した「金星」(1966年日立神奈川製、PT20)が、広島県呉市で2005年(平成17年)に開館した海事博物館(大和ミュージアム)に2014年まで屋外展示保存されていた。 その後日本国内ではジェットフォイルが多く利用されている。これは、高速軍用艇向けに開発された技術を民間移転したもので、折りたたみ式の水中翼を持つ水中翼船の一種であり、コンピュータによる姿勢制御装置を持ち、耐荒天性能や乗り心地を改善している。 海上自衛隊は1993年から95年にかけて、全没型水中翼式の1号型ミサイル艇(PG)3隻を建造した。これもジェットフォイルをベースとしたイタリア海軍のスパルヴィエロ級ミサイル艇をタイプシップとしたものである。
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