『バビロニア誌』の功績とは? わかりやすく解説

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『バビロニア誌』の功績

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 14:34 UTC 版)

ベロッソス」の記事における「『バビロニア誌』の功績」の解説

ベロッソス功績は、まず第一にヘレニズム的な歴史叙述方法メソポタミア的な記述組み合わせ、独自の構成作り上げたというところにあるとみられている。ヘロドトストゥキュディデスのように、彼はおそらく後世著述家のために自筆したと思われる。その他では、彼はヘロドトスエジプトに対して行なったようなバビロニアについての地誌的な記述をいれ、ギリシア的な分類方法適用している。彼が、とくに詳しくない時代である最初期の歴史について、その調査情報追加することに抵抗してたとする証拠が少しある。第三書に至ってようやく、我々は描写内に彼の意見を見ることができるようになる第二に、彼はヘロドトスや『旧約聖書』のように、世界の創造から彼の同時代までの物語構築した。そのなかに、神聖な神話歴史途切れなくつながっている。ベロッソスヘレニズム的な神々存在神話対す懐疑主義信奉してたかどうかはわからないが、たとえば諷刺的なオウィディウス以上にそうした事象信仰していたということはいえよう。シュンケロスの伝えているような自然主義的な態度は、おそらくベロッソス自身ものというよりは、彼を伝えた後代ギリシア人著述家たちの影響よるものだろう。 とはいえ彼の同時代もそれに続く時代も、『バビロニア誌』広く読まれることはなかった。VerbuggheとWickershamは、『バビロニア誌』対すヘレニズム世界関心欠如は、シケリアのディオドロス同様に奇妙なエジプト神話についての著作残っていることからして内容自体ヘレニズム世界関連性がなかったわけではない、と論じている。むしろ逆にパルティア朝下におけるメソポタミアギリシア・ローマ世界とのつながり減少部分的に原因着せられるではないか思われるまた、ベロッソスは、特に自分詳しくなかった時代について、物語を描くための資料があったにしても、その著作中に多く物語入れてはいなかった。VerbuggheとWickershamはこう指摘する。 たぶん、ベロッソス自身方法論目的囚われていたのだ。彼は使用した古代の記録肉付けすることを嫌い、より近い時代歴史についても、残されたものから判断するならば、それは物語の骨子以外の何者でもなかった。ベロッソスが、歴史パターン繰り返す連続性があると信じてたとするならば(つまり、天体運行同じよう出来事にも周期性があるということ)、物語の骨子充分だったのである事実、これはバビロニア人ができただろうか(できるだろうか)と疑う以上のものなのである。すでにバビロニア歴史譚に没頭していればそのパターン気づきベロッソス歴史解釈理解するだろう。事実、もしも、こうしたことがベロッソス想定内だとすれば、彼は、善悪単純化し多様生き生きとした歴史物語慣れきっていたギリシア読者楽しませることを犠牲にした、という点でミス犯したのだ(2000: 32)。 ベロッソス著作のうち残りは、メソポタミア歴史再構築するのに無用なのだった学者にとって大きな関心があるのは、彼の歴史叙述対すアプローチであり、それはギリシアメソポタミア両方方法論縛られいたものだった。ベロッソス方法論古代世界の「歴史としてのヘシオドスヘロドトスマネト、そして『旧約聖書』(とくにモーセ五書)の類似性は、古代人による世界観についてヒント与えてくれる。いずれも始まり空想的な創造説話で、神話的な祖先時代続き、そして最終的に歴史的であるとされる最近の王たちの記述へと連なっていく。断絶存在しない。Blenkinsoppはこう述べている。 ベロッソスは「歴史」を構築するにあたって、特に『エヌマ・エリシュ』や『アトラ・ハシース物語』、王名表のようなよく知られ資料など見られるメソポタミア神話-歴史叙述伝統のっとった。それらの資料普遍史叙述における出発地点や概念的枠組提供したのである。しかし、神話的あるいはアーカイックな要素は、ある程度真に歴史的であるといわれているような支配者たちの年代記組み込まれた(1992: 41)。

※この「『バビロニア誌』の功績」の解説は、「ベロッソス」の解説の一部です。
「『バビロニア誌』の功績」を含む「ベロッソス」の記事については、「ベロッソス」の概要を参照ください。

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