メートル法との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 07:18 UTC 版)
「ヤード・ポンド法」の記事における「メートル法との関係」の解説
ヤード原器とトロイポンド原器は、1834年のイギリス国会議事堂の火事(英語版)により焼損した。委員会によって1841年に公表された報告書に基づき、新しいヤードとポンドの原器は、利用できる最高の第二の資料を使って製造された。以前の原器とは異なり、白金製の新しいポンド原器は、常用ポンドの重さであった。新しいヤード原器は真鍮製で、1ヤードより少し長く、両端に円形の穴があって、そこに差し込まれた金のプラグに刻まれた線の間を1ヤードと定めた。これは、フランスのmètre des Archives(当初のメートル原器)での経験から、摩損を防ぐために工夫したものである。1855年の議員法によって、新しい長さと重さの原器が承認された。30年前にアメリカ合衆国とイギリスで異なるガロンを採用したという失敗を受け、ヤード原器とポンド原器の写しの1つが米国政府に提供された。米国に提供されたポンド原器の写しは、米国内ではミントポンド("Mint pound"、造幣局ポンド)として知られる。 1878年の度量衡法が可決されて以降、ヤード原器は一定の割合で減っていることがわかった。1950年に、その率が約30年に1ppmであるとわかった。一方、白金とイリジウムの合金でできた国際メートル原器(1889年にmètre des Archivesに代わってメートル原器となった)は、ヤード原器よりも安定していた。米英両国ともメートル条約の加盟国であるので、国際メートル原器・国際キログラム原器の写しの交付を受けた。ミントポンドもまた出来映えが良くないことがわかった。 1866年に、米国政府は契約法でメートル法の単位を使用することを合法化した。そして、慣習単位とメートル法の換算値を、取引に十分な有効数字5桁で定義した。 1893年、メンデンホール指令の下で、アメリカ合衆国は長さの標準としての1855年のヤード原器と質量の標準としてのミントポンドを廃止し、1866年の法律の使用していた換算値を使って、メートルとキログラムに基づいてヤードとポンドを再定義した。イギリスでは、帝国単位でメートル法の原器の比較を行い、それに基づき1897年の度量衡法(英語版)でメートルとキログラムに基づいてヤードとポンドを再定義した。加えて、英国政府が保持する原器によるヤードとポンドの定義も再確認されたので、ヤード・ポンドには2つの異なる定義が存在することとなった。英米のヤード・ポンドの違いは、2~3ppm程度であった。 メートル法との換算(1890年代)アメリカ合衆国メンデンホール指令(1893年)イギリス度量衡法(1897年)(英語版)差分(ppm)1 メートル = 39.37 インチ 1 メートル = 1.0936143 ヤード 2.9 1 キログラム = 2.2046 ポンド 1 キログラム = 2.2046223 ポンド 10.1 第二次世界大戦の終りまでに、カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカの標準研究所もポンドとヤードの原器の写しを保有した。マグリービが「不安定」と記述した(pg 290)これらの法的かつ技術的な矛盾が、1946年の連邦科学会議の開催に至った。会議では、イギリス連邦諸国とアメリカ合衆国のすべてが、メートルとキログラムに対する同意された比率によってヤードとポンドを再定義しなければならないと提案した。 この合意に基づき、1959年にヤードとポンドは以下のように再定義された。 1 国際ヤード = 0.9144 メートル 1 国際ポンド = 0.45359237 キログラム ポンドの換算値は、7で割り切れるように最後の桁が選ばれ、グレーンが正確に64.79891 ミリグラムとなるように作られた。 イギリスは1963年にこの協定に批准した。カナダでは、完全な国際合意に9年先行して1951年にこれらの値を採用していた。アメリカ合衆国議会は、協定に批准も否決もしなかった。
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