イングランド国教会と国王至上法とは? わかりやすく解説

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イングランド国教会と国王至上法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 09:50 UTC 版)

トマス・クロムウェル」の記事における「イングランド国教会と国王至上法」の解説

当時ヘンリー8世王妃キャサリンとの間に第1王女メアリー(後のメアリー1世)しかおらず、高齢出産難しく男子出産期待出来ないキャサリンとの離婚問題協議させるため、後に宗教改革議会呼ばれることになる議会招集した。王はキャサリン侍女であり妊娠していたアン・ブーリンとの結婚生まれ子供嫡出子とすることを望んでいたため、キャサリンとの婚姻の無効化を望んでいた(カトリック教会では離婚認めていないため、それまで結婚そのもの無効とするよう教皇クレメンス7世へウルジーを通じて認可要請した失敗)。王の離婚意思支持して王の信頼得ていったクロムウェルは、やがて宮廷内に入って王の腹心となり、1532年には公的な手続き経ずして閣僚王室財宝部長官)となった1533年には財務大臣1534年には国王秘書長官英語版)、控訴院記録長官英語版)、1535年には最高首長代理1536年には王璽尚書出世重ねていくことになる。 こうして王の信頼得たクロムウェルは、イングランド宗教改革において重要な役割を果たすこととなったクロムウェル閣僚就任以前議会では、ローマ教皇庁意向も受け、王の結婚無効化認められることはなかったが、1532年クロムウェル主導権を握るや、議会での議論はたちまち変化していく。議会庶民院からの請願を王へ提出教会対す立法権イングランド王移行させると共に、初収入上納禁止法制定し教皇庁収入源泉であった司教からの上納金(初収入税(英語版))を遮断した。さらに1533年3月にはイングランド宗教改革土台となる「上告禁止法」を起草し議会通過させる教会裁判の最高決定権は王にあると主張イングランド法廷を飛び越えた教皇への上告を禁じたこの法は本来王の婚姻問題のために制定されたものであるが、クロムウェルの手腕により、後述のようにより大きな意味を持つ法となっていく。 クロムウェルによる同法序文には、イングランドは「帝国」であること、イングランド教皇庁管轄属さないこと(よって国王婚姻の有効問題教皇庁認可を必要としなくなった)などが高らかに宣言された。それまでイングランド君主が「皇帝」(Emperor)を名乗ることはあったが、これは単に複数の国々を支配する君主という意味である。しかしクロムウェルがここで用いた帝国」は、イングランドイングランド以外の君主支配されることはないという宣言であり、教皇庁から独立した国民国家nation-stateとなったことを告げ画期的なものであった議会では親カトリック議員抵抗予想されたため、周到な事前工作反対派抵抗封じて上告禁止法成立させた。 4月ヘンリー8世意を受けたカンタベリー大司教トマス・クランマー法廷主宰上告禁止法離婚問題最終決定の場となったこの法廷で王のキャサリンとの婚姻無効アン結婚認めた対すクレメンス7世ヘンリー8世との和解不可能と判断して破門したが、イングランド離反決定的となった9月には王妃になったアンが第2王女エリザベス(後のエリザベス1世)を出産した教皇庁からの独立に伴いクロムウェルは王に、イングランドにおける教会頂点に立つことを進言する1534年議会聖職者服従明文化した聖職者服従法、王とアンの間に生まれた子を王位継承者定め第一継承法続き議会通過させた首長令国王至上法)によって、イングランド国教会ローマ・カトリック教会から離脱しプロテスタント一派形成国王ヘンリー8世は「信仰の擁護者」として国教会の長となった。そして王が首長であることを否定する者を反逆者として断罪する反逆法も可決させた。 国王離婚のためだけに制定されたこの2つ法令は、イングランドにおける宗教史政治史転換点ともいえるものであったそれまで欧州全土普及していた教会組織の中で、一辺支部に過ぎなかったイングランド教会が、教皇庁から独立した組織イングランド国教会となったことを意味したのである(ただし典礼執行説教破門など霊的権限は王の権限入らず教義カトリック的という問題残された)。この一連の改革においてクロムウェル主要な役割果たしたが、当然のごとく反対派もまた少なくなかったヘンリー8世媚びるクロムウェルとは対称的にカトリックとしての立場から一貫して国王批判的であった大法官トマス・モアは、王やクロムウェル疎まれ失脚し、やがてロンドン塔に投獄され、1535年7月6日処刑されている。

※この「イングランド国教会と国王至上法」の解説は、「トマス・クロムウェル」の解説の一部です。
「イングランド国教会と国王至上法」を含む「トマス・クロムウェル」の記事については、「トマス・クロムウェル」の概要を参照ください。

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