手塚勝巳とは? わかりやすく解説

手塚勝巳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/02 03:00 UTC 版)

手塚 勝巳
基本情報
国籍 日本
出身地 日本 神奈川県横浜市
生年月日 1912年8月31日
没年月日 1989年
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 外野手
プロ入り 1936年
初出場 1936年
最終出場 1937年
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
てづか かつみ
手塚 勝巳
本名 手塚 健次[1]
別名義 槇 謙二(まき けんじ)
生年月日 (1912-08-31) 1912年8月31日
没年月日 1989年
出生地 日本 神奈川県横浜市
職業 俳優、元スーツアクター、元プロ野球選手
ジャンル 劇映画時代劇現代劇特撮映画サイレント映画トーキー
活動期間 1936年 - 1967年
主な作品
ゴジラ
ゴジラの逆襲
キングコング対ゴジラ
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手塚 勝巳 てづか かつみ[2][3][1]1912年大正元年〉[1]8月31日[3][4] - 1989年[要出典])は、日本の元俳優、元スーツアクター(縫いぐるみ俳優[5])、元プロ野球選手。本名は手塚健次[1]神奈川県横浜市出身[6]

来歴・人物

早実専修大学を経て、プロ野球選手として大東京軍に所属[6][1][7]。ポジションは投手→外野手。通算5試合に代打出場し、5打数0安打。

現役引退後は映画俳優に転じ、日活多摩川撮影所[8]を振り出しに大都映画[9][注釈 1]東宝映画[8]に移籍し、終戦後は新東宝を経て東宝に移籍した[6][8][11]が、これにはマキノ雅弘による口利きがあったとされる[11]

入社後も俳優仲間の待遇面などでの折衝役を務めるなど親分肌で、東宝俳優部のいわゆる「大部屋俳優」たちのトップにいた人気者であった[6][11]。その影響力は一俳優の立場を超えたものであり、撮影所の所長や東宝の重役も一目置いていたという[12][11][13]中島春雄によれば、手塚は俳優としての仕事はあまりしていなかったが、いざという時は頼られていたと証言している[1]。仲間内での愛称は「テッチャン」[12]

元プロスポーツ選手としての体力を買われ、『ゴジラ』でゴジラ役に抜擢されたが[2][1]、着ぐるみを着てのテストの際に3メートルほど歩いたところでその重さ(150キログラム超)に耐えきれず、国会議事堂のセットにつまずいて倒れてしまったのに対し、自分より若い中島春雄が先に10メートルほど歩いていたため、これを見て円谷英二はメインを中島に交代させた[14][注釈 2]。手塚は中島の補助とされ、国会議事堂のシーンなどでゴジラ役を担当した。中島によれば、手塚は国会議事堂を破壊するシーンの撮影中に何かにつまずいて転倒し、「こんな出来損ないで演技が出来るか!」と怒鳴り散らした挙句、造形のアルバイトを突き飛ばしたという[16][11][17]

造形助手として『ゴジラ』の製作に携わっていた鈴木儀雄によれば、手塚は腕っ節の強い荒っぽい人で、同じ造形スタッフでもベテランの利光貞三や八木康栄・勘寿兄弟には怒らず、文句も言わないかわりに、年下の鈴木や開米栄三には当たり散らしており、鈴木は手塚に殴られたり、突き飛ばされたりしたという[18]。そのため、手塚はスタッフから距離を置かれるようになり、中島が中心となる一因ともなった[18]。また、開米によれば、中島や『キングコング対ゴジラ』でキングコングなどを演じた広瀬正一らは造形スタッフの酒盛りによく参加していたが、手塚はプライドがあったのであまり参加しなかったと述べている[15]

次作品『ゴジラの逆襲』では、ゴジラの敵怪獣のアンギラス役を演じた[1]。ゴジラ役の中島は、大阪府中之島を舞台とした格闘シーンの撮影で着ぐるみに入った手塚の首根っこを捕まえた際、普段は大部屋で頭の上がらない親分格の手塚とあって、つい力が入ってしまったかもしれないと述懐している[19]

その後も中島の補助役として数々の怪獣役を演じており[1]、『大怪獣バラン』でバラン役を演じた際にはプールでの撮影の際に照明の電源ボックスが水中に落ち、感電してしまったことがある[20]

1960年代半ば以降、出演作品は確認されていない。着ぐるみ俳優としては、『モスラ対ゴジラ』(1964年)を最後に中島のサポートに徹していたとされる[11]。また、中島によれば『怪獣大戦争』(1965年)でラドンを演じた篠原正記は手塚の自宅で書生を務めており、手塚の口利きで怪獣役になったという[13]

東宝が専属俳優制度を廃止した後は、東宝を退社しCM会社を立ち上げた[1]

詳細情報

年度別打撃成績

















































O
P
S
1936 大東京 3 3 3 0 0 0 0 0 0 0 0 -- 0 -- 0 -- 0 2 -- .000 .000 .000 .000
1937 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 -- 0 -- 0 -- 0 0 -- .000 .000 .000 .000
通算:2年 5 5 5 0 0 0 0 0 0 0 0 -- 0 -- 0 -- 0 2 -- .000 .000 .000 .000

