大統領予備選挙への出馬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 08:31 UTC 版)
「スティーブ・フォーブス (出版者)」の記事における「大統領予備選挙への出馬」の解説
フォーブスは、1996年(英語版)と2000年(英語版)の大統領選挙の共和党予備選挙に立候補し、所得税の一律化を主な公約にして選挙活動を展開した。フォーブスが所得税一律化の提案を重視していたため、「シングルイシュー候補」と言われていたが、フォーブス自身はこのレッテルは不正確だと主張した。フォーブスは、アメリカの税制はあまりにも複雑で官僚的になっており、改革と簡素化が切実に求められていると考えていた。フォーブスは、1996年の選挙戦では4.5%の住宅ローンの再導入と多選制限も公約に挙げていたが、2000年には(彼の全体的な公約の中ではそれほど重要ではなかったため)この2つを取り下げた。 1996年の予備選挙では、アリゾナ州とデラウェア州で勝利し、その他の州でもかなりの票を獲得したものの、フォーブスは共和党の指名獲得には至らなかった。フォーブスの敗北の大きな原因として、その「ぎこちない」(awkward)選挙運動のスタイルが挙げられた。『タイム』誌は、フォーブスの選挙活動を「マッドサイエンティストがバカなロボットを作ったらどうなるか、というコメディクラブ(英語版)のネタ」と評した。『シカゴ・トリビューン』紙のジェフ・ライオン(英語版)は選挙戦でのフォーブスについて、「堅苦しい笑顔、目を小さく見せる金縁の眼鏡、群衆を相手にするときのこわばった身のこなしなど、典型的なミルクトースト(milquetoast)に似ている。彼のスタイルは野暮ったく、演説では"get real"や"el zippo"(ゼロを意味する)といったプレッピーのスラングを使う」と書いた。フォーブスと選挙スタッフは、「大きな銀色のバス」で選挙地を移動することで知られていた。1996年と2000年の大統領予備選挙への出馬の際、フォーブス社の議決権付き株式の一部を親族に売却して選挙資金を調達した。2000年の大統領選挙では、8,600万ドルの選挙資金を集め、そのうち3,700万ドルを自己資金で賄った。 2000年のプライマリーシーズンの初めに選挙戦から脱落した後、フォーブスは雑誌出版の仕事に戻った。1996年の選挙期間中、『フォーチュン』誌の関係者は、『フォーブス』に掲載された広告主に関する記事が広告主に有利に偏ったものになったと申し立てた。 フォーブスが支持してきた主な問題は、自由貿易、医療貯蓄口座(英語版)、給与から天引きされた社会保障費の75%を個人退職金口座(PRA)に移すことを認めることなどである。フォーブスは、予算を均衡させるために政府機関を縮小することや、厳しい犯罪法と死刑制度の支持、教育バウチャーなど、共和党の伝統的な政策を支持している。一方で、銃規制や環境規制には反対しており、薬物の合法化や同性婚にも反対している(ただし、彼の父が同性愛者であったことが、その死後に暴露された)。外交政策については、「国際連合に頼らないアメリカによる外交政策」を呼びかけている(反国際通貨基金、親イスラエル、中華人民共和国の最恵国待遇への反対、反国際連合など)。 フォーブスの均一税制案は少し変わっていた。1996年の選挙戦では、フォーブスは、個人と企業の全ての所得に対して一律17%の所得税を課すことを支持していた。ただし、1人当たり3万3千ドルを控除し、キャピタルゲイン、年金、相続、貯蓄などの不労所得は課税を免除することとした。2000年の選挙戦でも同じ税制案を維持したが、1人当たり3万3千ドルの控除ではなく、よりディック・アーミー(英語版)の案に近いものとなった(フォーブスの案では、大人1人当たり1万3千ドル、扶養家族1人当たり5千ドルの控除となっている)。フォーブスは、1996年の純資産が4億3千万ドルと非常に裕福であり、均一税制になるとその恩惠を受けると批判された。それを受けて、フォーブスは2000年の選挙戦で、均一税制の恩恵を受けないことを公約したが、前年のアラン・キーズ(英語版)との討論では憲法修正第16条の廃止を支持した。 2000年の選挙戦でフォーブスは、社会保守主義やサプライサイド経済学を支持することを公言した。1996年にも反対の立場をとっていたが、2000年の選挙戦では、人工妊娠中絶に断固反対し、公立学校での祈りを支持することを表明した。フォーブスは前年、母校のプリンストン大学が哲学者のピーター・シンガーを採用したことを理由に、プリンストン大学にはもう寄付をしないという声明を出していた。シンガーは、人格は「感覚のある」存在に限られると考え、一部の障害者や全ての乳幼児は人格を持たないとみなしていた。フォーブスは、1997年6月3日に開催されたアメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)の「原則声明」に署名した。
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