宇宙戦艦ヤマト 完結編 宇宙戦艦ヤマト 完結編の概要

宇宙戦艦ヤマト 完結編

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/26 16:30 UTC 版)

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宇宙戦艦ヤマトシリーズ > 宇宙戦艦ヤマト 完結編
宇宙戦艦ヤマト 完結編
Final Yamato
監督 勝間田具治
西崎義展
舛田利雄(総監修)
脚本 山本英明
笠原和夫
山本暎一
舛田利雄
西崎義展
製作総指揮 西崎義展
出演者 富山敬
麻上洋子
納谷悟朗
仲代達矢(ナレーター)
音楽 宮川泰
羽田健太郎
主題歌 「古代(おれ)とヤマト」(ささきいさお
「ラブ・シュープリーム〜至上の愛〜」(八神純子
撮影 清水政夫
編集 千蔵豊
製作会社 東映動画
配給 東映洋画[1]
公開 1983年3月19日(35mm版)
1983年11月5日(70mm版)
1985年8月10日(特別篇)
上映時間 152分(35mm版)/163分(70mm版)
製作国 日本
言語 日本語
配給収入 10億1000万円[2]
前作 ヤマトよ永遠に[注 1]
次作 宇宙戦艦ヤマト 復活篇
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通称「完結編」「ヤマト完結編」「ファイナル・ヤマト(Final Yamato)」。ナレーションは俳優の仲代達矢

宇宙戦艦ヤマトシリーズの第8作目、劇場用映画としては第4作目であり、シリーズの最終作品として製作された。ただし、2009年には続編の『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』が製作されている[注 2]

キャッチコピーは「宇宙にひろがる永遠のロマン!ファイナル・ヤマトの熱い感動を―いま、あなたに伝えたい…」。

作品解説

制作状況

本作が公開された1983年春は、『うる星やつら オンリー・ユー』、『幻魔大戦』、『クラッシャージョウ』と長編アニメーションの公開が重なり、掛け持ち状態の主要スタッフが多かった。

本作の公開は、1981年4月放送の『宇宙戦艦ヤマトIII』最終回で1982年夏予定と告知されたが、製作作業の遅れから1983年3月12日に延期され、『クラッシャージョウ』『幻魔大戦』と同日公開と決定される。しかしさらに1週間延期されて19日公開と改められるも、音楽ダビングの予定が遅れたことから完成は18日昼過ぎとなり、19日朝からの全国110館での一斉公開は不可能になった。上映プリントの輸送が遅れたのは、北海道、九州が全館、東北、北陸では一部で、約30館が影響を受けた。早いところでは19日中にフィルムが届いて同日中に半日遅れで上映されたが、翌20日からの公開となったところがあった[3]

後に再編集された70ミリ・6chステレオ版が完全版として1983年11月5日に公開されている。

音楽

劇中音楽では、それまでピアニストとしてヤマトの音楽を支えてきた羽田健太郎も、宮川泰と共に作曲に参加している。羽田の起用は、宮川泰、田代敦己、西崎義展の3人で話し合い、「マンネリ化を避けるため、新しい血を導入しよう。すべてのジャンルをリフレッシュしよう」と言うことで決まった[4]ポップス系の音楽家である宮川とは対照的なクラシック音楽出身の羽田の参加、加えて本作自体がスケールの大きいストーリーであることから、本作の音楽は全体的にクラシックの要素を多く取り入れたものとなっている[5]

本作では、二人の作曲家から同一メニューによる別の音楽的回答を引き出すコンペ形式を導入し、最終的にベストな楽曲が本編に採用された[6][7]。結果、羽田は主にディンギル側の音楽と、ヤマトの小曲、ラストのピアノコンチェルトなどを多く担当し、宮川は従来通りヤマト側と戦闘曲、イメージ曲などを担当となり、両者の個性を相乗効果で盛り上げることとなった。また、前作『宇宙戦艦ヤマトIII』に引き続き、宮川秦の息子である宮川彬良も、ノンクレジットではあるが参加しており、父親が用意した2種類のメロディを基に「大ディンギル帝国星」[注 3]を作曲している[8]

前述の経緯により、楽曲は多数制作されたが、劇中では一切使用されなかった曲も多い[注 4]日本コロムビアのCD「YAMATO SOUND ALMANAC」シリーズ[注 5]に収録されているものだけでも、(ボーカル曲のインストゥルメンタル版や同一曲のミックス違いなどを除いても)曲数は90曲前後、演奏時間は5時間を超えている[注 6]。また、当時手伝いとして参加しており、後にヤマトシリーズで音響監督を務めることになる吉田知弘は、「10時間分の曲を撮った」と述べている[9]。また、CDなどのメディアに収録される際、アレンジ曲や演奏バリエーション曲は、互いに同じ曲名になっているものも非常に多い。

