公益事業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/21 13:13 UTC 版)
公益事業(こうえきじぎょう、英: Public utility)は、公衆の日常生活に欠くことのできない公共サービス(英: Public service)のインフラを維持する事業をさす。公営企業などの公益会社(英: Public utility company)が経営することが多く、しばしば営利も伴う。類似の用語に、公的事業がある。
概要
公益事業は設営コストも規模の経済性も高いため、多くの国で国家などによる自然独占となってきた資本集約型の事業である。近年は民営化、自由化、規制緩和の傾向が強まっているが、多くの国では独占状態で運営されている。
公益事業の分野を扱う学問に、公共経済学がある。
日本の公益事業
法令による定義
労働関係調整法
2001年の労働関係調整法は、公益事業を「 運輸・郵便・電気通信・水道・電気・ガス・医療・公衆衛生の事業のうち、公衆の日常生活に不可欠な」事業、または、「内閣総理大臣が国会の承認を経て1年以内に限り指定した事業」と定義している。
この法律は、労働争議について強制調停と緊急調整、さらに抜打ちストライキの禁止などの規定を設けた。民間営利団体に争議行為の予告通知を義務付けるため、次の団体は「公益事業」を営む団体されている。
- 運輸事業 - 鉄道やバス、船舶、トラックなどを運行する事業のうち、国民の日常生活に欠くことのできない事業
- 郵便事業(総務大臣の委託を受けて、郵便物の収集や配達など、郵便事業の一部を行う事業)又は電気通信事業
- 国内または国際間の電信電話を扱う事業
- 水道事業、電気事業又はガス供給の事業 - 各家庭や会社など一般の需要に応じて、直接水、電気又はガスを供給する事業, 公益事業である運輸事業に電気又はガスを供給する事業, 公益事業である郵便又は電気通信の事業に電気を供給する事業。なお、これらの事業には、その事業を行うために欠くことのできない修理や維持管理・保全などの事業までも含まれる
- 医療又は公衆衛生の事業 - 病気やけがの治療、助産、伝染病に関する予防、消毒及び汚物清掃、埋葬や火葬などの事業
国・地方自治体の公益事業
国(官公庁組織)や地方自治体が直接行う事業は公共事業(英: Public works)と呼ばれる。公共投資(こうきょうとうし、英: Public Investment)ともいう。例えば、国際協力機構 の事業(外務省の所管)も公益事業の範囲である。
公益法人法に基づく公益事業
2006年の公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律に基づく「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与」する事業。
公益事業団体
独立行政法人・特別民間法人・他
国や地方自治体の出資を受けず、法令により設立数が限定され、国が役員を任命しない団体。官公庁の機能が民営化された法人。
2001年の特殊法人等改革基本法に基づき[1]により、旧特殊法人、旧認可法人が、独立行政法人、特別民間法人、また一般的な民間法人などに改編された団体。
日本商工会議所(経済産業省所管法)、* 自動車安全運転センター(警察庁所管法)、軽自動車検査協会(国土交通省所管法)などである。
公営企業
地方公共団体が特別会計を設けて運営する事業。地方財政法施行令により、水道事業、工業用水道事業、交通事業、電気事業、ガス事業、簡易水道事業、港湾整備事業、病院事業、市場事業、と畜場事業、観光施設事業、宅地造成事業、公共下水道事業などが定められ、地方公営企業が運営している。
特例民法法人
1896年(明治29年) の民法以降の法律に基づいて設立された公益法人(社団法人・財団法人)は、2006年の公益法人制度の施行(2008年)以降、特例民法法人と呼ばれている。2008年時点では約2万4千法人が存在した。生命保険協会、全国警備業協会などがある。2013年11月末の期限までに、新公益法人(公益社団法人・公益財団法人)への移行をしなかった法人が約15,000法人あった。
特別の法律によって設立される民間団体
会社法及び一般社団・財団法人法(かつては商法及び民法)以外の法律に基づいて設立され、全国を地区とする法人のうち、独立行政法人、特殊法人、認可法人、共済組合あるいは特別民間法人でない団体。2006年の「特別の法律により設立される法人の運営に関する指導監督基準」(平成18年2006年8月15日内閣)に基づき、以下のいずれか一つ以上の性質のある団体で、2025年現在、日本弁護士連合会・弁護士会(弁護士法)、原子力発電環境整備機構(特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律)など13団体が存在する。
