スケルトン RS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 04:56 UTC 版)
スケルトン RSRS120P高知県交通(画像は塗装変更後) 1977年、国内初のスケルトンボディを採用した日野スケルトン・RSを発売した。従来のモノコック構造では窓の大型化や軽量化などに限界があったが、これらのデメリットを克服し、またバリエーションの増大が進んでいたデザイン面でも差別化がなされ、当時のバス業界に大きな衝撃を与えた。 なお、同年には大阪の観光バス会社・中央交通がドイツのネオプラン・シティライナーを輸入し、輸入バスともどもスケルトンバスの時代が到来することになる。 車体構造には角型チューブによる骨格構造が取り入れられ、モノコックでは不可能だった窓の大型化やリベットの廃止による滑らかな外板、両スイング式の乗降扉など従来の国内観光バスのイメージを大きく変えた。日野はこのために、欧州では既に一般的であったスケルトンバス(メルセデス・ベンツ製O303)を1970年に輸入し、研究・開発を行った。 最初に登場したのは、11m級・ホイールベース5.6mのRS120P型で、エンジンはRV700シリーズのエンジンを改良したV8無過給のEF300型 (295ps) を搭載、ワイドサスペンションの採用など、従来のバスよりも乗り心地や性能面での向上も図られた。第1号車は高知県交通に納入され、メーカー塗装のまま活躍した。 1978年には、RS120P型を改良した新シリーズが発売、RSシリーズも本格化する。12m・ホイールベース6.6mのフルデッカーで、高出力エンジンを搭載したRS360P型が登場した。エンジンはRV500シリーズと共通のV8無過給のEF500型 (315ps) を搭載した。第1号車は奈良交通にサロンバスとして納入され、日野のデザイナーが提案したカラーデザインが導入の際に同社の貸切車のカラーとして採用され、現在に至るまで採用されている。 1979年には、RS100シリーズとRS300シリーズをそれぞれホイールベース2種に拡充した。低出力のRS100シリーズは、RS120PをRS121Pに変更、12m級のRS161Pが新規に追加された。一方、RS300シリーズはRS360Pの11m級タイプとしてRS320Pが追加された。昭和54年排出ガス規制適合により、識別記号K-が追加される(例:K-RS360P)。1981年には中間サイズの11.5m級のK-RS141P・K-RS340Pも追加されている。車体もより角張ったデザインになっている。なお、前頭部の窓をモノコック車にあったような、上部で斜めカットにしたフルデッカII型もラインナップされたが、導入例は少ない。 多くの観光バス事業者に注目されたが、価格の高さもあって、RSは各社ともサロンカーや固定窓を採用した高級観光バス用として導入されることが多かった。このため、一般観光タイプとしては引き続きモノコックのRVが生産された。また、子会社に西日本車体工業(西工)を持つ西日本鉄道は、西工の車体をスケルトン化するための参考として導入した。当時は日野車を入れていなかった阪急バスでも導入実績がある。それほどRSシリーズがバス業界に与えた印象が強かったのである。 他のメーカーもRSの登場に刺激され、モノコック構造ながらリベットレス化を図るなど、改良を進めた。そして、1982年には三菱自動車工業(→三菱ふそうトラック・バス)が初代エアロバスを発売し、リベットレス、スケルトンへの流れが決定的になっていった。日野も同年、RVをRSと統合し、ブルーリボンRU60/63に移行する。 RSはスタイルの良さも手伝って全国的に導入されていったが、保守的な一部のバス事業者にはRSに興味を示さず併売されたRVを増備するケースもあった。南九州では鹿児島交通と林田産業交通(当時)が共同出資で設立した鹿児島空港リムジン(現;いわさきバスネットワーク)を中心にK-RS340Pを積極的に導入していたが、隣県の宮崎交通は引き続きRV731P/K-RV732Pを導入しており、青森県の弘南バスなどでもフルデッカーのRVが継続して導入されていた。ブルーリボンRUでは、RSで課題とされたパワー不足や、軽量化のためスケルトンボディを採用したにもかかわらず逆に重量増を招いたことの反省から、大幅に商品力を高めた。RSは2000年代に入って経年による廃車が相次ぎ、現存する車両はかなり少ないと見られる。 スケルトンボディは従来のモノコックボディと異なり、強度を外板ではなく骨格で保つ方式で、トランクや窓などの開口部を大きくすることが可能である。しかしボディ剛性はやや劣る欠点があり、経年劣化で軋みの目立つ車両もある。特に汎用貸切車や中長距離都市間路線、空港リムジンバスに使用されたものはその傾向が顕著なようである。
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