ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞の意味・解説 

ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/09 20:17 UTC 版)

ローマ建築」の記事における「ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞」の解説

古代世界で最も偉大な皇帝呼ばれるハドリアヌスは、トラヤヌス獲得したパルティアなどの不安定な領土維持放棄し国境線画定した ためバル・コクバの乱除いては、帝国平和な時代迎えたハドリアヌスによってもたらされた平和は、ローマ建築成熟させ、帝国威厳体現するようなすばらし建築生み出すことになった118年から128年にかけて建設されパンテオンは、現在でも内部空間実感できるローマ建築代表する建築物である。真円平面はたいへん単純なものだが、圧倒的な大きさ半球ドームと、その頂点から差し込む光によって、象徴的な空間となっている。あまりにも完成され空間であったことと、構造改編することが容易だとは思われなかったことで、ローマが完全にキリスト教化した後もこの建物破壊されず、608年、あるいは610年前後キリスト教聖堂として聖別された。この象徴性は、恐らくその設計のなかに隠され明快な比例関係起因するまた、基礎は、地盤面下幅約7m、深さ約4.5mに渡って造成されたローマン・コンクリートの上に組積された大理石で、建物上部凝灰岩、その上軽石ローマン・コンクリートによって整形されている。構造体には意図的に空洞穿たれ建物自重軽減しており、工学的見てもたいへん優れた設計が行われていることが分かるハドリアヌスティヴォリに作らせたヴィッラは、18世紀イギリス好まれカントリー・ハウス酷似し建築である。風景対す憧れローマ人々の心にすでに刻まれいたもので、キケロティベリウスネロドミティアヌスらは、自らの好む別荘ヴィッラ所持していた。ハドリアヌスヴィッラは、この種の建築としては残存する数少ないものであり、特定の平面構成持たず、自然の環境風景に応じて、かなり自由に造られヴィッラ特徴をよくつかむことができる。ハドリアヌス趣味はかなり折衷的なもので、彫刻については完全なギリシアのものからエジプト風のものまで一緒に置かれており、ほとんど好事家的であるが、建物そのものは、技術的洗練曲線多用色彩への関心、そして内部空間外部率直に表現することへの試み見られる当時最新住宅建築であった。「カノプス」、「海の劇場」、「黄金広間」など、このヴィッラには多く前衛的試み詰め込まれているが、それがこのヴィッラ魅力であると言えよう。 ハドリアヌス建設した建物で、最も有名で、最もよく目にするものが、現在はサンタンジェロ城呼ばれているハドリアヌス霊廟である。上部は後に補強されたもので、現在はローマ時代下部構造が残る。その着想アウグストゥス霊廟にあることは間違いないであろうが、より現代的な、そして要塞のようなデザインであった実際に4世紀にはアウレリアヌスの市壁組み込まれ軍事要塞として活用され、現在では完全に城として生まれ変わっている。 ハドリアヌス帝時代まで、ローマ建築意匠的にも工学的にも、絶え間のない開拓試みられたが、アントニヌス・ピウス即位した138年以降ローマ市建築活動極端に鈍化した首都ローマ2世紀中期には継続的な建設活動によって公共建築飽和状態迎えており、また、文化的に急速に進んだ西方属州追いつかれようとしていた。皇帝による公共事業は、セプティミウス・セウェルスカラカラアレクサンデル・セウェルスまでの短い期間に行われただけで、比較大きな公共工事は、カラカラ浴場アレクサンデル・セウェルス浴場、そしてパラティヌスの丘宮殿拡張工事が行われたに過ぎない。続く3世紀には、政治的混乱によって首都建築活動は完全に停滞期迎え、やがて首都コンスタンティヌス帝によって完全に見捨てられることになるのである

※この「ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞」の解説は、「ローマ建築」の解説の一部です。
「ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞」を含む「ローマ建築」の記事については、「ローマ建築」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞」の関連用語

ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ハドリアヌスの建築と首都ローマの停滞のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのローマ建築 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS