シャフハウゼン子爵家とヘルクスハイマー伯爵家の決闘
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「銀河英雄伝説の戦役」の記事における「シャフハウゼン子爵家とヘルクスハイマー伯爵家の決闘」の解説
OVA版オリジナルエピソード(「外伝・決闘者」)。 宇宙暦792年/帝国暦483年1月。ハイドロメタル鉱山の利権を狙って、リッテンハイム侯爵の一門に連なるヘルクスハイマー伯爵がシャフハウゼン子爵に決闘を申し込んだ。ただしこれはラインハルトが関わった戦闘の一種であるが、軍事行動では無いので昇進には繋がっていない。 シャフハウゼン子爵の屋敷でアンネローゼと面会したラインハルトとキルヒアイスは、子爵夫人ドロテーアから、ヘルクスハイマー伯爵に故なく決闘を申し込まれており、しかも伯爵の差し金で練達した代理人を雇う事が出来ない事を知った。残された道は、荒事と縁のない子爵自身が死を覚悟で決闘に臨むか、理不尽でもハイドロメタル鉱山を差し出すかである。ラインハルトは強者の横暴を許せぬ義侠心からアンネローゼの数少ない友人の危機を看過できず代理人に立候補し、居合わせたヴェストパーレ男爵夫人が乗り気になって話を進め、代理人に決定した。当初、ラインハルトの練習は、決闘に用いられる火薬式の古風な短筒の扱いに慣れていないため成果が上がらなかったが、その練習の音を聞きつけて射撃場に現れた男コルネリアス・ルッツ少佐が、火薬式銃の撃ち方を指導し、ラインハルトはようやくコツをつかんで決闘に臨むことが出来た。この時ルッツが左腕を使って右腕を支持し、そして心臓をかばうようアドバイスした事が、後に効果を上げる。 その一方で、決闘の事を知ったベーネミュンデ侯爵夫人とグレーザー医師が、これを機にラインハルトを殺害するべく暗殺者(黒マントの男)を手配した。黒マントの男はラインハルトの決闘相手として予定されていたゴルトシュミットに決闘を申し込んで射殺し、代わってラインハルトの決闘相手として、ヘルクスハイマーに自分を売り込んだ。何も知らぬヘルクスハイマーはリッテンハイム侯に、小憎らしいラインハルトを打ち負かして恥をかかせるよう命じられていたのに切り札ゴルトシュミットを失ってしまったため、即座に応じて主命を果たすべく代理人を任せた。 決闘の場所はリッテンハイム侯爵家荘園の私設競馬場となり、その観客席は見世物気分で見物に来た貴族たちで満席となった。最初キルヒアイスは玄人相手の策として身体を移動させる事を進言したが、決闘本来の目的を重視するラインハルトは聞き入れなかった。だが、黒マントの男に死神を思わせるほどの凶気を感じたラインハルトは考えを変え、キルヒアイスの進言通り右側に飛んで相手の照準を狂わせ、左腕を撃たれながらも相手の利き腕である右肩に深手を負わせて勝利した。だが黒マントの男は剣による再戦を要求。この執拗さと、ルッツの助言通り左腕を前に突き出していなければ心臓を撃ち抜かれていた事実によって、二人とヴェストパーレ男爵夫人は黒マントの男がラインハルトを本気で殺すつもりだという事に気がついた。 決闘は剣によって再開されたが、利き腕を怪我しているにもかかわらず黒マントの男が逆手で一方的に押しまくり、ラインハルトは危機に陥った。だがそこに近衛兵たちが馬で乱入し、「決闘を中止し、鉱山の利権は折半して事を収めよ」という皇帝の勅命が言い渡された。これについてヴェストパーレ男爵夫人は「アンネローゼが皇帝に仲裁を頼んだ」と推測している。これに対しヘルクスハイマーは不満を表明したが、勅命が全ての法に優先する帝国では「陛下のご意思に逆らえば謀反になる」と近衛兵に明言され、苦渋の面持ちで引き下がった。 一方のシャフハウゼン子爵夫妻とマグダレーナは、利権が半分でも確保出来た事とラインハルトが負傷しながらも生き残った事を喜んだが、剣で負け、さらに皇帝に助けられた結果になったラインハルトは怒りに震えていた。唯一その事に気がついたキルヒアイスはその場を離れるようにラインハルトに促し、ラインハルトも表面上は冷静を保ちながら退去した。 黒マントの男はなおもラインハルトをつけねらい、傷が癒えるのを待っていた。だが、ベーネミュンデ侯爵夫人は待てず、即座に任務を遂行しなければ黒マントの男の方を始末せよとグレーザーに伝えた。2月に入り、ラインハルトの傷は癒えたが、アンネローゼの援護と皇帝の力で助けられた事は未だ心の傷となっていた。そこに黒マントの男から再戦の申し込みがあり、ラインハルトはキルヒアイスには内密で応じる事にしたが、キルヒアイスはラインハルトの様子からそれを察していた。なお、この時、ラインハルトが日本の剣術の資料を閲覧している場面があり、これが後に決闘の場で活きる事になる。 冬の森の中、騎乗したラインハルトと黒マントの男の剣での決闘が、貴族の見世物ではない本物の「死合い」がはじまった。ラインハルトは黒マントの男に落馬させられ、しかも剣を折られたが、相手の剣を真剣白刃取りで奪って蹴り倒し、決着を付けた。黒マントの男は自決し、依頼者の名前を漏らさぬまま絶命した。一方、物陰から見ていたキルヒアイスは、ラインハルトに銃を向ける第二の暗殺者(グレーザー医師)を発見して銃撃を阻止したが、取り押さえる事は出来なかった。ラインハルトはキルヒアイスの助太刀に気づいたが、やはり気づかぬふりをした。そして二人は互いを気遣いつつも、そ知らぬ顔のまま日常へと戻っていった。
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