外国産馬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 20:26 UTC 版)
日本で活躍した外国産馬
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中央競馬グレード制導入前
1950年代初頭、戦争による競走馬不足を補う目的で、1952年の競走馬輸入解禁と同時にアメリカ合衆国・オーストラリア・ニュージーランドからかなりの頭数のサラブレッド[注 5]が輸入され、1950年代半ばには外国産馬が大活躍した時期もあった。中央競馬で導入初年度となった1952年暮れの朝日杯3歳ステークスでは7頭中4頭出走した外国産馬が、後にクモハタ記念を勝ったイチジヨウ(母クリフジ)らを圧倒、1着・3~5着を独占しいきなりその能力を見せつけた。一時は外国産馬限定の競走が組まれていたこともあるほどである。しかし外国産馬が出走できる重賞(混合戦)は限定され、現在のG1級競走に相当するものでは天皇賞、宝塚記念、有馬記念[注 6]のみに限られていた(→豪サラの項目を参照)。
1960年代に入ると、外国産馬は年間輸入頭数が制限されていたこともあって繁殖用の馬の輸入が優先され、外国産競走馬の数は急減した。そのうえ1971年6月30日から実施された活馬(生きている馬)の輸入自由化に伴い、国産馬保護のため混合戦が更に減らされ(天皇賞も混合戦から外された)、外国産種牡馬や繁殖牝馬は頻繁に輸入されるようになったが、外国産競走馬はさらに少なくなった。しかしこの頃から社台グループやシンボリ牧場などの海外に目を向けた生産者が厳選した競走馬を輸入し、出走レースが限られた環境ながらも高い能力を見せた馬が数頭いた。
外国産競走馬は引退後の繁殖馬としての価値を見越して輸入されることが多く、牝馬の方が多かった。1952年に輸入された馬の仔からはダイコーター、トースト、ヘリオスなどが活躍、孫の代にはハイセイコー、タケシバオーやラッキールーラ(母トースト)など多くの活躍馬を輩出し、現在に至るまで活躍馬を出し続けている牝系(ファミリーライン)は多い。
- サンゲツ
- 1952年朝日杯3歳ステークスなど
- オパールオーキツト
- ロイヤルウツド
- ミツサクラ
- フアイナルスコア
- ヤサカ
- カバーラップ二世(競走名セイカン)
- サスケハナ
- ブレツシング
- ミツドフアーム
- サールス
- ビツグヨルカ
- 1960年日本短波賞中山4歳ステークス - イギリス産。兄にWill Somers、弟にグレートヨルカを持つ。
- マツフジエース
- 1974年朝日杯3歳ステークス
- スピリットスワプス
- ギャラントダンサー
- タクラマカン
- 第1回ジャパンカップに出走。
マルゼンスキー(1976年朝日杯3歳ステークス優勝)は持込馬であったが、当時の規定で外国産馬とほぼ同様の規定が用いられていた。
中央競馬グレード制導入後
- パーシャンボーイ
- リンドシェーバー
- エルウェーウィン
- 1992年朝日杯3歳ステークス
- シンコウラブリイ
- ヒシアマゾン
- ヤマニンパラダイス
- 1994年阪神3歳牝馬ステークス
- ダンツシアトル
- 1995年宝塚記念
- ヒシアケボノ
- タイキフォーチュン
- ファビラスラフイン
- 1996年秋華賞
- トーヨーシアトル
- タイキシャトル
- 1997年・1998年マイルチャンピオンシップ、1997年スプリンターズステークス、1998年安田記念など
- シンコウキング
- 1997年高松宮杯
- シーキングザパール
- 1997年NHKマイルカップ
- タイキブリザード
- 1997年安田記念など
- グラスワンダー
- シンコウフォレスト
- 1998年高松宮記念
- エルコンドルパサー
- マイネルラヴ
- 1998年スプリンターズステークス
- アグネスワールド
- 1999年アベイ・ド・ロンシャン賞、2000年ジュライカップ
- シンボリインディ
- 1999年NHKマイルカップ
- ブラックホーク
- 1999年スプリンターズステークス、2001年安田記念など
- ゴールドティアラ
- 2000年マイルチャンピオンシップ南部杯
- エイシンプレストン
- 1999年朝日杯3歳ステークス、2001年香港マイル、2002年・2003年クイーンエリザベス2世カップなど
- イーグルカフェ
- 2000年NHKマイルカップ、2002年ジャパンカップダートなど
- タップダンスシチー
- 2003年ジャパンカップ、2004年宝塚記念など
- アグネスデジタル
- 2000年マイルチャンピオンシップ、2001年マイルチャンピオンシップ南部杯、天皇賞(秋)、香港カップ、2002年フェブラリーステークス、2003年安田記念など
- ノボトゥルー
- 2001年フェブラリーステークス
- メイショウドトウ
- 2001年宝塚記念など
- クロフネ
- 2001年NHKマイルカップ、2001年ジャパンカップダートなど
- ノボジャック
- 2001年JBCスプリント
- ゼンノエルシド
- 2001年マイルチャンピオンシップなど
- シンボリクリスエス
- 2002年・2003年天皇賞(秋)、2002年・2003年有馬記念など
- ファインモーション
- サウスヴィグラス
- 2003年JBCスプリント
- スターキングマン
- 2003年東京大賞典
- カフェオリンポス
- パーソナルラッシュ
- 2004年ダービーグランプリ
- アサクサデンエン
- ローブデコルテ