演出

時系列では直前の作品である『宇宙戦艦ヤマトIII』で艦長に就任した古代進は、冒頭で多数の犠牲者を出してしまったことで引責辞任し、戦闘班長に降格している。これに伴い、ヤマト初代艦長であった沖田十三が復活し、再び艦長に就任しており、完結編という事でのご都合主義ともいえる展開は賛否を呼び、沖田役の納谷も後年の取材で(亡くなった筈の沖田が復活する展開に)困惑したと漏らしていた[10]

劇中でも佐渡酒造が自らの誤診を「全国の皆さんに坊主になってお詫びせにゃならんな」と発言するシーンがある。

古代がヤマトのパルスレーザー砲を「高角砲」と呼んだり、コスモタイガーIIの塗装がそれまでの銀色から大戦後期以後の日本海軍機色(濃緑色、明灰白色)への変更、随伴して出撃した駆逐艦冬月」を始め、太平洋戦争末期の戦艦大和最後の出撃に随伴した艦と同じ、あるいはそれに近い艦名が使用されている。

また、ヤマトが都市衛星ウルクに着陸して戦闘する描写は天一号作戦において大和が目指した自力座礁して陸上砲台となるという構想を基としているなど、大和の水上特攻をモデルとする演出が多く見られ、ヤマトの最期であることが示されている。

時代設定

前作『宇宙戦艦ヤマトIII』は制作当時の設定年代は西暦2205年(劇中のナレーションは西暦23世紀初頭と述べるのみ)であり、本作も制作開始当初は、前作の設定年代を守り、西暦2205年とされていた[注 7]

西崎は公式資料集にて、冒頭の銀河の大異変は『ヤマトIII』時に創ったガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦を消し飛ばすために登場させたと述べており[12]、このことからも、西崎は『ヤマトIII』と『完結編』とがつながっていることを意識していることが分かる。

ストーリー

西暦2203年、銀河系中心部の宇宙で大きな異変が生じた。異次元断層から別の銀河が現れ、核恒星系付近で銀河系同士の衝突が起こり、多くの星々が消滅した。古代進は「宇宙戦艦ヤマト」の艦長として地球防衛軍の命を受け、この宇宙災害の調査と、その宙域にある友好国「ガルマン・ガミラス帝国」の本星へ赴いていた。だが、生存者を確認出来ないまま宇宙災害の大爆発に飲み込まれ、やむなく危険を冒して無差別ワープを強行し、この宙域から離脱する。

そんな中、地球から3000光年離れたアンファ恒星系にて、銀河を回遊する水惑星「アクエリアス」が現れ、その第4惑星「ディンギル星」を水没させる。偶然ディンギル星の至近距離へワープアウトしたヤマトは、アクエリアスの水に襲われ逃げ惑っているこの星の人々を目撃する。古代達は決死の救助活動を行うが突如ヤマトを大波が襲い、1人の少年を救っただけでヤマトクルーに多大な犠牲者を出す結果となる。その後、ヤマトはディンギル帝国の艦隊と遭遇。ハイパー放射ミサイルの攻撃を受けて全乗組員が死亡あるいは仮死状態となり戦闘不能に陥るが、墜落した惑星で運よく自動操縦システムが起動し、地球へ向かう。

母星を失ったディンギル星人の長「ルガール」は新たな移住先として地球に狙いを定め、アクエリアスを人為的にワープさせることで母星と同じように地球を水没させ、地球人類を絶滅させた後に移住することを画策する。ヤマトの情報からアクエリアスの存在を確認した地球人類は、接近してくるアクエリアスによる水没を避けるため地球からの一時避難を開始するが、ディンギル艦隊の攻撃によって避難船団や地球艦隊までもが全滅させられ、地球人類は地球に封じ込められていく。

帰還したヤマトから奇跡的に生還した古代進は、自分の判断ミスにより多くの乗組員の命を犠牲にした責任を取るため艦長を辞任するが、ヤマトの第一艦橋で聞いた初代艦長「沖田十三」の声に、再びヤマトに乗り組む決意をする。ヤマト出撃の日、新たなヤマトの艦長が沖田十三であるという驚愕の発表がなされる。沖田はイスカンダルへの航海の途中に死亡とされたが脳死には至っておらず、地球を救うためヤマトに戻ってきたのだった。蘇った沖田のもと、ヤマトはアクエリアスのワープ阻止のため発進する。

