SJWとラディカル・フェミニズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 22:35 UTC 版)
「ゲーマーゲート論争」の記事における「SJWとラディカル・フェミニズム」の解説
詳細は「性的対象化」を参照 欧米では「ネットを中心に活動する、フェミニストを含めた攻撃的な表現規制論者たち」は「ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー/social justice warrior/SJW」と呼ばれている。SJWは「社会正義のために戦う人」「正義の味方ちゃん」などの意味で、英語圏のオルタナ右翼コミュニティで使われるネットスラングである。 SJWとしてオルタナ右翼のゲーマーから批判される団体には、フェミニスト・フリークエンシー(Feminist Frequency/略称:FemFreq)が挙げられる。カナダのラディカル・フェミニストで評論家でもあるブロガーのアニータ・サーキージアン(Anita Sarkeesian)が代表を務めるフェミニズム団体であり、2014年のゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス(GDC)で「ビデオゲームにおける女性の扱われ方」というプレゼンを行い、女性として初めて、ゲームをよりよいものにするために貢献した人物に贈られるアンバサダー賞を受賞した。 クラウドファンディングの資金援助を受けて、2014年6月からYouTubeにて「ゲームに登場する女性キャラクターはいかにして性の対象として描かれているか?」が主題の『ビデオゲームにおける典型vs女性(原題:Tropes vs. Women in Video Games)』シリーズを公開している。任天堂をはじめとした国内外のゲームに対し、以下のような主張を行っている。 「薄着や露出の多いセクシーな女性キャラクター」「胸やヒップを強調したアングル」など性の対象として表現されたものは、男性プレイヤーの興味をそそるために創作されており、「女性は男性の欲望を満たすための装飾的存在だ」というメッセージを売りつけている。 特に操作できないモブキャラクター(NPC/Non-Playable Character)の売春婦、ストリッパー、ポールダンサーなどは、ほとんどの場合ストーリーと無関係だが、男性へのサービスとして使われる。貧困街で働いたり、片言を話す女性NPCが登場するシーンは買春ツアーを想起させ、女性や女性キャラクターを「性の商品化」しており、白人や西洋人が別の人種の女性を性の対象として消費してきた、伝統的な人種差別表現の典型である。 「見学者」であるテレビなどのメディアと違い、ゲームはキャラクターをプレイすることでユーザーを「参加者」に変えてしまうため、「女性の役割は男性の欲望を満たすことである」という強いメッセージをプレイヤーに投げかけ、現実社会における女性の立場に少なからず影響がある。 男娼キャラクターなどを登場させ、性の対象化の描写が平等になっても、社会では男性の性的能力は他人を喜ばすものとして考えられておらず、社会的ポジションを男性が独占する文化(家父長制・パターナリズム)である以上、女性キャラクターを性の対象として描くことの根本的解決にならない。 男としてプレイし、女性を射殺するようなゲームを想像するだけで、身の毛がよだつ。 ラディカル・フェミニストには「大衆娯楽は、プロデューサーなど権力者のほとんどが男性であり、彼らの意向で男性へのサービスのために <女性がセクシーな服を着させられたり、男性受けするふるまいをさせられている=支配されている> ため、女性差別である」という主張が多い。 「女性が自らセクシーな服装やふるまいを選んだり好んだりする権利や自由」については、「女性が自分の意志でそのように振舞っていると思っていたとしても、家父長制・パターナリズムによる男性優位社会で育ったため、男性の支配を当たり前と思い(=内面化し)、セクシーさ、女らしさ、男性への媚びなどの性的アピールがよいものだと思わされている」という主張が多く見受けられる。 セクハラを体系化した第一人者であり、ラディカル・フェミニストの代表格でもあるアメリカのキャサリン・マッキノンは、「日本のレディースコミック(ティーンズラブやボーイズラブなど)を女性たちが買ってポルノとして使っているのをどう思うか」に対し、「女性向けのポルノというのは、実は男が男向けに作っているのであり、その読者の99%は男である」と答えたが、アニータ・サーキージアンとFemFreqも、「ゲームの作り手は男性が多く、女性の性的表現は権力者の男性による男性のためのものであるため、女性差別である」「ゲームコミュニティやゲーム業界は、男性に支配された世界(Male Dominated World)である」としている。 これらの主張により、世界的ヒットとなった人気ゲームなどで、表現規制や販売中止が相次いでおり、そのたびに炎上する事態となっていた。 なお、ラディカル・フェミニストを中心とした「女性キャラクターの露出衣装・セクシーなふるまい・演出などの表現は女性差別である」という主張や、海外の性的な表現規制は1990年代から続いている。『マザー』で街中に登場した「BAR」の看板が「CAFE」に変更された、『ファイナルファンタジーⅥ』のキャラクター「セイレーン」の服装が変更された、『悪魔城伝説』の敵キャラクターの胸が、女性から男性らしきものに変更されたなどの事例が挙げられる。
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