IT革命とWTOの成立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 07:38 UTC 版)
「現代の世界の一体化」の記事における「IT革命とWTOの成立」の解説
詳細は「IT革命」、「情報化社会」、「インターネット」、「グローバリゼーション」、および「世界貿易機関」を参照 電気はすでに古代ギリシアにおいてその存在が知られていたが、エジソンが白熱電球の実験中に発見したエジソン効果(1884年)が端緒となり、1904年にはジョン・アンブローズ・フレミングが2極真空管(二極管)を、1906年にはリー・ド・フォレストが三極管を発明した。1930年代には真空管を用いて、データとその処理方法を二進法で紙にパンチで穴をあけて読みとらせる二進法のコンピュータの原型が登場した。1947年には真空管にかわってトランジスタが発明され、さらに1970年代には一片のシリコンのうえにコンピュータ機能をもたせたマイクロプロセッサが開発されて、コンピュータの小型化、軽量化が実現した。 一方、1969年、冷戦時代のアメリカで国防用コンピュータネットワーク構築を目的として「ARPANET」(アーパネット)が開発された。これは、軍事的攻撃を受けても維持できる通信網の研究を行った結果、電話のような中央集権型のコントローラを持つ通信網では攻撃によりコントローラが破壊された場合、そのコントローラに接続している端末全てが通信網から切り離されてしまうため、電信をモデルとして特権的なコントローラを持たない通信網を実験的に作りあげた。1970年代、この技術は国際決済に転用され、これがクラウドコンピューティングとインターネットの原型となった。 1980年代以降の情報通信技術の急激な革新をIT革命と呼んでいる。その結果、世界中がインターネットを通じて、瞬時に情報を共有できるようになった。これは、第一次産業革命、第二次産業革命に匹敵する大きな技術転換であり、これによって世界経済の一体化(グローバリゼーション)の進展はさらにうながされた。神武庸四郎は『経済史入門―システム論からのアプローチ』のなかで「第三次産業革命」の名を用いている。 経済のグローバル化に応じて、国際的な貿易・金融制度の拡充がはかられた。GATT(ガット)ウルグアイ・ラウンドにおける合意に基づき、自由貿易のための多国間協定を発展させ、第二次世界大戦後の国際貿易をささえてきたGATT体制にかわる新たな国際貿易体制の柱として、1995年に世界貿易機関 (WTO) が組織された。また、ラテンアメリカやアジアの通貨危機・経済不安に際しては、国際通貨基金 (IMF) が介入し、危機を克服する方策を示した。しかし、これらの活動は必ずしも順調な成果をあげているとはいえず、あらたな世界経済秩序はまだ模索の域を出ていないが、開発途上国グループはアメリカや先進国グループよりも高い経済成長率(特に中国とインドの成長が顕著)で経済発展を続けて、世界でも経済的に重要な存在になり、影響力を行使している。開発途上諸国の政府は、先進国の経済体制・政策をそのまま模倣して実施しても、国の産業・経済の成長を実現できない場合が多々有り、国の産業・経済を成長させ、産業・経済が産出する付加価値を国民に還元して国民の生活を向上させるためには、個々の国の個々の時代の産業・経済の構造や発展段階や国民の多数意見に応じて、多種多様な経済政策を柔軟に組み合わせていく政策が必要と認識して、そのような政策に転換している。
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