吸い込み方式と撹拌性能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 10:19 UTC 版)
「全自動麻雀卓」の記事における「吸い込み方式と撹拌性能」の解説
最初の全自動麻雀卓パイセッターは、卓内中央部分(ターンテーブルと呼ばれる部分)にすべての牌が落とされたのち、ターンテーブルが回転しながら、ただ1か所の吸い込み口から築牌台に牌を送り、牌山を並べる方式を採用した。この方式は、中央に集めた牌をほとんど洗牌することなく1つづつ順番にとりだし、端から順に並べて山を積むことを意味し、前の局の牌の並びの連続性が維持されてしまう(例えば567のシュンツや中中中などの刻子が、そのまま山に並べられてしまう)ことになった。そのため、手積みで牌山を積んだ状態に比較して全自動麻雀卓特有のクセ・偏りを生む結果となり「全自動麻雀卓はちゃんと混ざらない・撹拌が弱い」という否定的な評価を呼ぶこととなった。カキヌマ技研(1987年倒産)は、自社ブランドの『雀夢』の開発でパイセッター同様に1か所から吸い込む雀夢A型の開発からスタートし、2か所から吸い込む雀夢B型、4か所から吸い込む雀夢C型の開発に成功した。吸い込み口の増加にともない、前局の牌の並びを分断する確率が高くなる効果を生み、撹拌性能もアップすることになった。いち早く4か所吸い込み方式のセンチュリーの売り込みに成功したマツオカは、撹拌性能・耐久性を売り文句にシェアを大きく伸ばすことに成功した。しかしながら、21世紀以降に生産されている自動卓は全て4か所から吸い込む方式を採用しており、相対的にマツオカは強みを失うこととなった。その結果。2012年を持って、マツオカは麻雀卓の製造そのものからは撤退し、現在はイーガー枠を主軸とした販売会社として存続している。 ①1か所吸い込み方式を採用した代表的な卓(現在は全て生産終了) パイセッター/雀友/雀風(エムテックスマツムラ) 雀夢A型(カキヌマ技研)※雀夢D型も同様 雀華(ミユキ精機) 雀豪シリーズ(電元オートメーション)※雀豪マーク1/2/3及び雀豪DOME1/2 アモスギャバン(大洋化学)※いわゆる旧アモス・・・モンスター/コング/オーシャン/マーテル/プレジャー/雀竜の本体部分 ②2か所吸い込み方式を採用した卓(現在は全て生産中止) 雀夢B型(カキヌマ技研) 雀酔/コスモ(愛和技研→アイラブユー→コスモ) ③4か所吸い込み方式を採用した卓(旧モデル。現在、下記のもの現在は全て生産中止) 雀夢C型(カキヌマ技研) センチュリー(マツオカメカトロニクス)※鳳凰、ネクスト、モア、モア2 雀豪WONDER(DAI)※GAZZ 2型モデル 昇竜/MJJAPAN(電元オートメーション→DAI)・・・自動配牌機能あり。最初に配牌が上がってきて、配牌を前にひくと2段の山が上がってくる仕組み。 アモスキューブ(大洋化学)※いわゆる新アモス・・・自動配牌機能無しをA型、自動配牌機能有りをB型と呼んでいた。キューブ(A型)、キューブHD(B型)セヴィア(A/Bを発注時に指定)、アルティマ(B型)の本体部分 ④現在の状況(現行モデル。現在、国内で新品として販売されている全ての卓が4か所吸い込み方式を採用しており、その機構から大きく下記の5タイプに別れる) タイプ1-現行アモス業務用シリーズA型(大洋技研)※シャルム/ジョイ/ノア/ヴィエラ→自動配牌無し タイプ2-現行アモス業務用シリーズC/CS/CSJ型(大洋技研)※レックス1/2/3→自動配牌あり(アルティマの後継。レックス2以降はリンシャン下ろし、3方アガリを実装。) タイプ3-センチュリーシリーズBGタイプ(株式会社鳳凰)→自動配牌無し タイプ4-中華卓ベース自動配牌無し→アモスjp/AQUA/MJ-REVO/SlimPlus/GAZZなどの家庭用や廉価版と銘打たれることが多い製品群。タイプ1/2/3に比べ耐久性は劣る。 タイプ5-中華卓ベース自動配牌あり→S-tellar(ステラ)株式会社レディオシステムが中華卓に改造を加え開発した。タイプ1/2/3に比べ耐久性は劣る。 業務用卓における全自動配牌卓(アルティマ)のシェアが伸びるにしたがって、山からの取り出しという作業を省略する全自動配牌卓の仕様(4枚づつの取り出しという儀式が、最後のシャッフルの役割を果たしていたともいえる)により、全自動麻雀卓が持つ撹拌性能の弱さが再度顕在化し「自動配牌卓(アルティマ)は偏りがひどい。配牌が良すぎたり悪すぎたりする。山も同じ牌が連続していることが多い。上ヤマのほうが明らかに良ツモになる傾向がある」といった評判を生んだ。この状況に対処すべく、アルティマの開発元である大洋技研は自動配牌卓に対して更なる改良を重ねている。2014年には自動配牌卓で手牌と牌山が積まれる順番をランダムにするランダムセット機能を実装し(レックス1 ※同時にアルティマは廃番)、2016年には中央部に牌を留める機構をつけることにより、落とした牌がそのまま積まれず一度中央部に留め置かれてから吸い込みを開始することで、洗牌した状態を疑似的に実現した(レックス2追加オプションのシーパイレス)。 2021年発売モデルのレックス3ではシーパイレスが標準になり、配牌が上下揃った状態で上がってくる上下整列機能(レックス1/2で採用されたランダムセット機能か、レックス3上下整列機能のどちらかを購入時に選択する)により、吸い込みの際に上下そろっていなかった牌は一度ターンテーブルに落とし、結果として再度撹拌しなおされることで、副次的に撹拌性能を高める機能を実現している(レックス3上下整列バージョン、Mリーグで採用)。2022年には新たな自動配牌卓としてレディオシステムによりS-teller(ステラ)が開発された。ステラは山をあらかじめ3段に積み、上2段がヤマ、最下段が配牌となる仕組みを採用。上2段のヤマを前に出すと、最下段の配牌が持ち上がる仕組み。
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