全日本剣道選手権大会とは? わかりやすく解説

全日本剣道選手権大会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/23 02:54 UTC 版)

全日本剣道選手権大会
開始年 1953年昭和28年)
主催 (公財)全日本剣道連盟
会場 東京・日本武道館
開催期間 11月3日(文化の日
加盟国 日本
前回優勝 竹ノ内佑也
最多優勝 宮崎正裕(6回)
公式サイト
全日本剣道選手権大会
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全日本剣道選手権大会(ぜんにほんけんどうせんしゅけんたいかい)は、剣道日本選手権大会。後援はスポーツ庁読売新聞社、日本武道館他。

概要

トーナメント方式で男子剣道日本一選手を決める大会である。優勝者には天皇盃が授与され、最も栄誉ある剣道大会として位置付けられている。大会は厳粛に進行され、選手は強さのみならず、武道の精神に則った礼儀作法も求められる。

出場資格

全日本剣道連盟傘下の各都道府県剣道連盟が予選を実施する。予選の優勝者が本選に出場できる。ただし、北海道茨城県神奈川県静岡県愛知県兵庫県準優勝者も、千葉県大阪府埼玉県福岡県は準優勝者と第三位者も、東京都は準優勝者と第三位者と第四位者も出場できる(合計64名)。

第32回(1984年)から出場資格が六段以上に制限され[1]、第38回(1990年)から五段以上に緩和され、第43回(1995年)に段位制限が撤廃され20歳以上に改められた。

開催日

第30回(1982年)から毎年11月3日文化の日)。

会場

第1回(1953年蔵前国技館。第2回(1954年)、両国メモリアルホール。第3回(1955年)、両国国際スタジアム。第4回(1956年)から第11回(1963年)まで東京体育館にて開催された。

第12回(1964年)以降は現行の日本武道館。ただし第67回(2019年)は日本武道館が2020年東京オリンピックを見据えた施設改修工事期間中で使用出来ないことから大阪市中央体育館(丸善インテックアリーナ大阪)に場所を移して開催[2]。また第68回は女子との同時開催で長野市真島総合スポーツアリーナで開催。

第36回(1988年)から檜舞台を廃し床面で実施。

表彰・賞品

1958年(昭和33年)、宮内庁から全日本剣道連盟天皇盃が下賜され、男子優勝者に授与している。盃は純銀製で直径255ミリ、高さ175ミリ、重量2362グラム。優勝者には天皇盃の他に読売新聞社から優勝旗・日本武道館から日本武道館賞・全米剣道連盟から優勝杯と副賞としてJALアメリカ往復航空券が贈られる。

放送

大会の模様はNHK BS1及びNHK総合テレビジョン生放送される。視聴率2011年約4%、2012年約2%であった[3]。近年はYouTubeでのライブ配信なども行われている。

