単細胞生物の限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 08:27 UTC 版)
単細胞では、体を大きくするのが困難と考えられる。実際には、単細胞生物であっても、大きいものは肉眼的なものがある。普通の単細胞生物では、アメーバ、イエシロアリの腸内微生物に1 mm近いものがある。それ以上大きいと、体の形を支えるのが困難なのであろう。しかし、固い殻を持つ有孔虫では現生のゼニイシが直径1 cm、化石種にはもっと大きなものがある。深海に生息するクセノフィオフォラの1種、Syringammina fragillissimaは、直径が20 cmにもなる。さらに、細胞の仕切がない点だけを問題にするならば、もっと大きいものが存在する。藻類では、細胞壁があり、さらに細胞内に支える仕組みを持っているものがあり、オオバロニアは球形で直径3 cm以上、カサノリは長さ5 cm、マガタマモは10 cmにも達する。ミルは細かい糸状体が絡まった構造で1 m、さらに粘菌の変形体は薄く広がるため場合によっては3 mを超える。このような大型のものは、細胞内に多数の核を持つ多核体である。どうやら、単細胞で大きくなることの問題点の一つは、大きくなると核の支配を細胞全体に行き渡らせることが難しい点にもあるらしい。また、乾燥への対応も難しいようだ。しかも陸では体を支えるのがさらに困難である。単細胞で大きなものはなく、乾燥に対しては休眠で耐えるもの以外にはないようである。
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