背番号

  • 9 (1936年)

出演作

映画

脚注

注釈

  1. ^ 槇 謙二名義で活動していたが、退社後は本名に戻している[10]
  2. ^ 造形助手の開米栄三は、手塚は太りすぎていてスタミナがなかったことを証言している[15]
  3. ^ 殺陣も担当[25]
  4. ^ 数人で入った。
  5. ^ 手塚 巳と誤記。
  6. ^ 数人で入った。
  7. ^ a b c d 手塚 勝と誤記。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 中島春雄 2010, p. 346, 「東宝怪獣俳優名鑑」
  2. ^ a b c
  3. ^ a b c d e
  4. ^ a b c d ゴジラ365日 2016, p. 242, 「8月31日」
  5. ^ a b c ゴジラ大百科 1993, p. 125, 構成・文 岩田雅幸「決定保存版 怪獣映画の名優名鑑」
  6. ^ a b c d e 東宝特撮映画全史 1983, p. 532, 「怪獣・SF映画俳優名鑑」
  7. ^ a b 初代ゴジラ研究読本 2014, p. 114, 「オール初代ゴジラ俳優大図鑑」
  8. ^ a b c 週刊サンケイ 1956, p. 56, 「対談 先輩・後輩(手塚勝巳・中島春雄)」
  9. ^ 大都映畫株式會社沿革誌 1939, p. 16, 「相次いで入社せる男女スター陣」
  10. ^ 國民年鑑 昭和十四年 1939, p. 976, 「人名錄(映畫)」
  11. ^ a b c d e f g h 超常識 2016, p. 140, 「Column ゴジラ映画 スーツアクター列伝」
  12. ^ a b 中島春雄 2010, pp. 26–30, 「第一章 一九五四 円谷英二との出会い・『ゴジラ』 『ゴジラ』との対面」
  13. ^ a b 「アクター再録インタビュー 中島春雄」『怪獣大戦争 コンプリーション』ホビージャパン、2025年4月28日、135頁。ISBN 978-4-7986-3835-5 
  14. ^ 中山治美 (2009年10月13日). “日本初の特撮怪獣映画『ゴジラ』でゴジラだった俳優登場!抜擢の理由は10メートル歩けたから”. シネマトゥデイ (シネマトゥデイ). https://www.cinematoday.jp/news/N0020149 2015年11月15日閲覧。 
  15. ^ a b 初代ゴジラ研究読本 2014, pp. 182–191, 取材・文:友井健人「INTERVIEW 造型助手 開米栄三」
  16. ^ 中島春雄 2010, pp. 30–34, 「第一章 一九五四 円谷英二との出会い・『ゴジラ』 『ゴジラ』特撮班クランクイン」
  17. ^ 俺とゴジラ 第四回 ゴジラ俳優 中島春雄氏(前編)”. ゴジラ・ストア (2015年8月17日). 2017年11月2日閲覧。
  18. ^ a b 初代ゴジラ研究読本 2014, pp. 192–201, 取材・文 友井健人、中村哲「スタッフインタビュー 鈴木儀雄」
  19. ^ 中島春雄 2010, pp. 113–115, 「『ゴジラの逆襲』」.
  20. ^ 中島春雄 2010, pp. 208–209, 「『大怪獣バラン』」.
  21. ^ a b c 東宝特撮映画全史 1983, pp. 535–536, 「主要特撮作品配役リスト」
  22. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 7, 「『ゴジラの逆襲』撮影秘話」
  23. ^ a b c
  24. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 13, 「『ゴジラの逆襲』作品解説/俳優名鑑」
  25. ^ a b 東宝特撮映画大全集 2012, p. 69, 「『キングコング対ゴジラ』撮影秘話」
  26. ^ モスラ対ゴジラ”. 東宝 WEB SITE. 東宝. 2022年2月27日閲覧。
  27. ^ 三大怪獣 地球最大の決戦”. 東宝 WEB SITE. 東宝. 2022年2月27日閲覧。
  28. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 23, 「『空の大怪獣ラドン』撮影秘話」
  29. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 25, 「『地球防衛軍』作品解説/俳優名鑑」
  30. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 33, 「『大怪獣バラン』作品解説/俳優名鑑」
  31. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 39, 「『日本誕生』作品解説/俳優名鑑」
  32. ^ a b モスラ”. 東宝 WEB SITE. 東宝. 2022年2月27日閲覧。
  33. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 57, 「『モスラ』撮影秘話」
  34. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 63, 「『妖星ゴラス』作品解説/俳優名鑑」
  35. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 71, 「『マタンゴ』作品解説/俳優名鑑」
  36. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 75, 「『海底軍艦』作品解説/俳優名鑑」
  37. ^ 太平洋奇跡の作戦 キスカ”. 東宝 WEB SITE. 東宝. 2022年2月27日閲覧。

参考文献

関連項目





固有名詞の分類


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