冥王星での戦いで敵艦隊を撃破したヤマトは単身アクエリアスへ辿り着くが、ワープシステムらしきものを発見出来ずにいた。だが、そこに現れた女神クイーン・オブ・アクエリアスから、アクエリアスのワープの原因、そしてそれを引き起こすディンギル星人の正体が太古に地球から脱出した地球人の末裔であるという事実を知らされる。出現した敵艦隊を退け、敵の拠点「都市衛星ウルク」へと強行着陸したヤマトは敵のワープシステムの破壊を試みるが、奮戦虚しく失敗に終わる。その戦闘の中で、ディンギル星からただ1人救いあげたディンギルの少年や、古代の親友・島も命を落とす。

アクエリアスを追い、ヤマトは地球へと辿り着くが、もはやアクエリアスの地球への接近を阻止することは不可能だった。誰もが最悪の事態を覚悟する中、沖田と古代はヤマトを自爆させ、アクエリアスから地球へ伸びる水柱を断ち切るという計画を考える。反対する乗組員たちを古代は諌め、誰もが悲しみに暮れる中、ヤマトの自沈計画のため、アクエリアスの海上にディンギル星人が建造したトリチウム採取プラントに降り立ち、準備を進めていく。地球へ到着したヤマトは合流した駆逐艦「冬月」へ乗組員を移乗させ、単艦自沈のために発進する。だが、その第一艦橋には沖田の姿があった。自動制御で行われるはずの計画は偽りであり、実は万が一の失敗を防ぐため、自爆は沖田自身による手動操作で行われるものだった。ヤマト乗組員たちが困惑して騒ぐ中、古代と雪、そして真田と佐渡はヤマトと沖田に向かって敬礼し、他の乗組員たちもそれに従い敬礼で沖田とヤマトを見送る。

地球とアクエリアスの中間点に辿りついたヤマトは、アクエリアスから伸びる水柱を自爆により断ち切ることに成功。その後、行き場を失いアクエリアスと地球の間に広がった水(宇宙の海)からヤマトの艦首が起き上がり、そのまま静かに宇宙の海(復活篇では凍っている)へと沈んでいった。




注釈

  1. ^ 本作との間にテレビシリーズ『宇宙戦艦ヤマトIII』を挟む。
  2. ^ 1990年代に本作の続編とされる作品として、OVAYAMATO2520』および映画『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』が企画された。前者は未完となり、後者の製作も一度は中止されたがのちに再開、2009年に公開された。
  3. ^ 本編公開に先行してイメージアルバム的なものとして発売された音楽集「宇宙戦艦ヤマト ファイナルへ向けての序曲」の収録曲として作曲された曲。本編においても、ディンギル艦隊が地球の避難船団を攻撃するシーンで使用された。
  4. ^ 1983年1月15日にニッポン放送オールナイトニッポン」で放送された、本作のラジオドラマでのみ使用された曲もある。
  5. ^ 「1982-I ファイナルへ向けての序曲」(2013年9月、COCX-3740)、「1983-I 宇宙戦艦ヤマト 完結編 音楽集 PART 1」(2013年11月、COCX-37404)、「1983-II 宇宙戦艦ヤマト 完結編 音楽集 PART 2」(2013年11月、COCX-37405)、「1983-III 宇宙戦艦ヤマト 完結編 音楽集 PART 3」(2013年11月、COCX-37406)、「1983-IV 宇宙戦艦ヤマト 完結編 BGM集」(2014年1月、COCX-37407)、「1974-1983 YAMATO MUSIC ADDENDUM」(2015年10月、3枚組、COCX-39257-9)の計8枚。
  6. ^ ただし、音楽集収録曲など一部は劇伴としてというよりもイメージパイロットアルバム的なものとして作曲されたものである[6]
  7. ^ 少なくとも1982年2月アップのシナリオ案の段階では2205年表記である[11]。この時点では、ディンギルの名が「バルカン」であるなど実際の作品とは異なる部分もあるものの、銀河の大異変が発生してガルマン・ガミラス、ボラー両国が壊滅、アクエリアスが接近するなどの基本部分はすでに出来上がっている。
  8. ^ この事に関して、本作のスタッフで、後年『宇宙戦艦ヤマト2199』の総監督を務めた出渕裕が、「冒頭に衝突する二つの銀河とあるが、銀河の直径は約10万光年あり、衝突には10万光年かかる。あれは衝突ではなく、他世界解釈で『もう一つの銀河』が重なりあったとし、もう一つの銀河にはヤマトが旅立てなかった赤い地球がある。そしてそこには発進できなかったヤマトが眠っていて、艦長室に沖田艦長がいる。それだったら登場しても可笑しくない」というアイデアを出したが採用されなかったと『月刊モデルグラフィックス』2014年3月号のp. 31で語っている。
  9. ^ 松本零士原作の小説『銀河鉄道999 ULTIMATE JOURNEY』には「爆雷波動砲」装備の戦艦が登場している。聞こえ方により「はくらい(白雷)波動砲」とも。[要出典]
  10. ^ ディンギル軍の地球本土空襲シーンの終了間際、ナレーションでは「地球にはもはや、満足に戦える戦艦も宇宙船も、1隻も残っていなかった…」と語られているが、この「地球」が地球防衛軍を指しているのであれば矛盾が生じる。
  11. ^ 正しくは「宇宙水雷艇」であり、略称であれば『宙雷艇』という呼び方が適切である。
  12. ^ 宇宙戦艦ヤマト復活篇』において、ヤマトが避難船団を護るために発射した「バリアミサイル」は、この発展型とされる[要出典]

