ポストペイ方式の採用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 14:29 UTC 版)
「PiTaPa」の記事における「ポストペイ方式の採用」の解説
前述の通り、PiTaPaは導入に当たってプリペイド方式ではなくポストペイ方式を採用している。この理由について、ITmediaが2006年にスルッとKANSAI PiTaPaビジネスサークルコアリーダー執行役員(当時)の松田圭史にインタビューした記事によると、1999年にSuicaが発表されたことを踏まえてICカードの導入を検討するに当たって、そのタイミングがスルッとKANSAI(磁気式プリペイドカードシステム)の導入を開始した1996年のわずか3年後であったことから、Suicaのようにシステム全体をプリペイドICカード対応に改めるフルスペックでのシステム導入は「スルッとKANSAI」システムとの二重投資となってしまうこと、同様にIC乗車券を導入していた香港の八達通(オクトパス)がオートチャージやポストペイの仕組みを導入していたことを踏まえ、投資コストを実質「自動改札機の改修のみ」とすることでフルスペックでの導入に比べて2割程度まで抑えるべく、プリペイド方式の「スルッとKANSAI」システムと両存させることを前提にポストペイ方式による別のシステムを導入した、と説明している。また、チャージの手間や残高の管理が面倒と感じる顧客の不満や、利用頻度に応じた割引サービス導入の要望もあり、これに対応させることもPiTaPaの導入につながっているとも説明している。 ポストペイ方式を採用していることから、PiTaPaは広義のクレジットカードに分類される。2009年12月の割賦販売法の改正に伴い、以降はPiTaPaベーシックカードをはじめとするPiTaPaそのものが同法の適用対象となり、発行元であるスルッとKANSAIが信用情報機関に加盟したほか、PiTaPaの重複発行禁止、引き落とし遅延時の遅延損害金計算率の見直しが行われている。 カードの発行(入会審査)に当たっては指定信用情報機関(シー・アイ・シー)を通じて信用情報の審査が行われ、審査結果によっては発行が行われないことがある。システム開発は三井住友カードが行っており、同社が審査や与信業務に関する業務を請け負っている。なお、一定額の保証金を予納することで与信審査を必要としない「保証金預託制PiTaPaベーシックカード」も用意されている(ETCパーソナルカードと同様の仕組み)。 利用限度額は全ての会員で一律固定となっており、交通サービスでの利用が1か月150,000円まで(割引を適用する前の運賃合計額)、ショッピングや施設での利用が1か月50,000円(1日に利用可能な額は30,000円まで)の計200,000円となっている。それぞれ1か月の限度額は本会員・家族会員の合算額での算出となる。利用代金の支払(引き落とし)は全て一括払いのみで、利用代金は毎月1日 - 末日の実績を集計し、翌月25日頃に請求書が郵送され(提携カードによっては手数料100円(税抜)が掛かる。PiTaPa倶楽部で解除可能)、翌々月10日に指定の口座から引き落とされる。また、1年間全く利用がない場合は維持管理料として1,000円(税抜)が請求される。尚、PiTaPa以外の別のクレジット機能(VISAなど)が付帯しているカードについては、その分に関わる手数料や限度額については、各カード会社が別途設定した額となり、それらの利用代金はPiTaPaとは別の枠であり、請求も別となる。 2017年3月31日にスルッとKANSAI(磁気式プリペイドカード)の共通利用が終了となることが発表されると、「ICOCA と PiTaPa との連携サービスの拡大」として大阪市交通局(当時)や南海電気鉄道など10社局がスルッとKANSAIの共通利用終了に前後してプリペイドカードおよび定期券としてICOCAを導入。一方で、2018年10月1日から近畿圏のICOCAエリアでPiTaPaのポストペイサービスを開始しており、「プリペイドはICOCA、ポストペイはPiTaPa」という棲み分けが行われるようになっている。 なお、PiTaPaのカードそのものにもプリペイド機能は搭載されているが、交通系ICカード全国相互利用サービスによる他ICカードエリアでの利用のために用意されているのみであり、PiTaPaエリア内ではプリペイド機能の利用は原則行われていない。2007年9月に大阪市が導入したPiTaPa仕様の 敬老優待乗車証、および2008年10月に神戸市が導入した 敬老パス でプリペイド利用が出来るが、それ以外のPiTaPaエリア内でのプリペイド利用は行われていない。
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