歴代優勝者

優勝回数は複数回優勝経験者のみ表記。

全日本剣道選手権大会 歴代優勝者[4][5]
開催年 氏名 称号段位 出場県 職業 年齢 優勝回数
1 1953 昭28 榊原正 錬士 愛知県 法務教官名古屋矯正管区 33歳
2 1954 昭29 小西雄一郎 錬士 福岡県 会社員(西日本鉄道 32歳
3 1955 昭30 中村太郎 教士 神奈川県 警察官(神奈川県警 33歳 (1)
4 1956 昭31 浅川春男 教士 岐阜県 37歳
5 1957 昭32 森田信尊 教士六段 長崎県 会社員(三菱鉱業 39歳
6 1958 昭33 鈴木守治 教士六段 愛知県 税務署員(名古屋国税局 38歳
7 1959 昭34 中村太郎 教士七段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 37歳 (2)
8 1960 昭35 桑原哲明 五段 宮崎県 会社員(旭化成工業 21歳
9 1961 昭36 伊保清次 教士七段 東京都 教員東京都立千歳高 41歳
10 1962 昭37 戸田忠男 五段 滋賀県 会社員(東洋レーヨン 23歳 (1)
11 1963 昭38 矢野太郎 教士七段 兵庫県 警察官(兵庫県警 40歳
12 1964 昭39 戸田忠男 五段 滋賀県 会社員(東洋レーヨン) 25歳 (2)
13 1965 昭40 西山泰弘 錬士六段 東京都 警察官(警視庁 29歳
14 1966 昭41 千葉仁 五段 東京都 警察官(警視庁) 22歳 (1)
15 1967 昭42 堀田国弘 教士七段 兵庫県 警察官(兵庫県警) 41歳
16 1968 昭43 山崎正平 教士七段 新潟県 新潟市役所職員 45歳
17 1969 昭44 千葉仁 錬士六段 東京都 警察官(警視庁) 25歳 (2)
18 1970 昭45 中村毅 錬士六段 東京都 警察官(警視庁) 29歳
19 1971 昭46 川添哲夫 四段 東京都 大学生(国士舘大4年) 21歳 (1)
20 1972 昭47 千葉仁 錬士六段 東京都 警察官(警視庁) 28歳 (3)
21 1973 昭48 山田博徳 錬士五段 熊本県 警察官(熊本県警 25歳
22 1974 昭49 横尾英治 五段 和歌山県 和歌山県教育委員会職員 24歳
23 1975 昭50 川添哲夫 五段 高知県 教員(高知学芸高 25歳 (2)
24 1976 昭51 右田幸次郎 四段 熊本県 教員(熊本県立熊本西高 23歳
25 1977 昭52 小川功 教士七段 大阪府 警察官(大阪府警 34歳
26 1978 昭53 石橋正久 五段 福岡県 警察官(福岡県警 27歳
27 1979 昭54 末野栄二 錬士六段 鹿児島県 警察官(鹿児島県警 30歳
28 1980 昭55 外山光利 五段 宮崎県 教員(日章学園高 26歳
29 1981 昭56 中田琇士 教士六段 東京都 警察官(警視庁) 34歳
30 1982 昭57 石田健一 錬士六段 大阪府 警察官(大阪府警) 33歳
31 1983 昭58 東一良 錬士六段 愛知県 警察官(愛知県警 33歳
32 1984 昭59 原田哲夫 錬士六段 京都府 警察官(京都府警 31歳
33 1985 昭60 石塚美文 錬士六段 大阪府 警察官(大阪府警) 34歳
34 1986 昭61 岩堀透 教士七段 大阪府 警察官(大阪府警) 34歳
35 1987 昭62 西川清紀 錬士六段 東京都 警察官(警視庁) 32歳 (1)
36 1988 昭63 林朗 錬士六段 北海道 北海道剣道連盟事務局員 30歳
37 1989 平01 西川清紀 錬士七段 東京都 警察官(警視庁) 34歳 (2)
38 1990 平02 宮崎正裕 六段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 27歳 (1)
39 1991 平03 宮崎正裕 錬士六段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 28歳 (2)
40 1992 平04 石田利也 錬士六段 大阪府 警察官(大阪府警) 31歳 (1)
41 1993 平05 宮崎正裕 錬士六段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 30歳 (3)
42 1994 平06 西川清紀 教士七段 東京都 警察官(警視庁) 39歳 (3)
43 1995 平07 石田利也 教士七段 大阪府 警察官(大阪府警) 34歳 (2)
44 1996 平08 宮崎正裕 錬士七段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 33歳 (4)
45 1997 平09 宮崎史裕 錬士六段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 32歳
46 1998 平10 宮崎正裕 教士七段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 35歳 (5)
47 1999 平11 宮崎正裕 教士七段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 36歳 (6)
48 2000 平12 栄花直輝 錬士六段 北海道 警察官(北海道警 33歳
49 2001 平13 岩佐英範 錬士六段 東京都 警察官(警視庁) 31歳
50 2002 平14 安藤戒牛 五段 愛知県 警察官(愛知県警) 29歳
51 2003 平15 近本巧 錬士六段 愛知県 警察官(愛知県警) 32歳
52 2004 平16 鈴木剛 六段 千葉県 警察官(千葉県警 32歳
53 2005 平17 原田悟 六段 東京都 警察官(警視庁) 32歳
54 2006 平18 内村良一 五段 東京都 警察官(警視庁) 26歳 (1)
55 2007 平19 寺本将司 六段 大阪府 警察官(大阪府警) 32歳
56 2008 平20 正代賢司 五段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 27歳
57 2009 平21 内村良一 五段 東京都 警察官(警視庁) 29歳 (2)
58 2010 平22 高鍋進 錬士六段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 34歳 (1)
59 2011 平23 高鍋進 錬士六段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 35歳 (2)
60 2012 平24 木和田大起 錬士六段 大阪府 警察官(大阪府警) 34歳
61 2013 平25 内村良一 錬士六段 東京都 警察官(警視庁) 33歳 (3)
62 2014 平26 竹ノ内佑也 四段 福岡県 大学生(筑波大3年) 21歳 (1)
63 2015 平27 西村英久 五段 熊本県 警察官(熊本県警) 26歳 (1)
64 2016 平28 勝見洋介 五段 神奈川県 警察官(神奈川県警) 30歳
65 2017 平29 西村英久 五段 熊本県 警察官(熊本県警) 28歳 (2)
66 2018 平30 西村英久 六段 熊本県 警察官(熊本県警) 29歳 (3)
67 2019 令01 國友錬太朗 五段 福岡県 警察官(福岡県警) 29歳
68 2021 令03 松﨑賢士郎 四段 茨城県 大学生(筑波大4年) 22歳
69 2021 令03 星子啓太 四段 鹿児島県 無職 23歳
70 2022 令04 村上哲彦 五段 愛媛県 警察官(愛媛県警 30歳
71 2023 令05 棗田龍介 四段 広島県 警察官(広島県警 23歳
72 2024 令06 竹ノ内佑也 六段 東京都 警察官(警視庁) 31歳 (2)
72 2025 令07

