61~65・71~73(元東京急行電鉄クハ5100・クハ3140)
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「高松琴平電気鉄道60形電車」の記事における「61~65・71~73(元東京急行電鉄クハ5100・クハ3140)」の解説
元京浜電気鉄道の29号形・32号形・36号形で、1913年天野工場製。3形式とも車体はほぼ同じで、両運転台の木造車体を持つ電動客車である。客用扉はなく、オープンデッキの軌道線タイプの車輌であった。のちに、鉄道線専用にステップの廃止と連結器の取りつけが行われた。更に、1930年代後半にオープンデッキ部および車体中央に外側式の引扉を新設している。また28号形は制御車に、32号形は付随車になった。 1941年に京浜電気鉄道が東京横浜電鉄と合併し東京急行電鉄となった際には、ク29形はクハ5220形、ク32形はサハ5100形、デ36形はデハ5100形に改称された。このうちクハ5220形は1945年から東急に経営委託された相模鉄道(東急厚木線)に転属し、クハ3140形となった。 戦後、運輸省63形の割り当てを受けた東急は、見返りの供出車の一つに5100形と3140形を選定した。このうち7両を高松琴平電鉄が譲受し、1948年に入線した。このうち4両が電動車に改造され長尾線・志度線の60形61~64に、3両は制御車になり、長尾線・志度線用の70形71~72と琴平線用の15000形1510となった。なお、1510は1955年に長尾線・志度線に転属し70形73に改番・編入されている。 しかし、木造車体である上に戦後混乱期の酷使により車体の疲弊が激しく、そのため1950年代に入ると各車各様の補強工事を受けることになる。まず63が前面のみを簡易鋼体化、続いて61・64・71・1510→73が前面・側面共に簡易鋼体化を受けている。これらは木造車体の表面に鋼板を張っただけのいわゆる「偽スチールカー」だった。 次に施行された62は最も状態が悪かったため、1953年に今橋工場で台枠のみを拡幅の上で流用して半鋼製の車体を新造した。1952年製の10000形の流れを汲む側面2扉・ノーシルノーヘッダー・張り上げ屋根で、前面は当時の1010形と同じく非貫通2枚窓である。窓配置はd2D6D2、パンタグラフは高松築港・志度側に取りつけられた。 最後まで未改造だった72も1960年に半鋼製の車体を新造した。同時に電動車に改造され、60形65に改番されている。車体はやはり側面2扉・ノーシルノーヘッダー・張り上げ屋根であるが、上段Hゴム支持のいわゆるバス窓を客用窓に採用し、前面は貫通扉つきとなった。窓配置とパンタグラフの位置は62と同じだが、車体長はこちらの方が若干長い。 1966年の志度線の架線電圧昇圧に際し、簡易鋼体化車の61・63・64・71・73は1968年までに廃車された。一方で車体新造で鋼体化された62と72→65は昇圧改造を受けたほか、1981年には62の前面を貫通扉つきに改造している。 1994年、瓦町駅近代化に伴う志度線分断により、62は長尾線、65は志度線の所属となった。 600形・700形の増備に伴い、62が2002年12月に廃車になった。引退に際し、同時に廃車になった67と共に旧塗装の茶色とクリーム色に戻され、さよなら運転を行っている。 その後、高松空港に隣接する「さぬきこどもの国」に保存され休憩室として利用されており、状態は良好である。車内は現役当時のままであるが吊り広告を撤去し、代わりに60形の写真が掲示されている。 一方、65は志度線分断の時点で850形850とほぼ固定編成で使用されていたが、600形の入線に伴い1998年に850が廃車になった後は主に朝夕の増結用になり、稼働率は大きく下がった。2005年に車体塗装が赤とクリーム色から、茶色とクリーム色の旧型車標準色に変更されている。 65は2006年10月、600形800番台の転入に伴い長尾線に転属し、この時に方向転換されジャンパ栓がつけ替えられた。2007年8月からは動態保存車となっていたが、台枠の傷みが激しくなったため11月4日にさよなら運転を実施し、そのまま廃車解体となった。台車と主電動機は動態保存車の1000形120に転用され、そのため120は経済産業省による近代化産業遺産認定車にも拘わらずオリジナルとは異なる台車となってしまった。
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