ポルトガル海上帝国 財政、金融

ポルトガル海上帝国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/03 05:28 UTC 版)

財政、金融

ポルトガルの東インド貿易は、名目上は全てポルトガル王室の事業だったが、単独で人員と船を継続するのは人口と王室の財政規模から不可能だった。そのためイタリア系やドイツ系の金融援助を受けて進められた[6]。16世紀後半からは、ジェノヴァ共和国サン・ジョルジョ銀行から融資を受けていた。リスク管理のために複数の人間が共同出資するコンパーニアや、高利の海上貸付であるレスポンデンシアが行われていた。ポルトガルはカトリック教国であり、教会法ではウスラによって高利が禁じられていた。このためカトリック教徒の間では、海上貸付は海上保険の名目で扱われた[7]

統治体制

貿易体制

当時のポルトガルの貿易は、主に4種類に分けられる。

(1) 喜望峰を通ってポルトガルとインド洋を結ぶ王室事業
この貿易では、王室と契約をした船が用いられた。
(2) 王室と、王室の許可を受けた船が特定の時期と地域で行う貿易
時代の中国、日本、シャムベンガルコロマンデルなどで行われ、貿易の権利は売却されて個人貿易にも用いられるようになった。
(3) 非公式な私貿易
正式な貿易は王室または王室の許可が必要であったが、合法ではない貿易を始める者も多数にのぼった。ポルトガル人の中には、現地の商人と協力して貿易をしたり、海賊行為を行う者もいた。
(4) カルタスを用いる貿易
ゴアの副王や各地のカピタンが通行証としてカルタスを発行して、船長名、船の情報、乗組員の情報を記録した。カルタスを持つ船は安全を保障される代わりに、ポルトガル要塞への寄港と納税が義務づけられた。カルタスを持たない船がポルトガル船に拿捕された時は生命の保障がなかった[8]

主要年表


  1. ^ C. Bloomer, Kristin (2018). Possessed by the Virgin: Hinduism, Roman Catholicism, and Marian Possession in South India. Oxford University Press. p. 14. ISBN 9780190615093 
  2. ^ J. Russo, David (2000). American History from a Global Perspective: An Interpretation. Greenwood Publishing Group. p. 314. ISBN 9780275968960. "the Church of England was a " state church " in the colonies the way it indisputably was in England, and as the Roman Catholic Church was in the neighboring Spanish and Portuguese empires." 
  3. ^ 当時、岡本大八事件平山常陳事件島原の乱などで、キリスト教に不信感を募らせていた幕府に対し、オランダは、ポルトガルの宣教師が、本国と結んで日本を蚕食する恐れありと伝えた。そして、一方で自分たちオランダは布教を伴わない貿易が可能であると訴えていた
  4. ^ Far Eastern Economic Review, 1974, page 439
  5. ^ The Evolution of Portuguese - Chinese Relations and the Question of Macao from 1949 to 1968, Moisés Silva Fernandes, Chinese Academy of Social Sciences, 2002, page 660
  6. ^ 羽田 2017, p. 60.
  7. ^ 岡 2010, p. 195.
  8. ^ 羽田 2017, p. 62.
  9. ^ ディウ世界飛び地領土研究会
  10. ^ ダドラ&ナガルハベリー世界飛び地領土研究会
  11. ^ ダマン世界飛び地領土研究会
  12. ^ サン・ジョアン・バプティスタ・デ・アジュダ世界飛び地領土研究会


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