ベストセラーとしての谷崎源氏とは? わかりやすく解説

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ベストセラーとしての谷崎源氏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 10:27 UTC 版)

谷崎潤一郎訳源氏物語」の記事における「ベストセラーとしての谷崎源氏」の解説

この「谷崎源氏」は、以下のように当時としては一大ベストセラーとなり、「源氏物語ブーム」を引き起こした初期の計画時には3部の売上見込んでおり、営業部員は「5万出せば成功」と考えていたが、結局初回配本17・8となった第1回配本後の追加注文だけで5万部もあり、多く追加注文殺到したために追加注文分の用紙確保印刷手間取りその結果1回配本予定していたところが、第2回配本当初予定していた1939年昭和14年2月ではなく2か月遅れの1939年昭和14年4月になり、第3回配本1939年昭和14年6月になったこのように多く売れた結果本書1939年昭和14年)を代表するベストセラーとなったまた、これによって大きな利益得た中央公論社について、「年に4回社員賞与与えられた」「源氏物語に繋がるイメージ持ったゲンジボタルデザインした社員バッジ新しく作り直して全社員に配付された」「税金対策のために35万円つかって雨宮庸蔵を代表とする財団法人国民学術協会」を設立した」といった様々なエピソード伝えられている。また旧訳完結した際、当時関西居住していた谷崎上京して中央公論社社員労をねぎらい一同歌舞伎座招待した。またこれとは別に、「生きている兵隊」による筆禍事件により1939年昭和16年8月中央公論社退社してしまっていた雨宮庸蔵労うため、雨宮装幀を手がけた画家長野草風偕楽園招待している。谷崎の妻松子によると、当時すでに作家として地位確立しそれなりの収入のあった谷崎であるが、美食家であることと引っ越し癖のためしばしば転居していたことにより、谷崎はあまり裕福とは言えない経済状況にあり、さらにこの時期最初の妻千代との間の娘鮎子学費2番目の妻丁未子が自立できるようにするための費用自身弟妹3番目の妻松子の妹重子や信子谷崎引き取った松子松子前夫根津松太郎の子供たちである清治恵美子養育費学費といった、収入遙かに超える多額出費重なったため、差し押さえを受けることもあるほど苦しかったが、谷崎家家計はこの『谷崎源氏』による多額収入があって以後裕福になり、金銭的に困ることは二度となくなったという。 新訳についても、第3巻までの累計販売部数25部にのぼるなど大ベストセラーとなった中央公論社社内では、戦後物資不足や経済的な混乱による売り上げの低迷のため「出来るだけ本は出すな」とまでいわれていた状況が、この新訳大い売れたことによって解消することになった。また谷崎は、それまで数年『宮本武蔵』などのベストセラー文化人部門長者番付の1位であった吉川英治抜いて、その年の文化人部門長者番付1位となった新訳完結した1954年昭和29年11月16日に、谷崎夫妻中央公論社社長嶋中雄作が、玉上琢弥克朗・宮地裕といった翻訳作業手伝った若手学者口述筆記手伝った伊吹和子別巻収録した隆能源氏白描画担当した大河内久男、中央公論社でこの新訳『源氏物語』担当者であった滝沢博夫らを招いて京都朝日会館レストラン・アラスカにおいて晩餐会行いその後一同祇園茶屋一力」に招待している。その後出版され挿画豪華新書版についても、第1巻だけで75千部突破第2巻65千部突破、新々訳について初版全巻累計1278千部・重版を含む累計1887千800部といった記録残されている。 1999年平成11年11月現在、作家の手になる現代語訳で、文庫化されているものの累計発行部数以下の通りとなっている。 与謝野晶子角川文庫3巻 172谷崎潤一郎中公文庫5巻 83円地文子訳 新潮文庫5巻 103部 田聖子新潮文庫5巻 250橋本治中公文庫14巻 42瀬戸内寂聴講談社10巻 210

※この「ベストセラーとしての谷崎源氏」の解説は、「谷崎潤一郎訳源氏物語」の解説の一部です。
「ベストセラーとしての谷崎源氏」を含む「谷崎潤一郎訳源氏物語」の記事については、「谷崎潤一郎訳源氏物語」の概要を参照ください。

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