共楽館の建設と建築上の特徴とは? わかりやすく解説

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共楽館の建設と建築上の特徴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 23:42 UTC 版)

共楽館」の記事における「共楽館の建設と建築上の特徴」の解説

日立鉱山精錬部門中心地である大雄院地区計画され劇場建設は、現在残されている記録から1916年大正5年5月13日着工考えられる。この劇場建設開始時は大雄院劇場呼ばれていた。建設担当者が誰であったのかは不明であるが、当時新聞では鉱山技師東京帝国劇場歌舞伎座などの劇場視察した上で設計したものと報道された。実際共楽館設計に最も大きな影響与えたのは1911年明治44年)にリニューアルされた歌舞伎座であると考えられる同年開場した洋風建築帝国劇場とは対照的に歌舞伎座千鳥破風を持つ和風大屋根掛け外観和風建築としてリニューアルされた。共楽館建物全体和風大屋根被せており、正面には千鳥破風しつらえている。 なお、劇場建設開始され新町は、日立鉱山発足前は宮田川流域谷間水田地帯で、戸数4、5軒の農家があったのみであったが、日立鉱山発展に伴い労働者たちを顧客とする新町商店街形成されていった共楽館完成した頃には共楽館周辺には料理店酒屋並び当時日立で最も賑わう盛り場となっていた。 1917年大正6年1月日立鉱山工作課の事業報告によれば大雄院劇場工事進行状況98パーセントとなっており、すでに完成間近となっていたことがわかる。劇場開場予定紀元節2月11日とされ、予定通り1917年大正6年2月11日劇場杮落としが行われる。同年4月に「共に楽しむ」からその名を取って共楽館名づけられた。 完成した劇場総工費先述のように約35,000円。建物木造二階建て左右対称であり、正面の幅は約28.8メートル奥行きは約38.7メートル、高さは約16.6メートルであり、建築面積は338坪であった和風トタン大屋根掛け正面には千鳥破風しつらえた外観基本的に和風建築であるが、2階部分外周には西洋木造建築の手法であるハーフティンバー様式見られるなど、和風中にも洋風融合させた面もあった。一方屋根の構造である小屋組洋小屋トラスとなっており、木組みには当時和小屋では使用されなかった分厚い鉄板ボルトによる金物接合採用するなど、西洋建築技法用いられていた。また階段室玄関当時建物としては大ぶり作られており、屋根裏排気口多く設けられているという特徴もある。全体的に余裕がある大ぶり設計屋根裏排気口が多い点は工場建築類似しており、建物設計者いわゆる建築家ではなくて鉱山技師であることを示していると考えられる。なお、共楽館にはスラグ原料としたカラミレンガが使用されている。 建物内部構造は、1階コンクリート製の土間には8人掛け畳付き長椅子設置され2階部分全て桟敷席となっていた。現存する劇場本格的な椅子席が設置されたと確実にわかっているのは1917年大正6年完成共楽館日本でも最古の例である。これは単に歌舞伎などの舞台芸術ばかりではなく映画含めた多種多様な芸能の上演に使用することをもくろんだからと考えられる舞台向かって左側には花道があり、必要に応じて右側にも仮設花道設けることが出来た。また左側花道取り外しが可能となっており、イベントによっては花道取り外してその場所を厚板塞ぎ椅子並べることもあった。そして1階部分椅子自体取り外しが可能であり、土間の状態で使用することも出来た定員は980名とされたが、約4,000名もの入場者を集めたこともあった。 舞台には、2ヵ所に役者せり上がる時に使用する揚げ板付けられ直径約9.7メートル回り舞台があり、下座音楽演奏者詰め囃子場、義太夫のための太夫座があった。また役者楽屋相当する化粧室が5部屋、その他、小道具置き場、かつら室、衣装室、風呂場完備されていて、主として歌舞伎の上演を念頭に置いた設計なされていた。

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