ETCパーソナルカード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:33 UTC 版)
クレジットカードの契約ができない、あるいは契約を望まない高速道路利用者からの、ETCを利用したいという要望に応えて企画されたETC利用者識別情報カードである。ETCシステムの全国一般運用開始からほぼ4年後、2005年11月29日に発行開始された。高速道路6社(東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、首都高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社)が共同で発行し、ETC利用者に貸与する。通常クレジットカードの発行に必要な「審査」に代わり、デポジット(預託金)を預託することで発行されることが、一般のETCカードとの違いである。 通常のETCカードと同様、ETCマイレージサービスが利用でき、各種割引サービスが受けられる。 ETCパーソナルカードの契約には6社を代表する「ETCカード事務局」に利用申込書を提出する。このとき月平均利用の見込み額、年間の最高利用月見込み額を申告する。ETCカード事務局は内容を審査の上、申込者にデポジットの金額を通知する。申込者は通知された金額を郵便振替又はコンビニエンスストアで払い込み、これをETCカード事務局が確認した後、申込者にETCパーソナルカードが貸与される。 デポジットは前払金ではなく、支払いには充当されない。解約の場合には、未払金の支払い後にデポジットが返還される。 通行料金は毎月末日を締め日として1か月ごとに集計され、翌月27日に、申し込み時に指定した銀行の預金口座、または郵便貯金の通常貯金口座から引き落とされる。特に指定する場合を除いてNEXCO中日本が6社を代表して収納事務を行う。 年会費1,257円が必要となる。これも通行料には充当されない。なお、2009年3月1日から2011年3月31日までの新規入会者は、初年度の年会費が無料であった。このキャンペーンの背景には、要望に応えてETCパーソナルカードを企画したものの思ったより普及が進まず、アンケート調査の結果、デポジット制の面倒くささや理解のしにくさもさることながら、年会費の高さが普及を阻害していることが判明したためである。 利用額の実績が申告より多い場合、デポジットの追加払込を要求されることがある。追加払込を拒否したり、月初からの累計がデポジット額の80%を超えた時点でサービスは停止する。したがって、デポジット額を少なく抑えるために過少申告すると、月の途中でETCを使えなくなって利用者自身が不便をこうむることになる。ただし短期的、例えば1ヶ月だけ申告より利用額の実績が多くなった場合には、その旨を事務局に説明すればデポジット額の80%を超えない限り、即サービスを停止されることはない。 上述の通り、ETCパーソナルカードの申し込み先は、クレジットカード会社ではなく高速道路6社である。発行にクレジットカードの契約は不要で、加入審査をパスするための担保は信用供与ではなく、預託金による物的保証である。よって信用情報機関の利用や登録も行われない。
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