同型トンネルについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 14:08 UTC 版)
「笹子トンネル天井板落下事故」の記事における「同型トンネルについて」の解説
国土交通省の緊急点検指示を受けて、各道路管理者(高速道路会社、地方整備局、地方自治体など)は該当する全トンネルの緊急点検を行い、以下のトンネルで不具合があったことが明らかになっている。 首都高速1号羽田線 羽田トンネル(東京都・首都高速道路管理)上下線1か所ずつ、計2か所で吊り上げ金具の破断を確認したと発表。発見直後の12月5日夜から6日早朝にかけて損傷箇所を金属製ワイヤーで補強する応急処置を実施したうえで、12月22日午後10時から25日午前5時まで前後の区間を通行止めにして天井板の撤去工事を行った。これらの天井板はもともと年度内に撤去する予定だったが、今回の事故を受け、前倒しして行われることとなった。なお、2011年8月の点検では異常が見つからなかったとしているが、2006年6月の点検では、下り線で吊り上げ金具1本が破断しているのが見つかっており、このときは残りの金具だけでも安全性は保たれるとして緊急の補修工事は見送っていたとしている。 阪神高速31号神戸山手線 神戸長田トンネル(兵庫県・阪神高速道路管理)吊り上げ天井のつり上げ金具全6,600か所のうち、北行き線の6か所と南行き線の1か所でボルト4本が抜け落ち、4本に緩みが見つかったと発表した。同日に緊急補修工事を実施した。金具の構造は6本のボルトで1つのつり金具を支える構造で、阪神高速道路が抜け落ちや緩みの原因を調べている。すでに4か所の補修を終え、残り3か所4本も早急に補修する方針である。阪神高速では、通行に支障のある状態ではないという発表をしている。最終的に天井板は2016年2月に撤去された。 国道19号 新鳥居トンネル(長野県・国土交通省中部地方整備局管理)トンネル上部に固定するボルトが2個ともない吊り金具が1本見つかったと発表。4日に作業員が発見し、5日に補修した。つり金具は、1.8メートル間隔で横2列に計約2,000本あり、天井板を支えている。左右2本のつり金具に天井板9枚分、重さにして約630キロの荷重がかかる構造である。ボルトのないつり金具が1本あったが、金具の下部が格子状のレールで他の金具と連結されており、天井板は崩落を免れたという。トンネルの点検は2年に一度実施しているが、従来の点検ではボルト欠損は見つからなかった。また、発表が7日になった点について飯田国道事務所は「内部の手続きが遅れた」と釈明した。その後、複数のメディアが中部地方整備局への取材結果として、この吊り金具に対応する天井のボルト穴がそもそも存在していなかったということを報じている。鳥居トンネルは1978年開通で、1995年に大規模改修を行っているが、いつの時点からボルト穴がないのかは判っていないという。最終的に天井板は2014年7月に撤去された。 国道197号 夜昼トンネル(愛媛県・愛媛県管理)4日に点検を実施し、固定ボルトの緩み39か所、吊り金具の腐食2か所、金具周辺のコンクリートの異音19か所が確認された。いずれも軽度であり、天井板落下などのおそれは低いとされた。固定ボルトの緩みは週内に、腐食・異音箇所は2012年内に補修を行うとした。 国土交通省が2012年12月17日現在でとりまとめたところによると、事故の発生した笹子トンネル上り線を除く対象の全60トンネルのうち上記を含む16トンネルで何らかの不具合が発見された。国土交通省によれば、いずれも安全上大きな問題はなく、緊急補修を実施または行う予定としているという。上述の他に不具合のあったトンネルは以下の通り。 高速道路会社管理(計8トンネル) 中央自動車道 恵那山トンネル(下り線)(2013年7月に天井板を撤去) 東名高速道路 都夫良野トンネル(下り線左ルート)(2013年9月に天井板を撤去) 京滋バイパス 宇治トンネル(上り線)(2013年12月に天井板を撤去) 九州自動車道 加久藤トンネル(上り線)(2014年11月に天井板を撤去) 国土交通省管理(計3トンネル) 国道46号 仙岩トンネル(2013年12月に天井板を撤去) 国道32号 大豊トンネル(2013年12月に天井板を撤去) 地方公共団体管理(計3トンネル) 国道137号 新御坂トンネル(2014年6月に天井板を撤去) 山梨県道6号甲府韮崎線 愛宕トンネル(2013年12月に天井板を撤去) 地方道路公社管理(計2トンネル) 名古屋高速2号東山線 東山トンネル(上り線)、同(下り線)(2019年2月に天井板を撤去) 笹子トンネルと同じ工法の国道112号月山道路月山第一トンネル、第二トンネル(笹子と同時期に施工)も、2012年12月に緊急点検が行われ、2013年10月末から天井板の撤去が行われたが、1996年のトンネル漏水防止工事の際に天井板吊下取付ボルトに脱落が見つかり、補強工事が行われていたことが判明した。
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