イエシロアリ(職アリ)
兵アリ・職アリは体長3.5~6mm、体色が乳白色で、頭部が淡黄白色。兵アリの頭部は卵型。有翅虫は体長7~9mm〈翅9~13mm)、頭が褐色であるが、他の大部分は黄褐色で、翅は淡黄色で透明。
女王の体長は40mmに達する。
建築物の木材が最も被害を受け、地震や台風による建物倒壊の原因にもなる。このほか立木、本、畳、コンクリート、プラスチック、金属まで食害する。また、室内配線も浸触するので、断線や漏電、ひいては火災を引き起こす原因になる。
社会生活を営むことが知られ、女王、王、副女王、副王、職アリ(働きアリ)、兵アリなどの階級制度があり、完全な分業を行なっている。有翅虫(羽アリ)は、巣から飛び立ち地上で羽を落として交尾を行ない、新しい巣を作る。兵アリは、刺激を与えると前頭から防御物質である乳白色の粘液を出して威嚇する。
木材を最も嗜好し、特に湿度の高い場所の木部が被害を受けやすい。木材の表面を薄く残して内部を食い荒らし、空洞化させる。このほか立木、本、畳、コンクリート、プラスチック、金属まで食害する。神戸の震災で倒壊した家屋のほとんどが、実はシロアリの被害にあっていたという報告もある。多湿なところを好み、地中や建築物の中などに塊状の巣を作り、水を運ぶ能力があるので蟻道を作って比較的乾いた木材まで移動して食害することができる。巣の群(コロニー)は100万匹に達する巨大なものになる。羽アリは6~7月の風のない夕方から夜にかけて群飛することが多く、走光性があるため夜間の光に飛来する。
イエシロアリ
和名:イエシロアリ |
学名:Coptotermes formosanus Shiraki |
シロアリ目,ミゾガシラシロアリ科 |
分布:中国,台湾,琉球列島に広く分布し,九州と四国では低地に,本州では富士川以西の海岸に分布。 |
写真(上):イエシロアリ兵蟻(左)と職蟻(右) |
写真(下):イエシロアリ被害木材 |
説明 住居環境が好適化するに従って,神奈川や千葉県下でも定着している。有翅虫の体長は6.5〜8.5mmで体は黄褐色,頭部は濃褐色,翅は淡褐色で,6〜7月の夕方から夜間に群飛し,電燈に集る。兵蟻は体長4.5〜6.5mm。頭部は卵形で極めて攻撃的である。職蟻は体長3.0〜5.5mm。建築物,樹幹,切株等の内部や地下に巣を作る。この本巣から蟻道をつくり周辺を加害する。水を運び湿しながら加害するので,水のない部分に及び,範囲は100mにもなることがある。コンクリ−ト,プラスチック,ゴム,鉛管などにも穿孔する。防除は巣の除去か処理が必要である。シロアリの防除は社団法人日本しろあり対策協会の仕様書に従い処理を行うのが,現在最も信頼のある方法である。 |
家白蟻
イエシロアリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/23 15:05 UTC 版)
イエシロアリ | |||||||||||||||||||||||||||
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![]() イエシロアリ
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Coptotermes formosanaus SHIRAKI, 1905 | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
イエシロアリ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Orental termite, Formosan subterranean termite, Formosan white ant | |||||||||||||||||||||||||||
亜種 | |||||||||||||||||||||||||||
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イエシロアリ(家白蟻、学名:Coptotermes formosanus)は、ミゾガシラシロアリ科に分類されるシロアリの1種。建築物の害虫として重視されるシロアリである。別名、タイワンヒメシロアリ。中国名は乳白蟻、台湾泌乳螱。
特徴
大きさは有翅虫で7 - 8mm、働きアリで5 - 7mm、女王アリは大きいもので40mmに達する。兵隊アリは頭部は卵円形で扁平、大顎は鋭く、弯曲している。また、有翅虫が頭部が褐色で胸腹部は黄褐色である。
ヤマトシロアリに似るが、全体的に大きい。また、兵隊アリの頭部は、本種の方が幅広い。また、有翅虫は本種が淡い褐色で大きいのに対して、ヤマトシロアリは全体に小型で黒っぽいので、明確に判別できる。
生態
他のシロアリと同様社会性昆虫で、集団をなし、枯れ木や朽木を食べる。その内部に巣を作る。特に湿った材を好む。巣は材の中にいたるところに掘られた巣穴と、材の外に続く巣穴に作られた、塊状の巣からなる。この巣は、湿ったところの地下に作られ、そこからあちこちの材へとトンネルを繋げ、大規模に食害する。一群を構成する個体数は、最大で100万に達する[1]。
分布
暖地性の種で、その定着の条件として、「1月の平均気温4℃、最低平均気温0℃」とされる。野外では本州では静岡県以南に分布、屋内では神奈川まで知られるが、温暖化により、その拡大が懸念されている[1]。
世界的には、中国から台湾にかけてが原産地と考えられるが、北アメリカ、アフリカ東部、スリランカ、ハワイなど、世界的に分布を広げている[1]。
被害
日本本土では、ヤマトシロアリとともに、被害の大きいものである。ただし、ヤマトシロアリより、イエシロアリの方が、大規模な被害を引き起こしやすい。
- ヤマトシロアリは、最初から湿っている材を食害し、その内部に巣を作るため、被害が局所にとどまる。
- これに対して、イエシロアリは、乾燥した材に水や湿った土を運び込むことで、乾いた材を湿らせる習性があるため、食害範囲が大きく広がること、および、巣が材の外の地下にもあり、時には100mも離れた場所にまで被害が広がることがあるためである。同時に、このことが、防除を困難にもしている。
被害は建材以外にも、書籍、立木や、時には地下ケーブルまで攻撃を受ける[1]。
脚注
外部リンク
イエシロアリと同じ種類の言葉
固有名詞の分類
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