児童ポルノ事件
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「ピート・タウンゼント」の記事における「児童ポルノ事件」の解説
2003年1月11日、デイリー・メイルとザ・サン両紙が「ランドスライド社(児童ポルノを掲載していたサイトで警察に摘発された)でクレジットカードを使った顧客リストの中に英国在住の大物ロックスターが含まれている」と掲載、これを見たタウンゼントは「それは自分だ」と自ら名乗りあげた。13日、本人同意の下、警察がタウンゼントの自宅とオフィスを捜索、パソコンやテープレコーダーなどを押収し、タウンゼントは身柄を拘束され取り調べを受けた。保釈金を払って即日保釈されたが、この事件はメディアに大きく取り上げられ、さほど知名度が高くない日本でも大きく報道された。報道を受け、タウンゼントの母や相棒のダルトリー、また友人のブライアン・メイが「ピートは小児性愛者ではない」とタウンゼントを擁護。特にダルトリーは「これは魔女狩りだ」と英国警察に対する怒りを露にした。またミック・ジャガーやデヴィッド・ボウイら友人たちからタウンゼントを気遣う電話が来たり、ファンからたくさんの手紙が届いたという。 4ヶ月に及ぶ捜査の結果、問題となる物は一つも見つからなかったが、無罪放免とはならず、警察から訓告処分を受け入れ一定期間要注意人物リストに名前を載せられるか、無罪を主張し法廷で争うか、と選択を迫られた。精神的に疲労困憊していたタウンゼントは法廷闘争よりも訓告処分を受け入れることを選択し、5月7日、タウンゼンドは不起訴処分となる代わりに、5年間は彼の写真や指紋、DNAサンプルが英国内の性犯罪者リストに登録される事になった。この一件は彼が性犯罪者リストから抹消された後も尾を引き、2010年、ザ・フーがマイアミで行われるスーパーボウルでのハーフタイム・ショーへ出演することが決まると、地元の児童保護団体がタウンゼントを入国させないよう入国管理局に抗議した(実際に影響はなく、ハーフタイムショーへの出演は滞りなく行われている)。 タウンゼントは事件に関し、自身は決して小児性愛者でない事を主張した上で、「あのサイトにアクセスしたのは、インターネットではショッキングな映像が大人だけでなく子供でも簡単に手に入ることを懸念しており、'95年から始めているインターネットの児童ポルノがもたらすダメージ、特に児童虐待に反対するキャンペーンの調査の一環だった」と説明した(後段の通り、実際にはアクセスしていないことが判明している)。タウンゼントが児童ポルノの問題に関心をよせるようになったきっかけは、1998年にロシアの孤児院を題材にした映画を見て、自身も孤児院へ寄付をしたいとインターネットで検索をかけたところ、多数の性的虐待を受ける少年たちの画像を発見したことだった。この問題に激しい怒りを覚えた彼は、インターネットでこの問題について深く調査するようになり、銀行とブラウザ会社、そしてポルノ業者が結託して児童ポルノで金儲けをしている実情を浮き彫りにし、インターネットにレポートをアップする計画を立てた。しかし、画像自体は見ていないとは言え、児童ポルノのサイトにアクセスすることで自らを訴追の危険に追い込んでしまったのがいけなかったと本人は自著に記している。またタウンゼント自身も、幼少期に性的虐待を受けたことを仄めかしている。6歳から7歳までタウンゼントの面倒を見ていた祖母のデニーは、ある男性と交際していたが、自著の中でその男から性的虐待を受けたことを暗に示している。この体験から、その後同様の体験をした人たちが受けるグループカウンセリングに参加し、虐待を経験した大人たちのためのケアセンターを作る計画も立てていた。 “非合法なインターネット・コンテンツ、とくに児童虐待にあたる画像の削減”に取り組んでいる英インターネット監視基金(IWF)は、タウンゼントから2002年、児童ポルノについてリサーチしている際に問題のあるサイトを発見したという連絡があったと発表。IWFはタウンゼントが逮捕された今月初め、連絡があった事実を否定していたが、現在、タウンゼントの主張を裏付ける2002年夏から秋にかけてのEメールがいくつか見つかっているという。IWF側は「データ保護法の規定により、団体へ連絡があった情報についてコメントしたり、詳細を開示することは当人の許可がない限りできない」として、タウンゼントとの接触を否定するほかなかったと述べている。 2007年、ガーディアン紙の記者、ダンカン・キャンベルが、ランドスライド社のウェブサイト用のハードドライブを綿密に調べ上げた結果、タウンゼントがサイトの中に入ったという証拠も、また金を払った証拠も見つからなかったと報告し、タウンゼントが全くの無実であったことが証明された。 「オペレーション・オー」の項目も参照。
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