児童ポルノ取り締まり・規制との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 12:40 UTC 版)
「腐女子」の記事における「児童ポルノ取り締まり・規制との関連」の解説
やおい・BLジャンルのグローバル化で、過激な性描写、未成年に見えるようなキャラクターの性描写、現実社会での性犯罪との関連などに関し、各国で問題視し規制する動きも一部で出てきている。世界的に児童ポルノ取り締まりの機運が高まる中で、やおい・BL規制問題もこの構図に取り込まれている。フィクションの未成年であっても、現実世界で規制された行為を行うと読者の間違った性認識が強化されるという考えから、現実の未成年だけでなくアニメ、コミック、ゲームの未成年の登場人物にまで規制の対象を広げようとする事例がある。 2008年のオーストラリアのニューサウスウェールズ州のマキュアン事件では、アニメ『ザ・シンプソンズ』のエロティックな画像所持に「人物という解釈にはフィクションの人物も含まれる」として有罪判決が出ている。同年日本では、大阪府の堺市立図書館で、ボーイズラブ小説が収蔵・貸出されていることを非難する「市民の声」によって廃棄が要求され、ボーイズラブとされた5500冊の本が開架から除去される事件が起きた(参考・ボーイズラブ#堺市立図書館「BL」本排除事件)。中国では2010年に鄭州市で大々的な取り締まりがあり、ウェブ上でやおい・BLまたはスラッシュ作品を公開していた32人が逮捕されており、そのほとんどが20代の腐女子だった。 同年日本では、「18歳未満のフィクションのキャラクター(非実在青少年)の性描写」を大きく規制する東京都青少年健全育成条例改正案が発表され、大きな波紋を呼び、一度は否決されたが、「性犯罪や近親相姦の描写」に対する規制へと修正された上で可決され、不健全指定された書籍が撤去されるなどの事実上の検閲が行われている。この条例の危険性は藤本由香里を通してオタク・腐女子の間でも知られるようになり、プロ作家など一部の腐女子がロビイング活動など反対運動を行った。BL作家の水戸泉は「『プロ』は自らの問題として『官憲によって表現を規制されること』と対峙すべきです」と述べている。日本での非実在青少年問題には、過剰な純潔教育を掲げるカルト団体による政治への圧力も指摘されている。 2020年代現在では、東京都青少年の健全な育成に関する条例によって毎月指定される不健全図書の大半はBL作品となっている。指定された作品は都内で青少年向けに販売できなくなるほか、Amazon.co.jpにおける販売が停止される(不健全指定された書籍のタイトルなどは東京都のウェブサイト上の不健全指定図書類一覧で確認できる)。参議院議員の山田太郎は、こうした青少年健全育成を理由としたBLの規制に危惧を表明している。 やおい・BL規制研究の第一人者であるオーストラリアの研究者マーク・マクレランドは、腐女子のファン活動と実際の児童ポルノ犯罪の関連は全く検証されていないと述べている。
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