多連装ロケットシステムとは? わかりやすく解説

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多連装ロケットシステム 自走発射機M270 MLRS 愛称 マルス

多連装ロケットシステム 緒元性能
ロケット弾 多目的弾:644個子弾内臓
全長

約3.900mm

直径 約227mm
重量 約306kg
最大射程 約30.000m
自走発射機  
乗員 3人
全長 約7.0m
全幅 約3.0m
全高 約2.6m
全備重量 約25t
最高速度

約65km/h

機関 500馬力水冷4サイクルディーゼル
構成 自走発射機指揮装置および弾薬
製作 IHIエアロスペース
備考  

野戦特科部隊装備し主として遠距離における砲兵部隊装甲部隊空挺・ヘリボン部隊上陸用舟艇等の広域目標瞬間的に撃破することを目的としている。(略称 MLRS


【多連装ロケットシステム】(たれんそうろけっとしすてむ)

Multiple Launch Rocket System (MLRS)
地対地ロケット弾発射機多数搭載した戦闘車輌
ロケット弾榴弾比べて命中精度に劣るが、多数の子弾をばら撒くことで補う。
さらに、任意の数のロケット弾瞬時発射することで、榴弾砲などに比べて短時間でより広い地域制圧することが可能。
反対に榴弾砲比べて発射時に発生する多量噴煙により発射位置露呈し易い欠点がある。
かつては旧ソ連BM-8/-13BM-21代表されるような、トラックレールやロケットチューブを載せただけの安価な兵器であったが、現在では搭載機器等により大変高価である。

各国の主な多連装ロケットシステム

mlrs2.jpg
Photo:MASDF

多連装ロケット砲

(多連装ロケットシステム から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/14 05:36 UTC 版)

ロシア陸軍BM-21

多連装ロケット砲(たれんそうロケットほう)は、複数のロケット弾を一斉発射することを目的としたロケット砲である。多連装ロケットランチャー多連装ロケット弾発射機放射砲[1]などとも表現される。英語では multiple rocket launcher(マルチプルロケットランチャー), MRL あるいは multiple launch rocket system(マルチプルランチロケットシステム)[注 1]MLRSなどと表現される。

個々の命中精度が通常の大砲に比べて低くなる傾向にある[2][3]ロケット弾を、同時に多数発射することで効果的に運用しようという思想の兵器である。

歴史

武経総要の多連装発射装置
朝鮮の火車の一部である神機箭。

歴史上、最初の多連装発射兵器が使用されたのは中国の時代である。これは複数の火矢を一斉発射する装置であった。李氏朝鮮時代の朝鮮においても同様の兵器である火車文禄・慶長の役幸州山城の戦いにおいて効果をあげたとされる[4]

第二次世界大戦において実用化された、最初の(そして最も著名な)現代的な多連装ロケット砲はカチューシャである。これは当時のソ連赤軍によって開発された、軍用トラックの後部に発射レールを並べたシンプルな構造のもので、友好国への輸出も行われた。

アメリカ軍ではT34 カリオペが開発された。これはM4中戦車砲塔上にパイプ状のロケット弾発射機を複数配置したもので、発射機の角度変更は主砲の俯仰角に連動する構造となっていた。

ドイツ国防軍ではネーベルヴェルファーと呼ばれる多連装ロケット砲を開発した。これは6本あるいは5本のパイプ状の発射機を持ち、37mmPak36対戦車砲と同等の牽引用架台に載せられた比較的コンパクトなものであった。後に、10本のパイプ状発射機を車載型とした自走砲型のパンツァーヴェルファーも開発された。

第二次大戦後、ソ連や中国から友好国・勢力への輸出が盛んに行われた。特に中国製の63式107mmロケット砲は世界で最も拡散している多連装ロケット砲の1つとされる[5]

現代においても多連装ロケット砲は、すでに混乱しているもしくは統率の取れていない敵部隊の士気を劇的に低下させる効果のある兵器として、評価されている。また、敵に対してより強固な掩体壕や防護陣地を敷設する負担を掛けさせることもできるほか、発射するロケット弾に誘導装置などを搭載し、精密射撃(地対地、地対艦など)を行う装備もある。

紛争地帯などでは民兵が武装車両(テクニカル)に搭載している例も見られる[6]