- 法律により国の事務を行う事が規定されている
- 法人が行った事務に対して行政不服審査法または設立根拠法に基づく国に対する審査請求、異議申出の制度がある
- 国からの補助金等と密接な関係を有する業務を行う
- 国が当該法人の借入等に係る債務保証をする事ができるとされている
公益法人
一般社団法人または一般財団法人が、行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)から、公益法人法に基づく公益認定を受け、公益社団法人または公益財団法人となった団体。インフラ以外の公益事業を行っている場合もあるが、9,711法人が存在する(2023年現在)。
独立行政法人から出資を受けている公益法人も多く、例えば、鉄道総合技術研究所は、独立行政法人国際協力機構から出資を受けている。都道府県においては例えば、札幌法律援護基金などがある[2]。
組合
組合は、複数の当事者の出資による様々な分野の共同事業であるが、農業協同組合、事業協同組合、生活協同組合など、商品の品質の維持や流通に関するインフラを維持する機能も持っている。
公正取引協議会
公正取引協議会は、物資別のメーカーが構成する業界団体で、消費者庁と内閣府の外局である公正取引委員会に所属しており、79の協議会が存在する(2025年現在)。景品表示法第36条の規定により、 事業者または事業者団体が、消費者庁長官および公正取引委員会の認定を受け、 景品類または表示に関する事項につき自主的に業界ルールを定めている。自動車公正取引協議会、新聞公正取引協議会などが存在する。
かつて存在した公益事業団体
第二次世界大戦までに戦争を推進・戦争に寄与したとして、無数の会社が閉鎖機関指定を受けて解散した。代表的なものに国策会社の北支那開発、中支那振興、南満州鉄道、日本商工経済会(経済団体連合会の主な前身会社)がある。
関連項目
参考文献
- GAP(国際公益活動研究会) 『国際プログラム・オフィサー - 国際公益事業、国際交流・協力事業に果たす役割を考える』 アルク、1996年。
- 丸尾雄一『公益的安全保障 国民と自衛隊』大学図書
- ^ “特殊法人等整理合理化計画”. 行政改革推進事務局. pp. ページ (2001年12月18日). 2010年3月28日閲覧。
- ^ 内閣府[「「公益法人インフォメーション」]。
公益事業
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 06:32 UTC 版)
ガスパイプラインのネットワークにてルサイルに合成天然ガス(SNG)を運んでいる。それらは全長150km²以上のガスパイプラインによって分配され、LusailCity GasFarmにより最大28,000 m3 / hrの天然ガスが供給されている。ルサイルのSNGシステムの開発は、オマーンのNational GasCompanyとカタールのPetroServLimitedとの合弁で実施された。発電関係では、66kVおよび11kVの変電所を建設予定で、後者は特殊な構造で地下に建設される。66kV変電設備の一部は、ルサイル本土からケタイファン諸島を接続する海底共同溝に設置される予定である。
※この「公益事業」の解説は、「ルサイル」の解説の一部です。
「公益事業」を含む「ルサイル」の記事については、「ルサイル」の概要を参照ください。
「公益事業」の例文・使い方・用例・文例
- 生活に不可欠な公益事業
- 公益事業部門の急成長を見込んでいます。
- 公益事業によって供給されるサービス(電力、水または交通)
- 公益事業を行う会社
- 電話業務を行う公益事業体
- 電力を供給する公益事業体
- 水を供給する公益事業体
- ガスを供給する公益事業体
- 地方交通を供給する公益事業体
- 公益事業関係の建設工事の財源として発行される債券
- 公用制限という,公益事業のためにする私権の制限
- 公用徴収という,公益事業のためにする私人財産の強制徴収
- 公用負担という,公益事業のために課せられる経済的負担
- 国や地方公共団体が公益事業を目的として土地を強制的に買い上げること
- 財産を公益事業に信託すること
- それは公益事業の分野で功績を上げた人たちに贈られる。
公益事業と同じ種類の言葉
- 公益事業のページへのリンク