大関再昇進
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 17:28 UTC 版)
東前頭筆頭で迎えた9月場所は2連敗スタートだったが、3日目に朝乃山を破ってからは7連勝。10日目の黒星を挟んで、11日目に勝ち越しを決めたところまでは優勝争いに絡んでいた。しかし、12日目に阿武咲に寄り倒されて優勝争いから脱落し、その翌日の13日目から左膝の変形性関節症のため休場した。 11月場所は東小結の地位で迎える。照ノ富士は新三役が関脇であり、そのまま大関に昇進した後、大関陥落後に関脇から小結を通り越して平幕に落ちているため小結に在位するのは自身初となる。この場所も好調で千秋楽に大関貴景勝を破って13勝2敗で取り終え、貴景勝との優勝決定戦に臨んだ。決定戦では敗れて優勝を逃した。同時に殊勲賞も逃したが技能賞を受賞している。 2021年1月場所は東関脇の地位で迎える。序盤は3勝3敗とやや不振だったがその後は盛り返した。10日目に隆の勝に敗れた以外は白星を重ねて11勝4敗で取り終え、前場所に引き続き技能賞を受賞した。 2021年3月場所は2度目の大関昇進を懸けた「大関取り」の場所となった。12日目に9勝目を挙げて、「三役で直近3場所33勝」の昇進目安に到達したが、直前場所が9勝で昇進した前例はないため、伊勢ヶ濱審判部長は昇進に関して「相撲が全部終わってから」と話すにとどめた。その後も白星を重ねて12勝3敗で取り終え、4場所ぶり3度目の優勝を果たした。関脇以下の地位での3度の優勝は史上初。場所後の大関復帰も確実にした。特例なしでの大関復帰は魁傑以来44年ぶり。序二段陥落からの大関復帰は史上初の快挙となった。 取組後は「ホッとしてます」「うれしいの一言です」と表情を崩す場面もあった。師匠が審判部長を務めるだけに贔屓で大関昇進させてもらったと思われたくないという気持ちがあったようであり、本人は「師匠の顔に泥をぬることは絶対に許さないという気持ちだった」とこの場所にかける思いを千秋楽一夜明け会見で明かした。 江東区の部屋で行われた昇進伝達式では、口上を「謹んでお受けいたします」とシンプルに述べた。日本相撲協会公式YouTubeチャンネルでの生配信では約2000人の視聴者に見守られ、両膝の古傷により伝達式直前から正座の体勢を何度か取り直す照ノ富士を心配する視聴者のコメントもあった。式典には部屋付きの安治川や宝富士ら部屋の関取衆も集まった。乾杯の音頭も取られたが、新型コロナウイルス感染予防のためか、照ノ富士ら関係者がグラスに口をつけることはなかった。式典後の会見では「前回と気持ちは変わらない。やるからには上を目指したいので」と1度目の大関昇進時同様横綱昇進を目指していることを示し、師匠の伊勢ヶ濱も「膝という爆弾抱えている。留意していけばまだまだいけると思っている」と期待を寄せた。 大関の地位に戻った2021年5月場所は西大関2枚目の地位で迎える。初日から10連勝をするが、11日目に妙義龍の髷を掴んで反則負けで初黒星を喫する。その後12日目・13日目は白星を重ねるが、14日目に遠藤に、千秋楽は貴景勝に敗れ12勝3敗となり貴景勝に並ばれるも優勝決定戦では貴景勝を破り、前場所に引き続き優勝し、自身初の2連覇を達成した。また、大関復帰場所での優勝は史上初となった。なお、師匠でもある伊勢ヶ濱審判部長は翌2021年7月場所は綱取りになると明言した。場所終了後、同月24日に行われた横綱審議委員会の定例会後には矢野弘典委員長がマスコミの取材に応じ、「どん底まで落ちて、よくここまで戻ってきたなという称賛の言葉があり、ファンの心をつかんだと思う。優勝のインタビューも浮かれたところが全くなく、好感が持てたと私自身は思う」と称賛し、「相撲自体もいい相撲であってほしい。ただ勝てば良いというものではない。目の肥えたファンの皆さんがうなるような相撲を見せていただきたい」と7月場所での活躍に期待を寄せた。
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