フラクトゥールの歴史とは? わかりやすく解説

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フラクトゥールの歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 23:55 UTC 版)

フラクトゥール」の記事における「フラクトゥールの歴史」の解説

最初フラクトゥール神聖ローマ帝国マクシミリアン1世治世1493年 - 1519年)に、皇帝出版事業に際して特別にデザインされたものであるフラクトゥール人気博し以前ブラックレターであるシュヴァーバッハー体(Schwabacher、ヨハネス・グーテンベルク使った書体)やテクストゥアリス(Textualis/Textur、テクストゥラ体とも)などの書体に取って代わるようになり、様々なヴァリエーションフラクトゥール活字彫られるようになった。 他の多くヨーロッパ諸国ではブラックレター16世紀頃までに衰え古代ローマ書体模範にしてイタリアで発展し人文主義者らによってヨーロッパ広まっていたアンティカ体(英語版)、ローマン体によって置き換えられていった北欧諸国でも19世紀まではブラックレター使用されたが、例えデンマークでは19世紀半ばアンティカ体の利用増え1902年時点95%の印刷物アンティカ体を使用するようになっていた。ノルウェー同様に1900年頃にほとんどの印刷物アンティカ体に変わった。 しかしドイツ語圏では19世紀でもフラクトゥールでの製版常用されていた。いくつかの本はまだシュヴァーバッハー体を使用していたほどである。なかでも優勢なフラクトゥール書体は「Normalfraktur」と呼ばれるものであり、様々な細かい違い活字存在したドイツでもすべての文章フラクトゥール印刷されわけではないバロック時代には、科学技術関連文献アンティカで、詩はフラクトゥール記された。18-19世紀になるとフラクトゥール一般的な印刷書体として使用されるようになり、アンティカ出版物には国際的教養的・科学的といった属性が伴うようになったドイツ語アンティカフラクトゥールのどちらで表記するのがよいかという「アンティカ・フラクトゥール論争英語版)」が起こっている。特に19世紀初頭中世再評価ロマン主義国民文学創生時期には、ドイツ語ゲルマン的なフラクトゥールで書くのが一番しっくりとする、アンティカ体は軽薄だがフラクトゥール重厚中身がある、中世ゴシック文化全盛期彷彿ほうふつとさせるなどといったフラクトゥール擁護論喧伝けんでん)された。20世紀第一次世界大戦前にも、アンティカ体を推進する議論対しフラクトゥール読めるスピード速く読み間違えにくいため客観的に見て優れている、というフラクトゥール擁護論現われ激論となった20世紀ナチス・ドイツは、ドイツ故意に他の西欧諸国とは異なった国にしようという意図から、中世以来伝統的なフラクトゥール正式なドイツ語書体とし、国際的なアンティカ体はアーリア的ではないと宣告した1932年には出版物42%がフラクトゥール使用していたが、4年後の1936年には60%に増大した学校ではフラクトゥールおよびその筆記体 (Kurrent) のみが教えられルーン文字風のフラクトゥール変種作られた。 この公式な立場1930年代後半通じ維持されていたが、1940年3月ゲッベルス外国すべてのプロパガンダ文書アンティカ書かれるように命令した1941年1月3日官房長マルティン・ボルマン全ての政府機に対してフラクトゥールユダヤ人文字 (Judenlettern) なのでこれ以上使用禁止する」という文書発したためフラクトゥールは公式文書から消えてしまった。この命令原因として、ドイツ政府第二次世界大戦占領下置いた地域フラクトゥール命令伝達障害となっていることを認識したではないかという推測があるが、占領地域での伝達障害主な原因ドイツ人行政官フラクトゥール基礎にしたジュッターリーン体などの筆記体 (Kurrent) でありフラクトゥールそのものではないという反論がある。真の理由は、ドイツ国外接収した活字印刷機使ってドイツ語文書作りたかったからではないかともいわれるフラクトゥール戦後ドイツで短い期間ではあるが復活したドイツ多く印刷業者は1955年ごろまで資金不足にあえぎ、新し活字を買う余裕がなかったため古いフラクトゥール活字引っ張り出したのである経済復興する従いナチスあるいは帝政ドイツのような古い体制思わせる旧式フラクトゥールは、反ナチス法が追い風となり新聞書籍から姿を消した

※この「フラクトゥールの歴史」の解説は、「フラクトゥール」の解説の一部です。
「フラクトゥールの歴史」を含む「フラクトゥール」の記事については、「フラクトゥール」の概要を参照ください。

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