市民と一緒につくる図書館
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「帯広市図書館」の記事における「市民と一緒につくる図書館」の解説
帯広市図書館は指定管理者制度やPFIを導入せず、市が直接運営している。指定管理者を含む民間活力の導入は帯広市の重点課題とされ、図書館経営のあり方についても継続的に検討されているが、帯広市図書館では職員の専門性を継承していく上で、現状では直営方式が適していると判断している。効率的で利用者満足度が高い図書館を追求するとともに、運営方針の一つに『市民との協働』を掲げている。図書館活動に対する市民の関心や参加意欲は高いとされ、寄付行為などを通じた市民・団体からの財政的支援と、市民ボランティアの図書館活動への参加によって、「市民と一緒につくる図書館」が育てられている。 表1: 2003から2012年度までの寄付の推移年度金額†1(円)件数†22003 20,484,438 17 2004 1,270,495 10 2005 33,843,534 30 2006 7,522,307 17 2007 5,051,765 15 2008 10,947,955 20 2009 3,814,344 14 2010 52,765,661 16 2011 2,116,550 16 2012 2,748,826 12 合計 140,565,875 167 出典:帯広市図書館要覧 †1 寄贈品は出典における評価額で換算して加算†2 件数の合計は延べ件数 個人や団体から受け付けた寄付金は「図書館図書整備基金」に積み立てて運用され、図書館資料の充実のために活用されている。年ごとの寄付金・寄贈品(評価額)の合計金額は百万円から数千万円と幅があるが、2003年から2012年までの10年間で計1億4千万円に達している(表1参照)。2015年度の時点で継続的に寄付を行っている個人・団体は35件あり、中には1951年から半世紀以上にわたって寄付を続けている個人や、数千万円の大口寄付を行った個人もいる。帯広市図書館を寄付の獲得で成果を上げている図書館と評価する声もある。寄付金により購入した図書は寄付者の名前を入れた「○○文庫」 と名付けられ、図書に文庫名を記したラベルが貼られている。寄付金以外では、図書や視聴覚資料の寄贈のほか、地域の郷土や歴史に関する資料、帯広出身の歌人である中城ふみ子ゆかりの品なども寄贈されている。このほか、過去にはコミュニティ施設の図書室を巡回するための車両も寄贈されている。 2003年に着工した新図書館建設に際しては「新図書館建設基金」が設立され、1994年より個人4名と9団体から合わせて1千7百万円あまりの寄付金が集まり、図書館建設に活用された。加えて、帯広市は市民を対象とした住民参加型市場公募地方債「まちづくり債」を発行して資金を集め、3年間で23億円が図書館建設に割り当てられた。市民からは現金だけでなく物品の寄贈もあり、図書館の設備・備品として必要なベンチやブックカート、車いす、拡大読書機、AV機器などが寄せられたほか、絵画や陶器といった装飾品や、敷地内に植える樹木の寄贈もあった。 ボランティア活動については、帯広図書館友の会をはじめとするボランティア団体のほか個人単位での参加もあり、2007年時点での参加者は100人を超える。ボランティアによって読み聞かせ会、朗読会、映画会などが実施されているほか、図書の配架や修理業務への協力、スクラップブックの作成、布の絵本や貸出用手提げ袋の作成などが行われている。乳幼児健診時に行われるブックスタート事業もボランティアの協力によって実施されている。また、図書館サービスを障害者へ提供する取り組みとして、ボランティアによる本の音訳、視覚障害者向けの朗読、障害者を対象とした本の宅配などが行われている。さらに、図書館内の清掃、生け花の管理、観葉植物の管理など、施設管理業務へのボランティアの協力も見られ、ボランティアの参画は図書館運営の多岐にわたる。そのほか、ボランティアによる自主研修会なども定期的に行われている。
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