カザンでの発展型
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「Mi-17 (航空機)」の記事における「カザンでの発展型」の解説
Mi-8MTV-5/Ми-8МТВ-5Mi-17V-5/Ми-17В-5 イラク空軍のMi-17V-5 用途:多目的ヘリコプター 分類:ヘリコプター 設計者: KVZ 製造者: KVZ 運用者 ロシア空軍(Mi-8MTV-5) ルワンダ空軍(Mi-17MD) ガーナ空軍(Mi-17V-5) ベネズエラ陸軍(Mi-17V-5パナレ) ネパール陸軍(Mi-17V-5)他 初飛行:1997年(Mi-17M) 生産開始:1997年 運用状況:現役 表示 Mi-8MTV-1/17-1Vに続き、1990年にはカザン・ヘリコプター工場にて新しい基本型となるMi-8MTV-2とMi-8MTV-3が開発された。これらのキャビンには従来の24名にかわり30名の空挺兵を収容できるようになっていた。また、装甲も強化され、各種システムも近代化された。Mi-8MTV-2ではスタブウイングのハードポイントは6箇所であったが、Mi-8MTV-3では4箇所に減ぜられ、かわりに対応する武装の種類は8種類から24種類に広げられた。Mi-8MTV-3は強度と弦を増した操舵ローターやパラシュートを使用しない空挺兵のためのシステム、重い物資を吊り上げることのできる機上起重機を装備した。1991年に完成したMi-8MTV-3は、輸出用のVIP仕様機であるMi-172の原型機となった。Mi-172は1994年に完成し、FAR-29の型式証明を得たあと輸出された。Mi-172のロシアでの型式は、Mi-172Aと呼ばれた。 1992年にはすべての近代化改修を取り入れた派生型となるMi-17Mが完成された。これまでの改良点に加え、Mi-17MではGPS航法システムと新しいレーダー、大型化された舷側扉、Mi-26式に改められた平面的な形状の水圧式タラップ型尾部ローディング・ランプが装備された。カナダのケロウナ・フライ社およびハネウェル社との交渉の結果、共同で西側仕様の派生型となるMi-17KFが開発された。この機体は、西側製の機材、特にグラスコックピットで特徴づけられた。エンジンは、出力1,923馬力(1,434kWt)のTV3-117MTと2,070馬力(1,545kWt)のTV3-117MVが任意に選択できた。なお、「KF」とは「ケロウナ・フライ」の略号である。 Mi-17Mは、1997年にカザンにてMi-17Mのデモ機が、当面の基本型となるMi-8MTV-5の基礎を作るために製作された。Mi-8MTV-5は輸出名称Mi-17V-5あるいはMi-17MDで呼ばれ、輸送機として国内外の航空機市場にて大きな成功を収めた。 Mi-8MTV-5が従来型と異なるのは、機体形状と構造が近代化された点であった。右舷には新しい出入扉が設けられ、左舷の扉は著しく拡大された。ランプの両開き扉は、Mi-17M同様水圧式のタラップ型扉に改められた。空挺兵席は36に増加された。こうした改設計により、空挺兵は3組に分かれ、後部ランプと左右2つの扉から同時に降下することができるようになった。36名が降下するのに掛かる時間は、わずか15分であった。 左舷扉が拡大されたことにより、新しい救助用装備品を搭載することができるようになった。装備品には、300kgまでの物資を吊り上げられる起重機も含まれた。この装置を使い、Mi-8MTV-5は同時に3名の人間を速やかに吊り上げることができた。床面に備わっている大型のハッチを開けることにより、外部に4.5tの物資を吊り下げることができた。 Mi-8MTV-5の機首部分は、完全に新しくされていた。流線型に改められた機首には、新しい気象レーダーや電波装備を搭載することができた。Mi-8MTV-5には、新しい航法装備や夜間暗視装置が搭載された。暗視装置の追加により、Mi-8MTV-5は全天候下において、また、あらゆる時間帯において積極的な活動ができるようになった。最終的に、Mi-8MTV-5は新しい外見と新しい装備を得て、今後とも主力機としてMi-8の派生型が世界中で運用されていく素地を作り上げた。 KVZで製造されているMi-17-1V、Mi-172、Mi-17V-5は、いずれもグラスコックピットと海外製の任意の機材を装備できるよう設計されている。エンジンは新しいVK-2500が用意されており、このエンジンは通常で2,400馬力、緊急時には2,700馬力の出力を発揮できる。補助動力装置には、チェコ製のSAFIR-5K/Gが選択されている。高山地帯であるチベットで行われた原型機Mi-17Vの試験では、飛行高度は7,950mに達し、標高5.5kmの地点での離着陸にも成功した。エンジンの始動は標高6kmまでで行うことができる。
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