アメリカ陸軍の弾種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 07:54 UTC 版)
「.30-06スプリングフィールド弾」の記事における「アメリカ陸軍の弾種」の解説
「注」.30-06弾薬は、多種のそれぞれ異なる弾丸が異なる仕様で商業用に量産されている。 徹甲弾、M2 この弾薬は軽装甲車両、防護されたシェルター、および兵員に対して使用され、黒く塗られた弾丸先端部によって識別できる (このため別名「ブラック・チップ」と呼ばれる)。弾丸は平底で重量が10.53 gから10.89 gである。弾芯は工具鋼製と考えられている (普通弾の弾芯は鉛)。現代の防弾服の性能基準は数種類あるが、最も代表的なNIJ規格による最高グレードであるタイプIVボディアーマーの認定基準は、M2徹甲弾に対する防御力を持つことである。このためボディアーマーの試験用などの用途で、現在でも少数が流通・販売されている。 徹甲焼夷弾、T15/M14およびM14A1 この弾薬はM2徹甲弾の代わりとしても使える弾で、通常は可燃性の目標に対して使用された。この弾丸の先端はアルミニウム塗料で色付けされていた。M14A1は、改良された弾芯のデザインと焼夷剤を特徴としている。 普通弾、M1906 この弾薬は兵員と非装甲の目標に対して用いられた。また弾丸が銀色に塗られたことで識別できた。M1906弾薬は、9.7 g重で平底形状の弾丸を装着した。弾丸の被甲は銅ニッケル合金で、銃身の汚れが早いことが確認された。 普通弾、M1 このM1弾薬は弾丸重量11.2 g、9度のボートテールを持ち、弾丸形状が空気力学上の効率を求めて設計されている。初速は低かったものの、効率の良い外形により、速度と運動エネルギーを維持し続ける範囲がより増大していた。銃身の汚れを軽減するために被甲の材質が真鍮へと変更された。 普通弾、M2 9.8 g重の弾丸を装着し、M1906の弾丸形状を基礎としたこの弾薬は、M1普通弾から真鍮製の被甲を取り入れ、さらに従来よりわずかに重くなった純鉛の弾芯を結合した。この弾薬は、初期の弾薬のいずれよりも高い銃口初速を発揮した。 空包、M1909 この弾薬は小銃射撃の模擬に用いられる。この弾薬は弾丸を装着していないこと、また薬莢のネック部分につけられた環状溝が赤いラッカーで封じられていたことで識別される。この弾薬は儀礼用のM1ガーランド小銃で使用される、未だに現役の弾薬である。現代のM1909弾薬はバラを折り込んだ空包であるが、この弾薬は旧来と同じ制式のままである。 擬製弾、M40 この弾薬は訓練用に用いられた。薬莢には縦方向に6本の溝がついており、また雷管がつけられていない。 榴弾、T99 少量の炸薬を内蔵した弾薬。しばしば「観測時に爆発する」弾薬として説明された。T99が採用されたことは全くなかった。 フランジブル弾、M22 この弾丸は堅固な目標または装甲に命中すると分解した。また射手が射撃訓練を行う際、命中時に鉛筆のようなマークを残して着弾を示した。この弾薬は識別のために弾丸先端部が緑色、弾薬筒後部も緑色で白帯がついていた。 高圧試験弾、M1 この弾薬は.30-06弾を使用する小銃および機関銃の閉鎖試験用だった。製造後、試験後または修理後に用いられた。この弾薬は識別のため、薬莢がスズで銀色に着色されていた。 焼夷弾、M1917 初期の焼夷弾薬。この弾丸は着弾の衝撃で容易に前方へ着火するよう、ノーズ部分に大きな焼夷剤の収容部をもうけていた。この結果、M1917は衝撃で膨張しやすい傾向があった。またM1917は先端部が黒く染められていた。 焼夷弾、M1918 M1917弾薬の派生型である。この弾薬は通常の弾丸形状になっていたが、これは先端部が開かれた形状のエクスパンディング弾に関する国際法に従ったものである。 焼夷弾、M1 この弾薬は非装甲で可燃性の目標に対して用いられた。弾丸先端部が青色に塗装された。 競技弾、M72 この弾薬は射撃大会での発砲に使用された。また弾頭部に刻印された「MATCH」の文字で識別できる。 曳光弾、M1 探射、信号、目標の測距に使用された曳光弾。また焼夷用途にも使われた。M1弾薬は先端部が赤い。 曳光弾、M2 探射、信号、目標の測距に使用された曳光弾。また焼夷用途にも使われた。内蔵された薬剤の燃焼時間が短い。M2弾薬の原型は先端部が白かったが、M1弾薬と同様赤い先端部に切り替えられた。 曳光弾、T10/M25 M1/M2よりも改良された曳光弾。明度に関し、M1やM2曳光弾よりも燃焼の激しさが抑えられていた。M25はオレンジ色の先端を持つ。 ライフルグレネード弾薬、M1、M2およびM3/E1 これらの弾薬はM1グレネードランチャー(M1903小銃用)、M2グレネードランチャー(M1917小銃用)、およびM7シリーズのグレネードランチャーを小銃に接続した上で用いられ、ライフルグレネードを推進させる役割を担っていた。この弾薬には弾丸が無く、薬莢の口が閉じられていた。これら3種類の弾薬の間にある違いとは、ライフルグレネードの飛距離に関係する推進薬の量の差である。M3E1の特徴は延長された薬莢のネック部分だった。
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