コンステレーションの統合運用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 13:51 UTC 版)
「衛星測位システム」の記事における「コンステレーションの統合運用」の解説
全地球コンステレーションとして、GPS、GLONASS、ガリレオ、北斗の4つがあり全てが稼働すると100機以上の航法衛星が運用されることになる。また、地域コンステレーションとして準天頂衛星システムやインド地域航法衛星システムがある。このような航法衛星システムの構築と維持には多額の経費が掛かるため、特定の国家や軍が関与する割合が高い。 利用者側の立場から考えれば、GPSに限らず複数の航法衛星システムを1つの安価な受信機で測位に使用できれば可用性もしくは利便性や冗長性が向上が期待できる。具体的には、空が開けていない場所等の条件下でも、利用者受信機が可視衛星(さらには精度阻害の小さい可視衛星)を4機以上受信できる可能性が増大することになる。 また利用者にとって、特定の1つの航法衛星システムだけに頼って永続的なサービスの受益を期待することには不安が付きまとう。例えば、GPSは、航法衛星の長期運用の優れた技術を有しているが、その反面、寿命リスクが高まるぎりぎりまで衛星の更新を遅らせる傾向も見られ、利用者の立場では信頼度低下及び衛星数減少の不安も若干生じている。[要出典] ただし上記の複数の航法衛星システムは互いに独立して運用されており、軍用/民間用の種別や有料/無料の種別や使用周波数帯を含めた電波特性や基準系、時系、信号構造、コードも含めて、ほとんどが異なる仕様に基づいているため、共用受信機の設計においてはそれぞれの仕様を取り込む必要がある。 しかし、今後計画されているGPS Block III 衛星及びガリレオ衛星については、そのL1C信号の仕様について相互運用性が確保されており、共用受信機の設計は容易である。したがって両システムが稼働すれば利用者にとってあたかも現状の2倍すなわち50機以上の航法衛星を持つ全地球航法衛星システムとして利用できることが期待され、特に都市ビル街など天頂方向しか空が開けていない場所での可視衛星数の増加に劇的に寄与する。なお準天頂衛星システムの航法衛星(現在は4機体制、将来的に7機体制を計画)はGPSと統合運用を前提に設計されており、従って共通化されたL1C信号を送信するので上記の衛星群(50機以上)に加えて利用できる。 ただし信号共通仕様化がそれほど完全でなくても、各国の航法衛星システムの航法信号は中心周波数の共通化(L1周波数及びL5周波数)、共存性の確保、CDMA方式の採用、変調帯域幅のおおよその共通化、及びこれらの信号の民生使用開放が行われる見通しであり、多数の航法衛星システム信号に対応し100機以上の航法衛星に対応可能な安価な受信機も作り易く、将来は普及することが見込まれている。 最近では一般向けのGPS受信機(L1周波数)もGPS, GLONASS, SBAS, QZSS対応のICチップの発表が始まっている。iPhone 4S にもQualcommの MDM6610 が搭載され、衛星測位の受信機機能を担っている。
※この「コンステレーションの統合運用」の解説は、「衛星測位システム」の解説の一部です。
「コンステレーションの統合運用」を含む「衛星測位システム」の記事については、「衛星測位システム」の概要を参照ください。
- コンステレーションの統合運用のページへのリンク