多連装ロケット砲の例

第二次世界大戦

ソ連

BM-13-16 "カチューシャ"
  • BM-8/BM-13 "カチューシャ" シリーズ
    • BM-8 - 8連装、16連装、24連装、36連装、48連装 など
    • BM-13 - 16連装、24連装 など
    • BM-31 - 8連装、12連装 など

ドイツ

15cm ネーベルヴェルファー41型

アメリカ

T34 カリオペ ロケットランチャー

イギリス

ランドマットレス英語版 (手前側)
21cm ネーベルヴェルファー42型英語版 (奥側、ドイツ製)

日本

戦後・現用

アメリカ

M142 HIMARS

イスラエル

PULS(オランダ陸軍採用モデル)

ウクライナ

韓国

北朝鮮

  • KN-09-8連装
  • M1991 240mm自走ロケット砲 - 22連装のかなり大型の240mmロケット砲を搭載。
  • M1993 122mm自走ロケット砲-不明
  • M1985 240mm自走ロケット砲-不明
  • M1985 122mm自走ロケット砲-不明
  • KN-25 - 5連装または4連装.。装軌式は6連装発射機を搭載している。
  • 300mm多連装ロケット砲- 12連装
  • KN-15 - KN-09英語版の改良型。-8連装
  • 新型240mm多連装ロケット砲 - 22連装

台灣

雷霆2000 MK-15モジュール
雷霆2000 MK-30モジュール
雷霆2000 MK-45モジュール
  • Kung Feng 4(工蜂4型)-40連装
  • Kung Feng 6(工蜂6型)-45連装
  • Thunderbolt-2000(雷霆2000)
MK-15モジュール- 60連装
口径:117mm
長さ:1.9m
重量:42kg
最大射程:15km
弾頭:6.4mm 子弾×6400個
MK-30モジュール- 27連装
口径:182mm
長さ:3.9m
重量:186kg
最大射程:30km
弾頭:8mm 子弾×18300個またM77 DPICM 子弾×267個
MK-45モジュール- 12連装
口径:230mm
長さ:4.21m
重量:305kg
最大射程:45km
弾頭:8mm 子弾×25000個またM77 DPICM 子弾×518個
海巡署600トン級巡防救難艦艦載「鎮海火箭彈系統」
  • Zhen hai(鎮海火箭彈系統)- 42連装(艦載)
口径:70mm (ハイドラ70ロケット弾)
射程:5000-10000m

チェコスロバキア

中国

WS-22(バングラデシュ陸軍採用モデル)

ブラジル

ASTROS(インドネシア陸軍採用モデル)
  • ASTROS - 4連装、16連装、32連装

ポーランド

WR-40 Langusta

南アフリカ

ルーマニア

LAROM
  • LAROM英語版 - 122mmなら40連装、160mmなら26連装

ロシア(旧ソ連)

脚注

注釈

  1. ^ Multiple Launch Rocket Systemと大文字表記した場合には、M270 MLRSを特に指す固有名詞として使用される。

出典

  1. ^ “北朝鮮、放射砲発射か 韓国軍”. 時事通信. (2022年6月12日). https://web.archive.org/web/20220612131441/https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061200352&g=int 2022年6月12日閲覧。 
  2. ^ 研究紹介 2001.2 No.239”. www.isas.jaxa.jp. 2022年10月27日閲覧。
  3. ^ 「カチューシャ」から「HIMARS」へ 当たらぬゆえ多連装だったはずのロケット砲の系譜(乗りものニュース)”. Yahoo!ニュース. 2022年10月27日閲覧。
  4. ^ Time-Life Books, ed (1998-10-01) (英語). In the Land of the Dragon: Imperial China Ad 960-1368 (What Life Was Like) (First ed.). Time Life Education. ISBN 978-0783554587 
  5. ^ Type 63” (英語). Weaponsystems.net. 2021年2月21日閲覧。
  6. ^ Improvised Employment of S-5 Air-to-Surface Rockets in Land Warfare: A brief history and technical appraisal” (PDF) (英語). ARES (2014年). 2021年2月21日閲覧。

関連項目


多連装ロケット・システム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 16:19 UTC 版)

ガンダム開発計画」の記事における「多連装ロケット・システム」の解説

ハーモニー・オブ・ガンダム」で設定された。

※この「多連装ロケット・システム」の解説は、「ガンダム開発計画」の解説の一部です。
「多連装ロケット・システム」を含む「ガンダム開発計画」の記事については、「ガンダム開発計画」の概要を参照ください。

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