Fully Buffered DIMM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/03 22:42 UTC 版)
「DIMM」の記事における「Fully Buffered DIMM」の解説
FB-DIMM(Fully Buffered DIMM)はアドレス、データ、制御信号の全てを一旦DIMM基板上のAMB(high-speed Advanced Memory Buffer)と呼ばれるバッファ内蔵の専用コントローラ・チップで受ける形態のDIMMである。CPU/チップセット側とは、PCI Express(PCIe)に似た少ピンの高速シリアル・インタフェースで接続される。従来のDIMMはスタブのあるバス接続によって複数のモジュールが共有接続されていたが、FB-DIMMでは隣り同士がPoint-to-Point接続によって拡張されるデイジーチェーンによる接続方式となっている。 従来のDIMMに比べチップセット(またはCPU)側の信号が減らされており、アドレス、制御、3.2 - 4.0GHzで駆動される上り用14レーン/下り用10レーンの24組の高速データ信号線(合計48本)を含む全69端子で構成される。各信号線の伝送動作などはPCIeに近いが、通常はPCIeよりも短い伝送距離でもあり、各信号は8b/10b方式のようなクロックは重畳されていない。サーバ機などでの実使用環境では、ライトに比べてリードの比率が圧倒的に高いため、ライト方向とリード方向で信号本数が異なる非対称になっている。 各モジュールごとに1つずつ備わるAMBは、上流側モジュールまたはチップセット(CPU)側とのインタフェース、下流側モジュール側インタフェース、自らの汎用SDRAMとのインタフェースという3方向へのインタフェースを有しており、各モジュールのAMBはチップセット(CPU)に近い上流側から信号を受けると、自らがターゲットではない場合は隣接する下流側のモジュールへ信号を転送する。下流側から上流側に向かう場合も同様にAMB間で順次転送される。このようにローカルなメモリコントローラともいえるAMBが互いに連接されることで、デイジーチェーンを構築し、各チャネルあたり最大8枚のDIMMを接続することが可能となっている。各AMB間は同期転送による遅延が生じるため、CPU側から見て遠いモジュール(下流側)へのアクセスは近いモジュール(上流側)よりも遅くなる。各AMB内で、並列/直列変換や動作コマンドの翻訳、CRCコードの生成/確認などを高速に行うため発熱量も多くなる。 米Intel社の主導でPCサーバやワークステーション向けに製品化されたFB-DIMMであるが、AMBチップという高機能ICの使用などから高コストであり、放熱への配慮が求められることや、チャンネル当りのモジュール数増加によってレイテンシも増大することもあって、特に大記憶容量と広帯域メモリアクセスが強く求められるエンタープライズ・サーバのような用途を除いては、ミドル/ローエンドクラスのサーバへの採用は広がらなかった。また、ラムバス社の特許権については、Buffered DIMMだけでなくFB-DIMMの構造に関するロイヤリティの支払いが生じることも不利に働いている。 このため、Intel社は次世代メモリインターフェースとしてCPUからはFB-DIMMインターフェースでDRAMにアクセスするが、AMBはマザーボード上に実装し、DIMM自体は従来の物に戻すことを計画している。依然としてコンシューマー向けメモリはUnbuffered DIMMが主流であり、コンシューマーからエンタープライズサーバまで幅広いSKUをカバーする次世代プロセッサNehalemのマスクバリエーションをいたずらに増やしたくないintelの意図が伺われる。
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