- 2007年優駿牝馬
- ゴスホークケン
- 2007年朝日杯フューチュリティステークス
- キンシャサノキセキ
- エーシンフォワード
- 2010年マイルチャンピオンシップなど
- スーニ
- テスタマッタ
- エイシンアポロン
- 2011年マイルチャンピオンシップ
- オーブルチェフ
- アジアエクスプレス
- ベストウォーリア
- モーニン
- ダノンレジェンド
- アウォーディー
- リエノテソーロ[11]
- アポロケンタッキー
- モズアスコット
- ミスターメロディ
- 2019年高松宮記念
- モズスーパーフレア
- 2020年高松宮記念
- カフェファラオ
- シュネルマイスター
- 2021年NHKマイルカップ
- レモンポップ[14]
- 2023年フェブラリーステークス、マイルチャンピオンシップ南部杯、チャンピオンズカップ
- マッドクール
- 2024年高松宮記念
2000年に、天皇賞が外国産馬の出走が認められて以降、天皇賞(秋)はアグネスデジタルとシンボリクリスエスが優勝している。天皇賞(春)の優勝馬は2020年現在出ていない[注 7]。
2001年にクラシック競走が外国産馬に開放された後、初めて制したのは2007年優駿牝馬のローブデコルテであり、前述の通り外国産馬によるクラシック競走の勝利は、これ一例のみで、牡馬が出走できる3冠に至っては未だ外国産馬の優勝がない。また外国馬(日本国外で生産・調教されている馬。□外=カク外)にも2007年の国際セリ名簿基準委員会の審査による「国際パート1」昇格後の2010年[注 8]以後解放されるようになったが、外国調教馬の日本のクラシック参戦はまだ果たされていない。
この理由として、「外国産馬の出走制限緩和8カ年計画」(1992年策定)があげられ、そのタイミングで、トニービン、サンデーサイレンス、ブライアンズタイムの、のちに「三大種牡馬」と呼ばれる外国から輸入された元競走馬を種牡馬として導入するようになり、特にサンデーサイレンス系を中心としたこれらの子孫馬が多数出走し、グレード競走でも好成績を残していることがあげられている[15]。
- ^ あくまで海外で生まれた馬が対象なので、内国産馬が日本での競走馬登録の前に日本国外の厩舎に所属し、海外での出走歴のある馬は対象外。同様に、日本で競走馬登録をし、国内の厩舎に所属し、海外遠征という形で外国でデビューした馬についても日本での出走は認められる。サンデーピクニックなどの事例がある。
- ^ 1972年度(昭和47年度)の番組編成要領では、外国産馬の出走を認めない規定はなかった[2]一方、1973年度(昭和48年度)の番組編成要領では外国産馬の出走を認めない規定が加えられている[3]。
- ^ 中央競馬の定義では□の中に「外」。
- ^ クラシック競走の出走条件に「未勝利馬および未出走馬を除く」と定義されているため。「未勝利馬および未出走馬」の定義は収得賞金が0の馬と同義である。たとえば、未勝利馬および未出走馬が重賞で2着に入った場合は、0勝であるが未勝利馬ではない。
- ^ 旧3歳(馬齢表記は当時)以下の未出走馬のほか、既に出走していた旧4歳馬などを含む。
- ^ 宝塚記念、有馬記念はファン投票などによる選出が必要であった。(注: 現在はファン投票選出馬以外の出走馬は収得賞金などにより決定するが、かつては収得賞金とは無関係でファン投票の上位馬と委員会により選出された馬のみ出走可能であった。)
- ^ 1971年以前の優勝馬には外国産馬はいる。
- ^ 2007-09年は経過処置として2-3歳限定戦はカク外へは解放されない他、マル外についても一定条件を満たした2-3頭のみが出走できていた状態に制限されていたため、日本独自の「Jpnグレード」の格付けとなっていた。
- ^ “平成26年度 帯広市ばんえい競馬番組編成要領”. ばんえい十勝公式サイト. 2012年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月12日閲覧。
- ^ “北海道輓曳競走 No.2”. 北海道市営競馬協議会 (1972年4月). 2015年2月12日閲覧。(19ページを参照)
- ^ “北海道ばんえい競走 No.3”. 北海道市営競馬協議会 (1973年5月). 2015年2月12日閲覧。(30ページを参照)
- ^ 外国馬の転入、大井で2年間実施へ(ラジオNIKKEI競馬情報Web、2007年3月9日)
- ^ 外国産馬「バーナスコーニ号」に関するお知らせ(東京都競馬株式会社)
- ^ 地方競馬の祭典、JBCに開催の危機(netkeiba.com、2007年3月12日)
- ^ マイルチャンピオンシップ南部杯歴代優勝馬地方競馬全国協会、2015年11月8日閲覧
- ^ モーニンnetkeiba.com
- ^ ダノンレジェンドJBISサーチ
- ^ アウォーディーJBISサーチ
- ^ リエノテソーロnetkeiba.com
- ^ 紅一点リエノテソーロ完勝! 無傷4連勝でGI制覇!/全日本2歳優駿・川崎netkeiba.com、2016年12月14日閲覧
- ^ アポロケンタッキーが人気2頭を下しGI初制覇!/東京大賞典・大井netkeiba.com、2016年12月29日閲覧
- ^ レモンポップJBISサーチ、2023年2月19日閲覧
- ^ 様相一変、脅威はいずこに? 外国産馬盛衰史 2017年5月6日 6:30(日本経済新聞・野元賢一)
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