食品としてのコンニャク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 09:17 UTC 版)
「コンニャク」の記事における「食品としてのコンニャク」の解説
通常、コンニャクと呼ばれる食品はコンニャクイモに含まれるコンニャクマンナンという多糖を糊化し、アルカリ液(通常は水酸化カルシウム水溶液が用いられる。かつては灰を水で溶いた汁を使った)を用いて凝固させたもので、加工される前は粉末の形で流通する。そのため、コンニャク産業におけるコンニャク食品の原料とはコンニャクイモそのものではなく、こんにゃく粉を指す。 コンニャク食品はぷにぷにとした独特の食感を持ち、一旦凝固させたコンニャクは水溶性を持たず、強い弾力を示す。また、独特な臭みがあり、コンニャク食品が敬遠される最も大きな理由ともなっている。この臭みの正体は、古くなった魚の魚臭と同じ成分であるトリメチルアミンという低分子物質である。コンニャクのトリメチルアミンは撹拌しただけでは発生せず、アルカリ性になると発生する事がわかっているが、その生成機構は未解明である。通常、ビニール袋やプラスチック製のパック詰めで販売されているが、缶詰などで販売されているものもある。調理に際しては一旦煮込んで灰汁抜きをするが、今日では灰汁抜きが不要な製品も多く見られる。 コンニャクのカロリーは300 g(1枚)で21 キロカロリーと、非常に低い。四つ切りのコンニャクおでんに2gの練り辛子をつけて食す場合、つけた練り辛子のほうがカロリーが高い(辛子6キロカロリー、コンニャク5キロカロリー)ほどである。食物繊維が豊富なこともあり、ダイエット食品(健康食品)としても人気がある。また、物理的に腸の老廃物を押し出す効果があり「お腹の砂払い」とも呼ばれている。しかし、メッケル憩室保有者や胃切除を行った人は腸閉塞を起こしやすいとする報告がある。 古くからコンニャクを食用としてきた主な地域は、日本・中国・ミャンマーなどのアジア各国である。中国では、貴州省や雲南省、四川省など少数民族が多い地域でよく食され、それらの地では「魔芋」「魔芋豆腐」という名称のほうが一般的である。日本と似たような煮物や惣菜のような調理が多いが、これらの地方の小吃では、コンニャクをステーキのように焼いた料理に、唐辛子や、薬味がたっぷり効かされている。 日本への伝来時期には諸説あり、飛鳥時代に医薬として仏教と共に伝来した、あるいは縄文時代にサトイモと共に伝来したとも言われ、その後、推古天皇の時代に本格的に中国から輸入されたと言われる。その目的は「砂払い(整腸)」の薬効であったが、鎌倉時代までに食品として確立し、精進料理に用いられるようになった。 欧米ではコンニャクは「Devil's tongue(悪魔の舌)」とも呼ばれ、あまり人気のない食材であった。しかし、和食ブームとともに低カロリーの健康食品として欧米にも広がりつつある。特に、「しらたき」が健康的なパスタとして欧米で流行した。 コンニャクの原料となるコンニャクイモの2018年度(平成30年度)の日本での収穫量は55,900t。主産地は群馬県 (93.2%) で、第2位栃木県 (2.7%) 、第3位茨城県 (1.4%) と続いており、日本では約97%が北関東で生産されている。
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