合成宝石(人工宝石)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 09:59 UTC 版)
天然宝石と同一の成分から科学的に作り出された宝石。天然宝石と化学成分・物理特性・内部構造が同じである。合成手法により原価が大きく異なるので価格も変わり、ベルヌーイ法で合成されたものは組成や結晶構造は全く同じにもかかわらず、単なる飾り石とされふつう宝石扱いされない。熱水法やフラックス法はコストも時間もかかるので製造原価が嵩むが、それでも天然宝石や処理宝石に比較して価格は安い。さらに、天然宝石にはしばしば見られる内包物(インクルージョン)やヒビ、傷がなく、見た目は天然宝石より美しいにもかかわらず一般に評価は低く、日本ではニセモノ扱いの域を出ず資産価値もないとされる。ダイヤモンドの場合は採算性の問題から遺灰ダイヤモンドといった非常に特殊な需要を除き、宝石質の石が合成されることはほとんどない。
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合成宝石(人工宝石)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 14:35 UTC 版)
synthetic(artificial), Lab-Createdとも表記され、科学的に合成された宝石である。天然宝石と同じ物質であるため物理的特質は同じである。宝飾品として以外に工業目的で利用されている。宝飾品としては諸外国でそれなりの評価がされる。合成ダイヤモンドを例に挙げると、アメリカ合衆国では1000軒以上の宝石店が取り扱っており、デ・ビアスが専門ブランド「ライトボックス」を2018年に立ち上げた。日本でも、合成であることを明示して独自ブランドを含めて取り扱う宝石業者や愛用する消費者が登場している。京セラはクレサンベールを展開している。 合成コランダム(ルビー、サファイア) 主に溶融法(ベルヌーイ法、チョクラルスキー法)、フラックス法(高温高圧法)で合成される。 熱水法でも合成は可能だが、その技術が完成したのが1990年代後半と遅かった(その頃には既に溶融法、フラックス法による製法が技術的に完成していた)、製造設備にコストがかかる上に設備の運営管理もかなり面倒、できた石は天然石と区別が容易(フラックス法合成石は区別が難しい)、そもそも合成宝石にはそれほど需要がない、と云った理由から市場にほとんど出回っていない。 ベルヌーイ法による人工合成がなされる以前の19世紀末頃、スイスで商品にならない屑ルビーを集め、それらを加熱して融かして一つにし、冷やして再結晶させたルビーが出回った。これはジュネーヴ・ルビーと呼ばれ、ベルヌーイ法合成ルビーが出回ると姿を消したが、今日でもアンティーク・ジュエリーなどに使用されている例がある。 現在では安価な溶融法で合成されたものは工業用途や飾り石に、天然と同じ原理で手間とコストと時間のかかるフラックス法で合成されたものが宝石として扱われるが、人気はあまりない。電気炉で原料を長期間加熱する方法では、2か月程度の過熱で200カラットを超える単結晶ルビーが形成される。天然石との鑑別法が確立されているため基本的に区別は容易である。ただし天然石をそっくりまねた悪質なニセモノがあり、専門家でも手を焼くことがある。なお、同じ3カラットのルビーの場合、溶融法合成石の価格を1とすると、天然石の価格はその1,000倍以上となる。 合成ダイヤモンド 詳細については「合成ダイヤモンド」を参照 主にフラックス法、化学気相成長法で合成される。 合成ダイヤモンドは工業用途や宝飾用途に用いられる。昔は技術やコストとの面から宝飾用はまずなかったが、技術の進歩により宝飾用途の合成ダイヤモンドも生産されるようになった。 合成エメラルド フラックス法で合成される他、価値の低い天然ベリルを母材とした熱水法が使用される。合成エメラルドの歴史は合成宝石の歴史、と言い切れるほど合成には苦労した石であり、合成エメラルド開発で培われた技術が、現在のハイテク素材開発の基礎となっている。 エメラルドはコランダムやスピネルとは異なり、ベルヌーイ法で合成しようとしても結晶にはならず、できるのは単なるガラスであるため合成には時間とコストのかかる上記のような方法しかないが、むしろ傷だらけの天然石よりも、インクルージョン(内包物)や傷のまったくない宝石的価値の高い美しい結晶が得られる。もっとも、故意に傷やインクルージョンを入れ、それらを天然石と偽って売る業者もいる。 なお、エメラルドの人工合成が研究されたのは宝飾目的ではなく、メーザー装置の発振素子に用いるためであった。 合成アレキサンドライト フラックス法で合成される。 アレキサンドライトは天然石がほとんど採れないため、市場に出回るのはほとんどが合成石、もしくは模造石である。希少な天然石はかなり低品質の石まで宝石扱いされ、ゆえに基本的に高品質な石しかない合成石の価格は決して安くはない。これはこの石が天然か合成かといった違いよりむしろ、石そのものの特性に着目して価格設定される故である。なおエメラルドと異なり、この石は天然石と合成石の鑑別は容易ではない。 合成オパール オパール層の固定が天然と異なるため厳密に言えば成功はしていない。ピエール・ギルソンが樹脂による固定法を提案して以来世界中に流通している。現在は京セラが世界シェアを独占している。
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