第68回大会(2021年)は3月に開催されている。

写真

第70回大会優勝 村上哲彦

記録

優勝回数

連続優勝記録

職業別優勝記録

警察官が最も多く、教員が次ぐ。大会初期に出場した選手の職業はさまざまであったが、昭和40年前後から警察勢が台頭し、昭和50年代にかけて教員勢と優勝を争うようになった。平成時代の優勝者は平成26年を除きすべて警察官。これらの警察官は術科特別訓練員(特練員)という選抜された剣道要員で、ほとんどが機動隊に所属している。なお、女子との同時開催だった第68回大会はコロナウイルス感染症問題で開催時期が遅れた上、警察庁の判断で警察官は出場しなかった。

都道府県別優勝回数(2024年大会まで)

2006年から2011年まで、熊本県出身者で6連覇を記録している(内村良一2006年2009年)、寺本将司2007年)、正代賢司2008年)、高鍋進2010年2011年))。

最年少優勝

最高齢優勝

  • 45歳:山崎正平(1968年・第16回)

入賞回数

  • 9回: 内村良一(優勝3回、準優勝5回、3位1回)
  • 8回: 宮崎正裕(優勝6回、準優勝2回)
  • 7回: 西川清紀(優勝3回、準優勝2回、3位2回)
  • 6回: 川添哲夫(優勝2回、準優勝1回、3位2回)/ 原田悟(優勝1回、準優勝2回、3位3回)

兄弟出場

兄弟対決

脚注

  1. ^ この制限により宮崎正裕は六段を取得するまで出場できなかった。
  2. ^ “剣道全日本選手権 史上初の3連覇狙う西村に注目「聖地」武道館を離れ初の大阪開催”. 毎日新聞デジタル. 毎日新聞社. 2 November 2019. p. 1. 2019年11月3日閲覧.
  3. ^ 大会報道 テレビ・新聞編|第60回 全日本剣道選手権大会|全日本剣道連盟
  4. ^ 全日本剣道連盟(旧サイト) (1953年 - 2008年). “全日本剣道選手権大会歴代優勝者”. 公益社団法人全日本剣道連盟(旧サイト). 2025年10月18日閲覧。
  5. ^ 全日本剣道連盟 (2024年). “第72回全日本剣道選手権大会 大会プログラム pp.25–29.「全日本剣道連選手権大会入賞者一覧」”. 公益社団法人全日本剣道連盟. 2025年10月18日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク





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