『バビロニア誌』原資料と内容とは? わかりやすく解説

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『バビロニア誌』原資料と内容

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 14:34 UTC 版)

ベロッソス」の記事における「『バビロニア誌』原資料と内容」の解説

エウセビオス古アルメニア語訳とシュンケロスによる記述『年代記』、『年代誌選集』)はどちらもベロッソス使用した公的な記録」を書き留めており、ベロッソス自身そうした資料カタログ化していた可能性はある。だからといって原資料について完全にベロッソス信頼できるというわけではなく、原資料取り扱うことができたということと、普通のバビロニア人が手にすることのできなかった神殿保存されていた祭祀資料聖なる資料利用することができたということである。現在知られているメソポタミア神話ベロッソス有る程度まで比較することはできるが、その時代の文献のほとんどが現存していないため、ベロッソス伝えているとされる資料との厳密な照合難しい。確実なのは、ギリシャ語で彼が行おうとした著述形式現実バビロニア語文献とは差異があるということだ第一書の断片エウセビオスとシュンケロスに残っていて、ベルマルドゥク)によるタラット(ティアマト退治などを含む創造物語秩序確立記述している。ベロッソスによればすべての知識創造のあと生みの怪物オアンネスによって人類もたらされたという。もしこれがすべてならば、VerbruggheとWickershamの言うように(2000: 17)、上述した占星術について断片一致するのである第二書は創造からナボナッサロス(Nabonassaros, 統治紀元前747年 - 紀元前734年)に至るバビロニア諸王歴史記述している。エウセビオスは、アポロドロスが「ベロッソスは、最初の王アロロス(Aloros)からクシストロス(Xisouthros)そして大洪水に至る年代43万年としている」といっているのを伝えている。ベロッソスの描く系譜からして、彼がここ、特に(伝説的な大洪水以前の王たち、それとセナケイリモス(Senakheirimos, センナケリブ)からの前7世紀以降編纂するときに『王名表』を手元においていたのは確実である。シュンケロスに残っているベロッソスによる大洪水について記述は非常に『ギルガメシュ叙事詩』のある版に類似している。しかしこの叙事詩においては主人公はウトナピシュティムだが、クシストロスの名はどちらかというとシュメール大洪水神話主人公であるジウスドラギリシア語表記のように思われるベロッソスがここで何を書かなかったのかについても考察余地がある。彼の時代多く文書みられるようなサルゴン紀元前2300年頃)の誕生伝説についての豊富な情報触れ機会いくらでもあったはずなのだが、言及していない。著名なバビロニアの王ハンムラビ紀元前1750年頃)についても、わずかしか触れられていないしかしながら女王セミラミス(おそらくシャムシ・アダド5世統治紀元前824年 -紀元前811年)の妻であるセンムラマート)がアッシリア人であるということは指摘している。おそらくこれは、セミラミスバビロン創始者であるとかシリア女神デルケトの娘であるとか、ニヌスギリシア人によるとニネヴェ創始者)と結婚したなどというように彼女を神話化していたギリシア人著述家たちへの反論なのだろう。 第三書はおそらくナボナッサロス(Nabonassaros)からアンティオコス1世に至るバビロン歴史である。彼はここでも王名表に従っているようだが、現在いくつか知られているうちのどれを利用したかは判然としない通常は『王名表A』(紀元前5世紀写し一つ)と『年代記1』(一つ確実に紀元前500年のものとされる3つの写し)というメソポタミア史料が、彼が利用したものではないか推定されている(ただし、差異もある)。このうちナブコドノロソス(Naboukhodonosoros, ネブカドネザル2世統治紀元前604年 - 紀元前562年)とナボンネドス(Nabonnedos, ナボニドゥス統治紀元前556年 - 紀元前539年)の時代大部分現存している。ここでようやく現代の我々はベロッソスによる歴史解釈どのようなのだったかをはじめて知ることができるのだが、それは、彼らの道徳的行為基盤とした諸王成功および失敗道徳化である。こうした解釈別のバビロニア史である『ナボニドゥス年代記』に似ているが、トゥキディデスのような合理主義的なギリシアの歴史家とは異なるところである。

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