出典

  1. ^ 岡田茂『悔いなきわが映画人生 東映と、共に歩んだ50年』財界研究所、2001年、461頁。ISBN 4-87932-016-1
  2. ^ 1983年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  3. ^ 「『ヤマト完結編』ギリギリ3月18日の完成で、19日の全国同時公開に異変!?北海道・九州など約30館が遅れて上映。」『アニメージュ』1983年5月号、p.169
  4. ^ 「YAMATO SOUND ALMANAC 1983-II 宇宙戦艦ヤマト完結編 音楽集 Part2」(日本コロムビア、2013年11月、COCX-37405)ライナーノーツ「ファイナルメッセージ 西崎義展」より。
  5. ^ 「YAMATO SOUND ALMANAC 1983-I 宇宙戦艦ヤマト完結編 音楽集 Part1」(日本コロムビア、2013年11月、COCX-37404)ライナーノーツ「『ヤマト10周年を記念し、新たな気持ちで…』西崎義展」および「『ヤマトとつきあって10年』宮川秦」より。
  6. ^ a b 「YAMATO SOUND ALMANAC 1983-I 宇宙戦艦ヤマト完結編 音楽集 Part1」(日本コロムビア、2013年11月、COCX-37404)ライナーノーツ「PREFACE 早川 優」より。
  7. ^ 「YAMATO SOUND ALMANAC 1983-II 宇宙戦艦ヤマト完結編 音楽集 Part2」(日本コロムビア、2013年11月、COCX-37405)ライナーノーツ「PREFACE 早川 優」より。
  8. ^ 『「宇宙戦艦ヤマト2199 第四章 銀河辺境の攻防」劇場パンフレット』松竹、2013年1月12日、p. 26。
  9. ^ 「ヤマナビ 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 音響監督:吉田知弘」『ハイパーホビー VOL.6』徳間書店、2017年12月6日、p. 67。
  10. ^ スーパードラマTVの取材を受けた際
  11. ^ 『スーパーデラックス版 宇宙戦艦ヤマト 完結編』p. 76。
  12. ^ 『スーパーデラックス版 宇宙戦艦ヤマト 完結編』p. 26。銀河系内に2大国家が健在なままではやりづらいと述べている。
  13. ^ EMOTION the Best 宇宙戦艦ヤマト 完結編 | 商品詳細、バンダイビジュアル、2015年1月29日閲覧
  14. ^ 劇場版「宇宙戦艦ヤマト」 昭和の5作品がBD化決定 2013年4月より順次発売、アニメ!アニメ!、2012年12月25日
  15. ^ 劇場版「宇宙戦艦ヤマト」5作品がHDリマスターでBD化、AV Watch、2012年12月25日
  16. ^ 宇宙戦艦ヤマト 完結編 | 商品詳細、バンダイビジュアル、2015年1月29日閲覧
  17. ^ 「宇宙戦艦ヤマト」を作った男 西崎義展の狂気」より
  18. ^ 35mm版では全てのシーンを仲村で統一している
  19. ^ 完結編スーパーデラックス版





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