国会における議員辞職勧告決議
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「辞職勧告決議」の記事における「国会における議員辞職勧告決議」の解説
国会の本会議で議員辞職勧告決議が採決されたことは過去に5例ある(糾弾決議が採決された丸山を含めれば6例)。秋山と重政と西村(と丸山)を除く3人は議決時において逮捕勾留されており、議員活動が滞っていた。可決例は4例(丸山を含めれば5例)でいずれも可決された4人(丸山を含めれば5人)は議員辞職を拒否している。 かつては55年体制下では日本社会党など野党が不祥事疑惑がある自由民主党議員に対する辞職勧告決議の本会議採決を要求し、自由民主党は反対するという構図になっており、55年体制下で議員辞職勧告決議が採決されたのは1966年の重政庸徳の1例だけであった。1983年に田中角栄元首相に対してロッキード事件に関して一審実刑判決が出た際には野党が田中角栄議員辞職勧告決議の本会議採決を要求し国会が空転したこともある。 しかし、1997年1月に入ってからは逮捕や起訴を受けても議員辞職しない現職国会議員に対して議員辞職勧告決議が採決される傾向がある。また、民主党は過去には国会議員が逮捕や起訴がされていない疑惑の段階で議員辞職勧告決議案を提出をし、本会議採決を要求していたことがある(例として鈴木宗男や松浪健四郎など)。しかし、2010年に陸山会事件で逮捕された石川知裕(その後、起訴、一審有罪)や2020年にIR汚職事件で逮捕された秋元司(その後、起訴)について議員辞職勧告決議が提出されているが、与党が反対意向していることから現職国会議員に対しては議員辞職勧告決議が採決されない例が続いている。また、自由民主党議員に関して、収賄罪の有罪が確定した藤波孝生や二審で収賄罪の有罪判決が出た中村喜四郎に対する議員辞職勧告決議の採決を拒否した過去がある。 本会議における国会議員辞職勧告決議等採決例本会議採決日議院議員結果採決理由その後1966年(昭和41年)2月2日 参議院 重政庸徳 否決 起立少数 銃刀法違反による秘書の逮捕(国会内短銃密売事件) 自民党籍離脱し、77日間登院自粛。 1997年(平成9年)4月4日 参議院 友部達夫 可決 起立過半数 詐欺罪による起訴(オレンジ共済事件) 辞職拒否。有罪確定まで約4年間議員在職(本文)。 2002年(平成14年)6月21日 衆議院 鈴木宗男 可決 起立総員 収賄罪による逮捕(やまりん事件) 辞職拒否。衆議院解散まで約1年4ヶ月間議員在職(本文)。 2003年(平成15年)3月25日 衆議院 坂井隆憲 可決 異議なし 政治資金規正法違反による逮捕 辞職拒否。衆議院解散まで約7ヶ月間議員在職(本文)。 2006年(平成18年)3月17日 衆議院 西村眞悟 可決 起立多数 弁護士法違反による起訴(西村眞悟弁護士法違反事件) 辞職拒否。衆議院解散まで約3年4ヶ月間議員在職(本文)。 2019年(令和元年)6月6日 衆議院 丸山穂高※ 可決 異議なし ビザなし交流における北方領土戦争発言等 辞職拒否。衆議院解散まで約2年4ヶ月間議員在職(本文)。 ※「国会議員の資格はないと断ぜざるを得ない」「ただちに、自ら進退について判断するよう促す」とする糾弾決議。 議院運営委員会における国会議員辞職勧告決議等の質疑終局・即決動議の否決例委員会採決日議院議員結果理由1983年(昭和58年)5月25日 衆議院 佐藤孝行 挙手少数で否決 収賄罪による一審有罪判決懲役2年・執行猶予3年・追徴金200万円(ロッキード事件) 1983年(昭和58年)5月25日 衆議院 田中角栄 挙手少数で否決 収賄罪による起訴(ロッキード事件) 1999年(平成11年)11月4日 衆議院 藤波孝生 挙手少数で否決 収賄罪での最高裁有罪判決懲役3年・執行猶予4年・追徴金4270万円が確定(リクルート事件) 2000年(平成12年)3月28日 衆議院 藤波孝生 挙手少数で否決 収賄罪での最高裁有罪判決懲役3年・執行猶予4年・追徴金4270万円が確定(リクルート事件) 2001年(平成13年)5月18日 衆議院 中村喜四郎 可否同数委員長決裁で否決 収賄罪での二審有罪判決懲役1年6ヶ月・追徴金1000万円(ゼネコン汚職事件) 2002年(平成14年)3月20日 衆議院 鈴木宗男 挙手少数で否決 外務省疑惑 2002年(平成14年)5月14日 衆議院 鈴木宗男 可否同数委員長決裁で否決 偽計業務妨害罪での秘書の逮捕(ムネオハウス事件) 2003年(平成15年)6月12日 衆議院 松浪健四郎 挙手少数で否決 暴力団による秘書給与肩がわり
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